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矢田トモコ冒険譚 35歳のシンデレラ アラブの女神編  作者: トモサン


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74/192

35歳のシンデレラ アラブの女神編 74

…これは、一体、どういうことだ?…


 私は、思った…


 さっきのファラドと葉問のバトルを、撮影するのは、わかる…


 ファラドの裏切りを、サウジ本国に、知らせるためだ…


 国王に、見せるためだ…


 ファラドの裏切りを、撮影して、見せれば、なにより、証拠になる…


 言い逃れは、できないからだ…

 

 撮影=決定的な証拠となる…


 が、


 私を撮影して、どうする?


 この矢田トモコを撮影して、どうする?


 ふと、思った…


 今、撮影しているのは、この矢田トモコが、先頭になって、園児たちと、列車ごっこをして、遊んでいる光景…


 こんな光景を撮影して、どうする?


 ふと、考えた…


 マリアのためか?


 一瞬、考えた…


 オスマンは、マリアが好き…


 だから、列車ごっこをしている、マリアを撮影しているのでは?


 と、思った…


 が、


 違った…


 マリアは、今、オスマンの近くにいる…


 つまりは、この列車ごっこに参加していない…


 さっきも、そうだが、まるで、女王様のように、列車ごっこには、加わらず、外から、見ている…


 外から、指示を下している…


 その方が、全体を見渡せるからだ…


 なまじ、いっしょになって、参加すると、わけがわからなくなる…


 一歩、引いて、全体を俯瞰(ふかん)して、見ると、わかることが、中に入ると、わからなくなる…


 だから、一歩、引いてみる…


 その行事には、参加しない…


 それが、大事だ…


 仕事でも、なんでも、いっしょになって、やると、外から見る視点が、欠けるせいで、わけが、わからなくなる…


 あくまで、参加しないで、外から、見る視点が、大事…


 そういうことだ…


 私は、この電車ごっこに、加わらないマリアの姿を見ながら、そんなことを、考えた…


 考えながら、


 …まさかな…


 とも、思った…


 まさか、3歳のマリアが、そんな視点で、この電車ごっこを見ているはずが、なかった…


 いや、


 ふと、思い直した…


 もしかしたら、あるかもしれない…


 その可能性もある…


 なぜなら、マリアの傍らに、オスマンが、いるからだ…


 もしや、オスマンが、マリアに、


 「…列車ごっこには、加わらず、ここで、見ていろ…おかしなことが、あったら、教えるんだ…」


 とでも、言えば、いい…


 つまり、電車ごっこに、加わらないで、おかしなことがあったら、傍から見て、修正するのが、一番だ…


 と、マリアに指示したのかもしれない…


 マリアは、子供ながら、賢明だから、オスマンの意図が、すぐに、飲み込めたのかもしれない…


 考え過ぎかもしれないが、ふと、そう思った…


 そう思いながら、なぜ、オスマンが、マリアを好きなのか、今さらながら、気付いた…


 オスマンはアラブの至宝と呼ばれるほど、頭がいい…


 優れている…


 そして、オスマンに、限らず、頭のいい人間は、誰もが、頭のいい人間が、好き…


 例外は、ない…


 だから、オスマンは、マリアが好きなのだと、気付いた…


 マリアは、子供ながら、利発…


 頭が、いい…


 だから、オスマンは、好きなのだ…


 しかも、マリアは、子供ながら、美人…


 母親のバニラに似て、美人だ…


 だから、大げさに、言えば、非の打ち所がない…


 真逆に、オスマンは、おそらく、頭の悪い人間が嫌いに、違いない…


 頭のいい人間は、同じように、頭のいい人間が、好きだが、同時に、頭の悪い人間が、嫌い…


 これもまた、ほぼ例外がない…


 はっきり言えば、頭の悪い人間が、わけのわからないことを、言うのを、聞くのが、嫌なのだろう…


 それは、この矢田にも経験がある…


 昔、バイトで、知り会った女が、平凡極まりないルックスで、平凡極まりない学歴にも、かかわらず、いかに、自分が、凄いか、周囲に吹聴していた…


 当然、性格も悪い(爆笑)…


 だから、当然ながら、職場で、嫌われていた…


 が、


 本人は、気付かない…


 目に見えて、嫌われていないからだ…


 その女が、結婚したと、風の噂で、聞いたが、十年ぐらい経って、偶然、スーパーで、会うと、当時、結婚したと、聞いた男とは、まったくの別の男と歩いていた…


 私は、その女が、どんな男と結婚したのか、詳しくは、知らない…


 会ったことが、ないからだ…


 が、


 その女が、当時、付き合った男をケータイの待ち受け画面にして、周囲に、見せびらかしていたから、ルックスは、知っていた…


 小柄な男だった…


 にも、かかわらず、十年後に、会ったときは、大柄な男と、歩いていた…


 しかも、傍には、幼い子供もいた…


 つまりは、前夫と別れて、再婚したのだろう…


 ある意味、当たり前のことだった…


 性格が悪く、職場で、忌み嫌われている女と、付き合うバカな男は、普通は、いない…


 どうして、付き合ったかといえば、職場が、違うからだ…


 そして、その男の職場に女がいないからだ…


 だから、付き合う…


 それだけだ(笑)…


 仮に、男も、その女と、同じ職場なら、普通は付き合わない…


 まともな感覚をしていれば、付き合う男は、皆無だからだ…


 会社で、忌み嫌われている女と結婚すれば、どうなるか? 


 想像がつくからだ…


 実際、問題、その女が、再婚したであろう男は、見るからに、労働者というと、言葉は、悪いが、ガテン系だった…


 いわゆる、職人というか…


 普通は、ガテン系の職場に女はいない…


 女がいないから、どこかで、その女と、知り会って、結婚したに違いなかった…


 そして、今、数年経って、その女が、その男と結婚しているかと、問われれば、微妙…


 実に、微妙だ(笑)…


 嫌な人間は、誰もが、嫌…


 嫌でないのは、同じように、他人から、嫌われている人間…


 嫌われ者同士、気が合うのだろう…


 残念ながら、それは、事実だ…


 その女は、平凡極まりないルックスだったが、これは、例えば、佐々木希のような美人でも、同じ…


 どんな美人でも、性格の悪い女と、いっしょに暮らすのは、勘弁してもらいたいからだ…


 私は、それを思い出した…


 そして、その女と、いっしょにいた男や女を思い出した…


 すべからく、その女と、気があっていた人間たちは、男女を問わず、性格が、悪かった(笑)…


 まさに、類は友を呼ぶ(笑)…


 そして、男女を問わず、上昇志向が、強かった…


 学歴が、劣れば、劣るほど、上昇志向が強かった…


 これは、一体なぜ?


 これは、一体どうして?


 当時は、私も悩んだものだ…


 そして、冷静に考えれば、自分の実力が、わからないのだと、結論づけた…


 さらに、いえば、他人の実力も、わからなかった(笑)…


 おおげさに、言えば、偏差値70の高校を出て、早稲田や慶応を出ても、同じ仕事をして、自分の方が、できれば、自分の方が、優れていると、心の底から、思っているひとたちだった…


 そして、そんな人間たちを間近で、見れば、まともな感覚の人間は、皆、裸足で、逃げ出す(笑)…


 実を言えば、私も、裸足で、逃げ出した一人だった(爆笑)…


 この矢田トモコも、裸足で、逃げ出した一人だった(笑)…


 そして、もし、このオスマンが、そんな人間たちを、目の当たりにすれば、どうなるか?


 文字通り、我慢できないだろう…


 そういうことだ(笑)…


 できもしないことを、平然と、いい、結局、できない…


 そういう人間たちを目の当たりにすることを、我慢できるはずがなかった…


 アラブの至宝と呼ばれるほど、優れた頭脳の持ち主のオスマンには、耐えられない事態だったろう…


 頭がいい人間が、頭の悪い人間を嫌いというのは、そういうことだった…


 ただし、頭が、いい=学歴が高いではない…


 頭が、悪い=学歴が低いではない…


 今、挙げた、職場で、嫌われていた女を見て、自分も、いっしょに、共にいること自体が、頭が悪い証拠だった…


 普通の頭があれば、


 「…あの女といっしょにいれば、性格が、悪く思われるから…」


 と、言って、逃げ出すか、傍には、近寄らないのが、当たり前だからだ(爆笑)…


 それが、できないのが、頭の悪い証拠だった…


 そして、そういう人間は、すべからく、プライドが、高かった…


 それは、どうしてか? と、これも、当時は、悩んだものだ…


 結局、わかったことは、これは、以前も書いたことが、あったが、仕事は、勉強とは、違って、結果が、わかりづらいということだった…


 勉強では、例えば、同じクラスで、試験をして、英語でも、数学でも、一番や二番になれば、優れていると、考える…


 が、


 例えば、40人、同じ部にいても、全員が、同じ仕事をしているわけではない…


 やることが、違うからだ…


 例えば、隣の席に、座る、同僚と、自分のやる仕事が、まるで、違うことは、結構ある…


 だから、わからない…


 そして、仕事は、どんな仕事も、そうだが、末端でする仕事が、優れているのが、一番…


 つまりは、手が早く、飲み込みが、速ければ、一番だ…


 そして、ハッキリ言えば、頭の悪い人間は、末端で、優れていれば、自分は、優れていて、簡単に、上に上がれると、考える…


 わかりやすい例で、いえば、例えば、牛丼の吉野家で、働いたとする…


 すると、早稲田や慶応を出た高学歴の人間が入社しても、最初は、店舗で、働いて、その後、本社で、人事や、経営という職場で、働いて、もらいたいと、考える…


 吉野家は、あくまで、牛丼屋…


 牛丼を売って、商売している…


 だから、どんな高学歴の人間でも、最初は、店舗スタッフを経験してもらいたいと、考えるからだ…


 牛丼を売って、もらいたいと、考えるからだ…


 そして、早稲田や慶応を出た、高学歴の人間でも、店舗で、働く、高卒の人間に、劣ることは、枚挙にいとまがない…


 って、いうか、ありふれている(笑)…


 ハッキリ言えば、別段難しい仕事ではないから、手が早く、飲み込みが早ければ、いい…


 そして、早稲田や慶応を出た高学歴の人間でも、トロトロとして、うまく、仕事ができない人間がいる…


 すると、自分の方が、仕事ができると思って、


 「…早稲田や、慶応を出ても、使えねーな…」


 と、悪口を言う…


 そして、自分の方が、優れていると、心の底から、思う(笑)…


 そんな光景は、ありふれているというか、何度も見た…


 そして、それが、末端で、優れていると、いうことだった…


 が、


 そこに、頭は、関係ない…


 学歴は、関係ない…


 なにより、そのことでしか、他人を評価できないのが、問題なのだが、それを言っても、わからない人間は、わからない…


 そして、それが、能力だということに、後年、気付いた…


 学歴ではない、頭の善し悪しだと、気付いた…


 また、同時に、頭の善し悪しと、仕事について、考えた…


 いくら、頭が良くても、その頭の良さを生かせなければ、なんともできない…


 吉野家の店舗スタッフはいい例だが、こんなことは、世間にありふれている…


 例え、東大を出ても、その優れた頭脳を生かすことができなければ、社会で、成功しない…


 たまたま、入社した会社や仕事が、自分に合わなければ、悲劇になる…


 そして、それもまた、世間で、ありふれている…


 私、矢田トモコが、さまざまな、会社で、派遣や契約社員や、バイトで、見た、それが、真実だった…


 そして、それは、ハッキリ言えば、運による…


 運の要素が、大きい…


 たまたま、自分の入社した会社の仕事や、同僚が、自分に合っていたから、出世できた…


 それが、大きい…


 出世した人間は、皆、頭がいいのは、もちろんだが、正直、言って、私は、友人、知人で、出世した人間よりも、明らかに、頭のいい人間を知っていた…


 が、


 その頭のいい、友人、知人が、今、どうしているか、さっぱり、わからない…


 普通に、考えれば、それほど、出世していないだろう…


 それを、思うと、出世には、運、不運が、伴うと、思う…


 いくら、頭が良くても、自分にまったく、合わない職場や、仕事をさせられて、成果が出るわけがないからだ…


 だから、運の要素が大きい…


 ハッキリ言えば、運があるか、ないかで、人生が、決まってしまう…


 結婚もそう…


 私は、たまたま、大金持ちの葉尊と結婚できたが、普通は、学生時代の友人、知人や、職場で、知り会った人間と結婚するものだ…


 その中で、気の合った人間や、波長の合った人間と、結婚するものだ…


 が、


 たまたま、その職場では、自分と合う人間がいないことも、ある…


 そうなると、悲劇…


 その職場では、結婚相手が、見つからない…


 そして、それもまた、よく聞く話だ…


 ずっと、以前に、つかこうへいという高名な劇作家が、勉強が、一番いいと言ったことを、彼の本で、読んだ…


 勉強が、一番というのは、例えば、クラスで、アイツが、一番頭がいいというのは、誰にも、わかる話だからだ…


 テストの成績が、良ければ、いいからだ…


 が、


 会社に入れば、出世などは、さっぱりわからない…


 これまで、言ったように、職場や、仕事が合うかどうかは、さっぱり、わからないからだ…


 ハッキリ言えば、運に左右される…


 が、


 勉強は、それがない…


 だから、いいと、つかこうへいは、言っていた…


 私も歳を取った今、その発言に、心の底から、納得する…


 若い時も、その発言は、理解できたが、実感はできなかった…


 なぜなら、そんな経験は、まだしてなかったからだ…


 それが、今、35歳になると、実感する…


 そんな経験をしたからだった…


 そして、人脈…


 会社で、たまたま、巡り会った上司が、出世して、自分も引き上げてもらう…


 それが、あるか、ないか?


 それも、また運…


 運次第だ…


 だから、勉強が一番…


 一番だ…


 そんなことに、左右されないからだ…


 私は、つくづく、思った…


 そして、そんなことを、考えながら、オスマンと、マリアの二人を見た…


 まさに、お似合い…


 お似合いの二人だった…


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