辞書と分数③
4月は新しく決めることが一杯で大変だ。高学年になると全員が何かしらの「委員会」に所属することになる。クラス代表の代表委員、男子に人気の体育委員、女子に人気の音楽委員、風紀委員に放送委員、保健委員や飼育委員など。5年生、6年生だと仕事内容、どんなことをする委員会なのかが分かっているので案外パパっと決まるのだが、初っ端の4年生は時間がかかる。時間をかける。
小澤先生から各委員会について簡単な説明があり、生徒はそれを参考にしながら自分の入りたい委員会を考える。小澤先生からは第二、第三希望まで決めておいた方がいいぞと助言が追加された。原則、各委員会は男女一名ずつ。希望が重なった際はじゃんけん。人の集まる委員会は流れの赴くまま、自然に順調に空欄が埋まっていく。問題は人気のない所。具体的に言おうか、音楽委員会に男子は入りたがらない。第一希望に入れなかったら、どうにか他の委員会に滑り込もうとする。結局は他の委員会から決まっていって、じゃんけん最弱の男子が入ることになるのだが、そこが難しいというか、厄介というか。音楽委員は男子も楽器(主に打楽器)を扱う。嫌々入ってもなかなかうまくいかないのである。
「よし、じゃあ次。体育委員の男子希望者、手を挙げて。」
待ってましたとばかりにニョキニョキっと、まるで竹の子みたいに男子の手が挙がった。ざっと男子の半分か。
「そしたら教室の後ろでじゃんけん。恨みっこなしだぞ~。はい、次―」
いずれはこういった司会、進行、書記も生徒に、それこそ今決めている代表委員に任せて自分は座っているだけ、という状態が理想。希望者を募って、決定した委員から黒板に名前を書いて、出席簿にも控える。生徒の協力なしだと、先生はてんやわんやである。
「はい、次行くぞ。音楽委員の男子、いるか~?」
希望者ゼロなら先送り。経験上、誰もいないだろうという小澤先生の予想を裏切ったのは、要だった。驚いたのは先生だけではなく、まるで避雷針のようにクラス中の視線が要に突き刺さった。
「鈴本の他にはいないか~。それじゃ、男子の音楽委員は鈴本。次、女子の希望者~?」
こちらは大人気。




