奇跡が起こった!
今日、正午にて、火・水・風・雷の4カ国の連合国軍の軍的会議が火の国にて開かれた。
会議の主宰者は雷の国の『雷獣』の二つ名を冠する気高宰相……砂の民 ガイル・ギャレイン。
雷の国のいまだ幼い国王に代わり公務を行う実質、雷の国の支配者であった。
そして今、彼女は一人、火の国の代表としてこの場を提供してくれた、若き領主のことを想っていた……
「レグルスくん……戦争には消極的だったなぁ~……」
ぼんやりと天井を見つめながら、かつて、幼い時を共に過ごした幼馴染の顔を想い浮かべる
ガイル・ギャレイン 19歳。 見た目麗しい彼女に浮いた話が1つ無いのにはそれ相応の訳が在った。
それは、今もなお彼女が想い浮かべる5つ上の幼馴染の存在にある。
最初は、ガイルも火の国の町で育ったうちの一人の少女だった。
そのままで在れば器量のよい彼女は隣のパン屋さんと結婚していた事だろう。 が、しかし彼女が6歳の問いにその運命のときはおとずれた。
それは、彼女が街唯一の共同井戸に水を汲みに行ったときの事だった。
彼女が水を汲んでいると……
「ったく! カザルの奴……! オレが勉強したく無い事知ってて……! 」
突如、隣の茂みから赤い髪の美少年が現れたのだった!
「ふぇ!? 」
当時の彼女は勿論驚いた。
茂みから美少年が出ることも驚きだが、現れた人物に最もな驚きを禁じえなかった。
そう、何の前ぶりもなく現れたその人物は、なんと、彼女の住まう町の領主の息子だったからだ。
「あ、わわ…」
「ん……?」
☆
「あれが、レグルス君とのはじめての出会いだったっけ…」
やはり、一人で天井を見上げながらことばを漏らすガイル女史。
今日の会議での初めての再開……
しかし、彼の目は自分には注がれていなかった……
だが、彼女は諦めない!
「こんなことで諦めてたら宰相なんか務まらないもん!」
そうして、自らを奮い立たせた彼女の元に1つの声が響いた。
「いや、そろそろ諦めろよ!」
それは、彼女の婚約者で在った元・パン屋の少年
現・風の国代表の青年であった。