表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/62

とある休日③ー騎士団公開訓練(後半)ー

 鐘が叩かれた。公開訓練の始まりの合図だ。砂場内には続々と騎士様達が入場してくる。騎士の制服にも種類があるようだ。白を基調とした騎士服を着ているのが王宮騎士団、紺を基調とした騎士服を着ているのが首都警備団だとリラン君が教えてくれる。


 砂場内に入ると王宮騎士、首都警備団の騎士の二手に分かれて並んでいく。全ての入場が終わったところで、また鐘が叩かれた。それを合図に、ざーっと一定の距離を取って砂場中に広がっていく。その中から王宮騎士の騎士服を身にまとった1人の騎士様が前に進み出る。



「これより、公開訓練を開始します。私は王宮騎士団長のダルクです。日々の訓練により、我らは常に剣技や魔法の腕を磨いています。その訓練の様子を見てもらうことによって、我らが守るここ首都での生活に、より一層の安心を得ていただきたい。それでは、まず剣技の型を披露します」



 団長の号令に合わせて一斉に剣を抜く。そして、ドラの音に合わせて次々と剣の型を振るっていく。勢ぞろいした騎士達の一糸乱れぬ剣技はとても壮観だ。私には武術のことはわからないけど、長い剣術の歴史の中で精査されてきたであろうその型の数々は、無駄な動きがなく綺麗に感じられるのだった。



 さぁ、次は魔法部隊の出番だ。王宮騎士団、首都警備団の騎士様達が退場し、入れ替わる様に黒の魔術師のローブをまとった王宮騎士団魔法部隊の面々が砂場内に入場してくる。入場すると、5つの円にまとまっていく。属性別に固まっているのだろうか。その中から進み出て挨拶をするのは、風格のある初老の男性だ。



「王宮騎士団魔法部隊長のデュークです。今日は攻撃魔法の訓練を行います。防音を施した結界の中で行いますが、5属性の魔法が乱舞する様は音が無くとも目で見て楽しめるのではないかと思います。それでは、お楽しみを。結界を!」



 そういうと、1人の魔術師が中央に立ち、防御魔法をはっていく。そして、攻撃魔法の訓練が始まった。


 属性別だろう5つの円から1人ずつ前に出て、順に魔法を中央の空に向かって放っていく。時間差で発動されたその魔法達は互いを攻撃で打ち消すことはなく、結界に触れては消えていく。その空に向かって放たれる様子、5属性の色とりどりの魔法が集まっていく様子は花火の様でもある。攻撃の威力は強そうだが、結界も強固なのだろう。攻撃魔法が当たってもビクともしない。



 ここで少し休憩がはさまれる。次の模擬戦の準備もあるのだろう。お弁当を取り出して、お昼ご飯を食べることにする。飲み物はリラン君が2人分を屋台で買ってきてくれた。お弁当の中身はサンドイッチとベリーパイだ。ベリーパイが美味しそう!



 休憩の終わりが告げられ、馬に騎乗した騎士様達が入場してくる。そして、8人の騎士様が一列に並び、先程登場した王宮騎士団長が再び現れ、開始を宣言する。


 今日の模擬戦に出るのは、通常の訓練の合間に行われた予選を勝ち抜いた猛者達であることが告げられる。8人の勝ち抜き戦になるので、3回勝てば優勝だ。


 この模擬戦からは皇王陛下もご覧になる。優勝者は皇王陛下から直接お言葉を頂き、剣を下賜される。大変名誉なことだ。なので、公開訓練の模擬戦とはいえ、皆真剣そのものだ。


 そして、模擬戦が始まった。馬を巧みに操り、槍と槍がぶつかり合う音が響く。すごいスピードだ。目で追うだけで必死で、私に分かるの明らかにどちらかが優勢にたっていた時くらいだ。実力が均衡してる時なんかは、最後までどちらが勝つか分からずドキドキしながら見守る。槍の刃は潰してあるらしいが、それでもすごい迫力である。


 そして、優勢決定戦。進み出たのは、どちらも歴戦の戦士といった風格の30代後半くらいの騎士様だ。2人とも渋くてかっこいい!


 かっこよさに見惚れていると、優勝決定戦が始まった。必死で目で追う。力は均衡してるように見える。周りも固唾を飲んで見入っている。


 訓練場に響くのは槍と槍がぶつかり合う音と、馬の駆け抜ける蹄の音だけである。どれくらい見入っていたのだろう。集中していたから、時間の感覚がない。あっという間だったのか、長丁場だったのか。今、目に映るのは1人の騎士様が対戦相手の目の前に槍を突き付けている姿…。勝負はあったようだ。


 優勝したのは首都警備団の騎士様でユアンさんというらしい。王宮騎士団長が名前を呼び上げると、前に進み出る。皇王陛下の御前にだ。すると、皇王陛下は会場にも聞こえる声でお言葉をかけられた。



「これからも国の為に励むように」



 それだけ。たったの一言だったが、初めて聞く皇王陛下のお言葉。その一言にはとても重みが感じられた。そして、そのお言葉のあと、皇王陛下は腰に下げていた剣を手に取り、下賜される。



「ありがたきお言葉。これからも国の為、陛下の為に精進致します」



 そう言って、恭しく刀を受け取った瞬間、会場からは割れんばかりの拍手がおこったのだった。



 これで公開訓練は終わりだ。でも、まだ興奮覚めやらないのか、会場には多くの人が残っている。私達も中々会場を出る気にはなれず、お互い思ったことを語り合ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ