22話
御者さんと別れ、久々にディルクロッドの街を堪能している俺。しかし、左右にいるルーナとアリスはこの街の風景が珍しいかのようにキョロキョロと見渡していた。
そんな2人の姿を見見て俺はクスリと笑った。
「珍しいだろ?」
そう声を掛けると、二人はビクッ!とした後に、こちらに顔を向ける。
「そ、そうですね、珍しい………と言うよりも、初めて見たので」
「まぁ、こんな技術使ってるところなんてこの街しかないからな」
俺は六ヶ月ぶりに帰ってきた街を眺める。
「この街では、街の至るものが全て魔力石呼ばれる魔力を溜めることの出来る石が動力源となっているからな例えばーーー」
と、俺は道の端っこに建っている街灯を指さす。
「あれなんかもそうだし、あそこの店の明かりなんかもそうだ」
「流石、魔法大国と言われるだけあって、至る所に魔法が使われているわ……そりゃ、王都の方と仲が悪いわけよね………」
「?どういうこと?ルーナちゃん」
あれ、アリスにはなんでここと王都が仲悪いかの話ししてなかったっけ?
「アリスはあんまり魔法のこと知らないから無理も無いわね……簡単に言うと、この街の魔法の使い方は全て、向こうでは無駄だと言われてるのよ」
「無駄?」
「魔法は戦闘以外での使い方は全くもって非生産的なことである……向こうの凝り固まった考え方と、魔法は全てにおいて人の助けとなるものであると言うここの考えが、全くもって真反対。だから、ディルクロッドと向こうの折り合いは悪い………ま、あんまりアリスが気にするようなことじゃない」
言うなれば上の厄介事だ。魔法三家の俺には少し関係はあるが、いざとなったら魔法使って黙らせーーーーと、なんか思考が俺勇者に似てきてない?大丈夫?
「……どうしたの?そんな珍しくあの勇者と意見が一致してしまって『やっべー、やっぱ選択肢ミスったわー』みたいな顔をして」
「的確すぎんだろ、あとどんな顔だそれ」
ルーナのあまりにも限定的すぎる状況にツッコミを入れる。
というか、マジで勇者と珍しく意見が一致したらどんな顔になるかは知らんが、マジでそう思うから。
「………んお?」
その時、何かーーーというか、凄く馴染みのある魔力がこちらに向かって急接近してくるのを感じた。
「……なに、この感じ」
優れた魔法使いというものは、同じ優れた魔法使いの魔力を感じることが出来る。それが優れているもの程感受性が強く、相手がどのくらいの力量なのかがハッキリと分かる。
ルーナ程の使い手が、魔力を感じて冷や汗を流しているというのは、俺と初めて会った時以来のこと。
というか、俺もなんか違う意味で冷や汗バリバリ流れてるんだけどどうしてかなー?
いや、あの……会えるのは嬉しいし、俺もどんと来いと言うところなんだがーーーー
「ティルファー!!会いたかったわーー!!」
「空から来るのは予想外すぎだー!!!」
頭上から見えますのは、俺の黒髪と違い透き通るような水色の髪。アリスとルーナに負けず劣らず整った顔立ち。
正真正銘の俺の姉であり、ディルソフ家長女のフィアン・ディルソフである。
「な、なんですか!?」
「ちょ!?なんか急スピードでこっち来てるけど大丈夫なの!?」
俺は慌てて両手を前に突き出して、すぐさま姉さんを受け止める準備に入る。流石にあんなの受け止めたらいくらなんでもヤバいし、怪我をしてしまう。
減速、衝撃吸収、俺に対しての身体強化も忘れずに次々と受け止める体勢を作り上げていく。
さぁこい!俺がしっかりとうけとめてやーーー
パリーン
「あ」
姉さんが魔法陣に触れた瞬間、俺が受け止めるために作り上げていたのが一瞬にして霧散した。
そういえば、姉さんも俺と同じように神に愛された神童だってこと忘れてーーーー
「ティルファ!」
「んぶ!?」
次の瞬間、俺の視界は何やら柔らかい感触と共に真っ黒に染った。幸い、自分に身体強化をかけていたため、そこまでの衝撃は感じなかったが俺は思いっきり吹っ飛ばされた。
「ティルファ!?」
「ティルファさん!?」




