救えるか!?
2話投稿(時間がないから書けない)
その言葉を聞いた瞬間、裕樹はヤバイと感じた。
そして、スマホを食い入る様に見た。
そこには十字架に縛り付けられた白和の姿があった。
心臓が煩いほどに耳に響く。
そして、見ている途中で気がついた。
「……此処どこかで……?」
暗くて怪しい所なんて裕樹は知らない。
それこそ、オカルト部に地下室でもない限り無い話であろう。
そんな考えをしていると、ある場所が頭に浮かんだ。
その場所とは演劇部である。
演劇部なら、色々なセットが有るはずである。
しかしながら、体育館にはバスケ部などがせいびをしていて、宗教の集会場所の様な場所では不適切である。
だが、演劇部にはある場所が設けられていた。
バスケ部の練習音などが煩くて、工作部に作って貰った仮設演劇場があった筈である。
オカルト部からは、思いの外近い。
なので、オカルト部の部長に謝り、オカルト部から出て行った。
「すみません、別の場所でした。ちょっと行く所が有るので行ってきます」
「…あ、はい」
ではさようならと言って、走り去る裕樹。
その背中を見て、オカルト部の部長は呟いた。
「……画面で見るよりカッコいい……間に合うかな?少なくとも、結構作品からはズレてると思うけど」
オカルト部の部長は少し不敵な笑みを浮かべて裕樹の背を見送った。
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裕樹が、仮設演劇場に向かうと大勢の人が飛び出してきた。
その内の一人に話を聞いた。
「おい!此処、ファンクラブの集会場か!?」
「何処のファンクラブの集会場を探してるのか知らないが、生徒会長のファンクラブの集会場だ!!」
ビンゴと思いながらも、ある匂いが鼻に着く。
それは焦げる匂い。
まさかと思いながら、ファンクラブの集会場と教えてくれた人に聞いた。
すると案の定だった。
「中で何が起きたの!?」
「火事だよ!火の周りが凄いから逃げたんだよ!」
そう言うとファンクラブ会員は逃げて行った。
呆然としながらも、スマホを見る裕樹。
そこには、やけに明るく少し咳き込む白和の姿があった。
画面の端には火花が見えていた。
裕樹は思わず仮設演劇場に飛び込んだ。
辺りには炎があり、熱いと感じる。
奥の方に十字架に縛り付けられた白和の姿があった。
その白和の姿を見て、裕樹は白和に向かって走り出した。
「大丈夫!?白和!」
「……大丈夫……だと思いたい……」
白和のその声を聞いて、慌てる裕樹。
縄を切る道具が無いか探す裕樹。
割れたガラスが落ちてあったので、それで白和の体を傷つけないように切る。
縄を完全に切った後に、十字架から白和を降ろす。
そして、入り口に向かおうとするが、大きな音を立てて、天井が落ちてきた。
それによって、入口が塞がれ出口が無い状態になる。
裕樹は白和に聞く。
「あそこ以外に出口ってある?」
「……裏口があった筈だけど……」
それを聞いた裕樹は、白和を抱えて裏口を探した。
そして、裏口を見つけた。
だが、その扉は鉄で出来ており無情にも普通では開かなかった。
「……扉変形しちゃった…?もしかして」
「そうみたい」
そう言うと裕樹は、扉に体当たりを始めた。
体当りをする度に、肩が痛くなる。
何度も何度も……しかし、少し開いただけで全く開かない。
そして、火の手は其処まで来ている。
そんな時に、裕樹のスマホから電話が掛かってきた。
こんな時に!と思いつつも画面を見る。
其処には非通知と書かれている文字が。
裕樹は扉に体当りをしながら、電話に出た。
「もしもし!今大変だから後にしてくれませんかね!?」
「裕樹!!生きてるか!」
「その声は……裕也?」
電話の相手は裕也だった。
その声を裕樹が聞いた時、救いの手が裕樹の手を掴んだ気がした。




