スキップジャックハット
今日の登場人物
棟方 菫【宛もなく砂浜で暇をつぶそうと思ったが……。】
乗組員達【いわゆるモブだが、縁の下の力持ち……こういう人たちのおかげでたまに話は成り立つ。】
7月の6日、美しき暗殺者。
今日とて陽光地方は30度を超える真夏日。
ウンザリするほど太陽に愛された土地の海水浴場は常に賑わいを見せてはいるものの、今回は別な賑わいを見せていることだろう。
港に停泊してる超弩級戦艦漁船の乗組員達が必死に砂浜をくまなくかき回しているようだが、何かあったとかと聞けばどうにもクラゲがそこそこの数打ち上げられたのだとか。
「クラゲかぁ……。」
「干からびた死骸言えども毒は消えないであります!! 特にカツオノエボシなんかは人を殺せる猛毒を保有しており、見た目の美しさから何も知らない子供が触ると大事になりますからな。」
廃棄処分の袋にはカツオノエボシが物言わずとも長い触手は常に何かを狙っていると揶揄しても過言じゃない。
「例えばこれとかね。」
一瞬砂浜をチョンチョンと指差していてどれに焦点を当てているのかはわからない。
言われてようやく気がつく。
「ほぼ完璧に埋まってて少しだけ触手が出ているのを素足で踏んでもアウトだ。 こういうのも見逃さないために多少掘り起こしてでも見つけなくては。」
「まるで地雷が埋まってると言っても過言じゃあないな。」
幸いにも私は厚い底のサンダルを履いてるので安心だ。
「地雷よりタチが悪いかもしれないでありますな。 金属探知器に引っかからないから。」
「あぁー……それはそうかも。」
周りを見渡しても散歩している客くらいしか今日はいない。
今日の海水浴中止と掲示板には大きく書かれている。
陽光から海を取ってしまえば以外にも寂しい光景が広がっているものだ。
「ここ最近は海のシケでいつとは沖合にいるクラゲが浜辺に流されてきているでありますからね。 いつもなら5月くらいに襲来してくるでありますが……今年は少し遅めと海水浴にピッタリな季節に直撃して、なんだかなぁ……って気持ちになるでありますねぇ。」
乗組員は苦笑いと呆れた顔で熊手を起用に使いながらカツオノエボシが潜んでないか念入りに捜索をしている。
さて、私も話を安易にして仕事をさえぎっては悪いので少し退散することにしよう。
そう言えばカツオカツオと聞いていればカツオが無性に食べたくなる。
大好物というほどではないが刺し身としてならばなかなかに好きな部類には入るだろう。
「それはそうと、カツオノエボシは食えるのだろうか……クラゲだから食えなくはなさそうだが、カツラに持っていったらどんな反応をするだろう。 まぁ、冗談だが。」
砂浜を振り返るとたくさんの乗組員がキレイに一列となって仕事に勤しんでおり、少し寂しい浜辺もこうして明日の賑やかな浜辺として護られているのだと感慨深いものがある。
見かけても触らないようにしよう!!




