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一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第4章:影の残滓と新しい名前の脅威
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【第33話】 名前の“影響域”が広がる

街の中心に残った黒い渦は、昨日よりもさらに大きく、濃く、深くなっていた。

影の心臓が止まったはずなのに、残滓はまるで新しい鼓動を探すように揺れている。


紬は観察ノートを胸に抱え、渦の中心を見つめた。

胸の奥の「風花」という響きは安定している。

だが、渦の近くに立つと――その響きがわずかに震えた。


蓮は紬の隣で言った。

「紬……影の残滓、昨日よりも広がってる。街全体に“影響域”ができてる」


紬は息を飲んだ。

「影響域……?」


ルクは震えながら言った。

「紬……渦の奥から“名前の空白”みたいな響きがするよ……昨日より強いよ……」


■影響域が広がる街

ユイが風を揺らしながら渦を見つめた。

「紬……風が街のあちこちで黒い粒を運んでる。

影の残滓が広がって、街全体が“名前の揺れやすい状態”になってる」


真白は胸を押さえ、苦しそうに言った。

「名前の響きが……街の空気に引っ張られてる……」


ミナは地面に落ちた黒い粒を拾いながら言った。

「影の残滓は、影の心臓が壊れたときに散ったもの。

それが街の空気に混ざって、名前の響きを揺らしやすくしてる」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「名前が揺れやすい街……危ないよね」


蓮は静かに言った。

「紬……影の残滓が集まる場所を見つけるだけじゃ足りない。

街全体の“名前の揺れ”を抑えないと、影の欠片が何度でも生まれる」


紬は頷いた。

「街の名前の響きを……守らなきゃ」


■名前の揺れが起きた場所

そのとき――

ルクが強く震えた。


「紬……名前の揺れが起きてるよ……すぐ近く……!」


紬は息を飲んだ。

「どこ……?」


蓮が指差した。

「紬、あそこ。公園の入り口」


紬たちは走った。


公園の入り口には、小学生くらいの男の子が立っていた。

彼は胸を押さえ、苦しそうに息をしている。


ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……この子の名前、揺れてる!」


真白は駆け寄り、男の子の肩に触れた。

「大丈夫……? 名前の響きが……弱くなってる……」


ミナは周囲を見回しながら言った。

「影の残滓が、この子の名前に集まってる。

揺れた名前を求めて、残滓が寄ってきたんだ」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「この子の名前を……呼ばなきゃ!」


■紬が名前を呼ぶ

紬は男の子の目を見つめた。

「君の名前……教えて」


男の子は震える声で言った。

「……はると……」


紬は頷き、強く言った。

「はると!」


男の子の胸の奥に光が灯る。

だが――弱い。


影の残滓は、はるとの名前を強く引っ張っていた。


紬はさらに強く叫んだ。

「はると――!」


その瞬間、はるとの胸の奥が強く光った。

影の残滓が一瞬だけ揺らぐ。


ユイが風で残滓を吹き飛ばし、真白が治癒の光ではるとの輪郭を支え、ミナが残滓を切り裂く。


蓮は紬の肩に手を置き、静かに言った。

「紬……名前の響きが戻ったよ」


はるとはゆっくりと息を整えた。

「……ありがとう……」


紬は微笑んだ。

「よかった……」


■影響域は広がり続ける

ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……影の残滓はまだ街に散ってる。

はるとみたいに名前が揺れる人が、これから増えるかもしれない」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……街全体が影響域になってるよ……」


ミナは渦の方向を見つめながら言った。

「影の欠片は、名前の揺れが起きれば何度でも生まれる。

影の原型がいなくても、残滓は影を作れる」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……影の心臓を止めた後の世界は、まだ終わってない。

街全体の名前を守る戦いが始まったんだ」


紬は胸の奥の響きを感じながら言った。

「影の残滓……全部集めて、止めなきゃ」


蓮は紬の手を握り返し、強く頷いた。

「紬、一緒にやろう。街の名前を守る」


紬は蓮の瞳を見つめ、静かに頷いた。

「うん。絶対に」

あとがき(紬の日記)

影の残滓は街全体に広がっていた。

名前の揺れが起きれば、影の欠片が生まれる。

はるとの名前を呼んだ瞬間、胸の奥が強く光った。

街の名前を守る戦いが始まった。

明日は影響域の中心を探す。

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