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一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第4章:影の残滓と新しい名前の脅威
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【第39話】 影の残滓が“名前の存在”を奪いに来るとき

街の中心に残った黒い渦は、昨日よりもさらに濃く、深く、重くなっていた。

影響域は街全体を覆い、名前の響きは常に揺れ続けている。


紬は観察ノートを胸に抱え、渦の中心を見つめた。

胸の奥の「風花」という響きは安定している。

だが、渦の近くに立つと――その響きがわずかに震えた。


蓮は紬の隣で言った。

「紬……影の残滓、昨日よりも“名前の存在”そのものに触れ始めてる。

名前の形、音、記憶、未来、意味……全部を奪った先にあるのが“存在”だよ」


紬は息を飲んだ。

「名前の存在……?」


ルクは震えながら言った。

「紬……渦の奥から“名前がない存在”みたいな響きがするよ……昨日よりずっと強いよ……」


■影の欠片が“名前の存在”を奪い始める

ユイが風を揺らしながら渦を見つめた。

「紬……影の残滓が、誰かの名前の“存在”を奪ってる。

名前があるから人は存在できる……その根本が揺れてる」


真白は胸を押さえ、苦しそうに言った。

「名前の響きが……渦に吸われてる……存在そのものが薄くなってる……」


ミナは渦の周囲を観察しながら言った。

「影の原型は消えたけど、残滓は進化してる。

名前の存在まで奪える影は……もう“影の心臓”に近い力を持ってる」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「名前の存在を奪われたら……その人は“ここにいる理由”を失う……」


蓮は静かに言った。

「紬……影の欠片は、存在を奪えば“名前の消失”を起こせる。

昨日よりもさらに危険だよ」


紬は頷いた。

「影の欠片を……止める」


■存在が薄れた少年

そのとき――

渦の近くで、弱い声が聞こえた。


「……ぼく……ここにいるの……かな……?」


紬たちは振り向いた。


そこには、紬と同じくらいの年齢の少年が立っていた。

彼は胸を押さえ、影のように輪郭が薄くなっている。


ユイは息を飲んだ。

「紬……この子、名前の“存在”が揺れてる……!」


真白は駆け寄り、少年の肩に触れた。

「大丈夫……? 名前の響きが……存在のところで揺れてる……」


ミナは周囲を見回しながら言った。

「影の残滓が、この子の“名前の存在”を奪ったんだ。

名前があるのに……存在が薄い」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「存在が揺れたら……その子は“ここにいる自分”を失う……」


蓮は静かに言った。

「紬……この子の名前の存在を取り戻すには、影が奪った“存在の響き”を壊すしかない」


紬は少年の目を見つめた。

「君の名前……教えて」


少年は震える声で言った。

「……悠斗ゆうと……」


紬は頷いた。

「悠斗……君はここにいるよ。名前があるから」


少年は震えた。

「……でも……存在が……薄い……」


■影の欠片が“名前の存在”を模倣する

渦の中心から黒い影が立ち上がった。


その影は――

悠斗の“名前の存在”を真似していた。


「……ゆう……と……?」


紬は震えた。

「名前の存在を……真似してる……!」


ユイは風を揺らしながら言った。

「紬! 影が悠斗の名前の存在を奪ってる!

だから悠斗の“ここにいる理由”が揺れてる!」


真白は涙を浮かべながら言った。

「紬ちゃん……悠斗くんの存在が……影の中に閉じ込められてる……!」


ミナは影を見つめながら言った。

「名前の影が、存在を奪ってる。

名前の意味よりもさらに深い部分……!」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……存在を取り戻すには、影が奪った“存在の響き”を壊さないと」


紬は胸の奥の響きを感じた。

「悠斗の存在を……取り戻す」


■紬が“名前の存在”を呼ぶ

紬は深呼吸し、ステッキを握りしめた。


「悠斗――!」


影は揺れた。

だが、悠斗の胸の奥は光らない。


紬はさらに強く叫んだ。

「悠斗――!!

君はここにいる!!

名前があるから、存在してる!!」


その瞬間、影の中心が大きく揺れた。


ユイが風で影の存在を乱し、真白が治癒の光で悠斗の輪郭を支え、ミナが影の根元を切り裂く。


蓮は紬の肩に手を置き、強く言った。

「紬、もう一度!」


紬は叫んだ。

「悠斗――!!!

君の名前の存在は……絶対に消えない!!」


影は大きく揺れ、黒い霧となって崩れ落ちた。


悠斗の胸の奥が光った。


「……ぼく……ここに……いる……!」


紬は微笑んだ。

「うん。ちゃんといるよ」


■影の残滓は“名前の存在”まで狙う

ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……影の残滓は名前の存在まで奪えるようになってる。

昨日よりもさらに危険だよ」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……街の名前の響きが、もっと不安定になってる……」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の欠片は、名前の形・音・記憶・未来・意味・存在を真似できる。

影の原型がいなくても、影は進化してる」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……影の残滓を止める方法を見つけないと、街の名前が全部揺れる」


紬は胸の奥の響きを感じながら言った。

「影の残滓……全部集めて、止めなきゃ」


蓮は紬の手を握り返し、強く頷いた。

「紬、一緒にやろう。街の名前を守る」


紬は蓮の瞳を見つめ、静かに頷いた。

「うん。絶対に」

あとがき(紬の日記)

影の欠片は“名前の存在”まで奪えるようになっていた。

悠斗の存在を呼んだ瞬間、胸の奥が強く光った。

影は進化している。

街の名前の響きがさらに不安定になっている。

明日は影の残滓の中心を封じる方法を探す。

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