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一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第5章:紬と蓮の選択
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【第54話】 紬が“渦に入るか、拒絶するか”を選ぶとき

渦は紬の周囲に黒い輪を作り、ゆっくりと閉じていく。

まるで紬を中心に据えようとするかのように。


紬は胸の奥の「風花」という響きを感じながら、蓮の手を握り返した。


蓮は静かに言った。

「紬……渦を止める方法は二つ。

どちらを選んでも、俺は隣にいる」


紬は息を吸い、渦を見つめた。


■選択肢①:渦の中心に自ら入る

ミナが説明する。

「紬が渦の中心に入れば、影の残滓を内側から壊せる。

でも……名前の核が渦に触れる危険がある。

紬の名前が揺れるかもしれない」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……渦の中は、名前の響きが全部むき出しになる場所だよ……」


ユイは風を揺らしながら言った。

「紬が入れば、渦は紬を中心に再構築しようとするかもしれない。

でも……紬なら耐えられるかもしれない」


蓮は紬の肩に手を置き、静かに言った。

「紬……渦の中に入るのは危険だ。

でも、渦を確実に止められる方法でもある」


紬は胸の奥が強く揺れた。


■選択肢②:渦を拒絶し、名前の核で押し返す

ミナが続ける。

「紬の名前の核は、影の中心の攻撃を全部耐えた。

拒絶すれば、渦を押し返せる可能性がある」


真白は紬の手を握りしめた。

「紬ちゃん……名前の核は強いよ。

渦を押し返せるかもしれない」


ユイは風を揺らしながら言った。

「でも……渦が紬を中心に選んでる以上、拒絶したら渦が暴れる可能性がある。

街全体に影響が出るかもしれない」


蓮は紬の目を見つめて言った。

「紬……拒絶するなら、俺が支える。

渦が暴れても、絶対に守る」


紬は胸の奥の響きを感じた。


■紬の選択

渦の黒い輪が紬の足元まで閉じてきた。


紬は深呼吸し、胸の奥に手を当てた。


「風花……」


名前の核が光る。


蓮が紬の手を握り、静かに言った。

「紬……選んでいい。

どちらでも、俺は隣にいる」


紬は渦を見つめた。

渦は紬の名前の響きに反応し、黒い粒が震えている。


紬は――

ゆっくりと口を開いた。


「私……」


胸の奥の響きが強く光る。


「――渦の中に入る」


蓮は息を飲んだ。


ユイが叫んだ。

「紬!? 本当に!?」


真白は紬の手を握りしめた。

「紬ちゃん……危ないよ……!」


ミナは紬を見つめ、静かに言った。

「紬……覚悟はあるんだね」


紬は頷いた。

「渦を……内側から止める。

私の名前の核は……もう奪われない。

だったら……渦の中で戦える」


蓮は紬の肩を抱き、強く言った。

「紬……絶対に離れない。

一緒に行く」


紬は蓮の手を握り返した。

「うん。蓮と一緒なら……怖くない」


渦が大きく揺れた。


黒い輪が紬と蓮を包み込む。


紬は一歩、渦の中心へ踏み出した。

あとがき(紬の日記)

渦は私を中心に選ぼうとしていた。

私は渦の中に入ることを選んだ。

名前の核はもう奪われない。

蓮が隣にいるから、怖くない。

明日は渦の内側で戦う。

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