表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第4章:影の残滓と新しい名前の脅威
PR
40/98

【第40話】 影の残滓の“核”が目を覚ますとき

街の中心に残った黒い渦は、昨日よりもさらに濃く、深く、重くなっていた。

影響域は街全体を覆い、名前の響きは常に揺れ続けている。


紬は観察ノートを胸に抱え、渦の中心を見つめた。

胸の奥の「風花」という響きは安定している。

だが、渦の近くに立つと――その響きがわずかに震えた。


蓮は紬の隣で言った。

「紬……影の残滓、昨日よりも“核”を作り始めてる。

名前の形、音、記憶、未来、意味、存在……全部を奪った先にあるのが“核”だよ」


紬は息を飲んだ。

「影の核……?」


ルクは震えながら言った。

「紬……渦の奥から“名前のない核”みたいな響きがするよ……昨日よりずっと強いよ……」


■影の残滓が“核”を作り始める

ユイが風を揺らしながら渦を見つめた。

「紬……影の残滓が、名前の“核”を作ろうとしてる。

名前の存在を奪ったあとに残る“空白”……それを核にしてる」


真白は胸を押さえ、苦しそうに言った。

「名前の響きが……渦に吸われてる……存在の奥の“核”が揺れてる……」


ミナは渦の周囲を観察しながら言った。

「影の原型が消えても、残滓は進化してる。

名前の核まで奪える影は……もう“影の心臓”に近い力を持ってる」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「名前の核を奪われたら……その人は“名前そのもの”を失う……」


蓮は静かに言った。

「紬……影の欠片は、核を作れば“新しい影の心臓”になれる。

昨日よりもさらに危険だよ」


紬は頷いた。

「影の核を……止める」


■名前の核が揺れた少女

そのとき――

渦の近くで、弱い声が聞こえた。


「……わたし……名前が……あるの……かな……?」


紬たちは振り向いた。


そこには、紬と同じくらいの年齢の少女が立っていた。

彼女は胸を押さえ、輪郭が薄く、声も弱い。


ユイは息を飲んだ。

「紬……この子、名前の“核”が揺れてる……!」


真白は駆け寄り、少女の肩に触れた。

「大丈夫……? 名前の響きが……核のところで揺れてる……」


ミナは周囲を見回しながら言った。

「影の残滓が、この子の“名前の核”を奪ったんだ。

名前の存在のさらに奥……名前そのものの核が揺れてる」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「名前の核が揺れたら……その子は“名前そのもの”を失う……」


蓮は静かに言った。

「紬……この子の名前の核を取り戻すには、影が奪った“核の響き”を壊すしかない」


紬は少女の目を見つめた。

「君の名前……教えて」


少女は震える声で言った。

「……紗月さつき……」


紬は頷いた。

「紗月……君の名前は、絶対に消えない」


■影の欠片が“名前の核”を模倣する

渦の中心から黒い影が立ち上がった。


その影は――

紗月の“名前の核”を真似していた。


「……さ……つ……き……」


紬は震えた。

「名前の核を……真似してる……!」


ユイは風を揺らしながら言った。

「紬! 影が紗月の名前の核を奪ってる!

だから紗月の“名前そのもの”が揺れてる!」


真白は涙を浮かべながら言った。

「紬ちゃん……紗月ちゃんの名前の核が……影の中に閉じ込められてる……!」


ミナは影を見つめながら言った。

「名前の影が、核を奪ってる。

名前の存在よりもさらに深い部分……!」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……核を取り戻すには、影が奪った“核の響き”を壊さないと」


紬は胸の奥の響きを感じた。

「紗月の名前を……取り戻す」


■紬が“名前の核”を呼ぶ

紬は深呼吸し、ステッキを握りしめた。


「紗月――!」


影は揺れた。

だが、紗月の胸の奥は光らない。


紬はさらに強く叫んだ。

「紗月――!!

君の名前は……絶対に消えない!!

核は……ここにある!!」


その瞬間、影の中心が大きく揺れた。


ユイが風で影の核を乱し、真白が治癒の光で紗月の輪郭を支え、ミナが影の根元を切り裂く。


蓮は紬の肩に手を置き、強く言った。

「紬、もう一度!」


紬は叫んだ。

「紗月――!!!

君の名前の核は……絶対に奪わせない!!」


影は大きく揺れ、黒い霧となって崩れ落ちた。


紗月の胸の奥が光った。


「……わたし……名前……ある……!」


紬は微笑んだ。

「うん。ちゃんとあるよ」


■影の残滓は“名前の核”まで狙う

ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……影の残滓は名前の核まで奪えるようになってる。

もう影の心臓に近い力だよ」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……街の名前の響きが、限界まで不安定になってる……」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の欠片は、名前の形・音・記憶・未来・意味・存在・核を真似できる。

影の原型がいなくても、影は“新しい心臓”を作ろうとしてる」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……影の残滓を封じる方法を見つけないと、街の名前が全部揺れる」


紬は胸の奥の響きを感じながら言った。

「影の残滓……全部集めて、止めなきゃ」


蓮は紬の手を握り返し、強く頷いた。

「紬、一緒にやろう。街の名前を守る」


紬は蓮の瞳を見つめ、静かに頷いた。

「うん。絶対に」

あとがき(紬の日記)

影の欠片は“名前の核”まで奪えるようになっていた。

紗月の名前の核を呼んだ瞬間、胸の奥が強く光った。

影は進化し、心臓に近い力を持ち始めている。

街の名前の響きは限界まで揺れている。

明日は影の残滓の“中心”を封じる方法を探す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ