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矢田トモコ冒険譚 35歳のシンデレラ アラブの女神編  作者: トモサン


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35歳のシンデレラ アラブの女神編 3

「…得な性格か…」


 私は、呟いた…


 私は、独り言を呟いたつもりだったが、葉尊が、私の言葉尻を捉えた…


 「…得な性格? …どういうことですか? …お姉さん?…」


 私は、今、自宅で、夫の葉尊と、食事中だった…


 夫の葉尊は、29歳…


 長身のイケメンだ…


 私は、縁あって、この葉尊と結婚した…


 が、


 正直、似合わないこと、この上なかった…


 一見すると、芸能人と、ファンの関係のようだった(涙)…


 長身のイケメンと、身長159㎝で、六頭身で、幼児体型の私…


 だが、正真正銘の夫婦だった…


 まがうことなき、夫婦だった…


 私は、そんなことを、考えながら、


 「…リンダの言ったことさ…」


 と、葉尊に告げた…


 「…リンダ…ですか?…」


 「…そうさ…」


 「…アイツが、私のことを、得な性格…得な性格と、何度も繰り返して…」


 「…どうして、そんなことを?…」


 「…簡単さ…今日、昼間、リンダの家に行ったのさ…そこに、バニラもいて…私たち3人で、話していたら、バニラが冗談で、葉尊と、リンダができてるんじゃ? と、言って、リンダが激怒して…」


 私は、言いながら、思わず、


 …しまった!…


 と、思った…


 他ならぬ、葉尊の前で、そこまで、言っていいものか、どうか、考えるべきだった…


 思わず、自分の発言を悔いた…


 が、


 すでに、言葉にしてしまっては、仕方がない…


 覆水盆に返らずというやつだ…


 私は、慌てて、目の前の葉尊の反応を見たが、葉尊は、楽しそうに笑っていた…


 「…それで、どうしたんですか?…」


 「…リンダが、怒髪天を衝く勢いで、怒るものだから、バニラが、冗談よ、冗談と、謝ったが、リンダは、激怒したままで、仕方なく、バニラは、逃げ出したのさ…」


 「…バニラが?…」


 「…そうさ…」


 「…」


 「…それで、そのリンダの怒りが、私にも向けられて、私もバニラ同様、逃げ出そうとしたら、あまりにも、リンダが怖かったから、思わず、足が、絡んで、部屋で、転んでしまったのさ…」


 「…転んだ?…」


 「…そうさ…転んだ、私が、万事休すと、思って、目を閉じて、リンダが、襲いかかるのを、覚悟して、待っていたら、なにもなかったのさ…」


 「…なにもなかった?…」


 「…そうさ…怒ったリンダが、怖かった私は、なにもなかったから、どうなってるんだろ? と、思って、目を開けたら、リンダが、得な性格と言って、笑いだして…」


 「…」


 「…お姉さんを見ていると、怒ることができないなんて、ぬかすんだ…葉尊…オマエ、どう思う?…」


 「…どう思うって、言われても…」


 目の前の葉尊が、戸惑った…


 「…ただ…」


 「…なんだ?…」


 「…リンダは、悪い人間じゃないですよ…」


 「…」


 「…お姉さんに襲いかかるような真似は、しないと思います…」


 「…そうか…」


 私は、言った…


 同時に、目の前の葉尊を信じた…


 なんといっても、私の夫だ…


 信頼できる…


 そう、思ったのだ…


 「…リンダのことは、昔から知っています…悪い人間ではありません…バニラも、です…」


 葉尊が、ゆっくりと、言った…


 リンダは、ともかく、バニラも悪い人間ではないというのは、ちょっと納得できなかったが、なんといっても、バニラは、葉尊の父、葉敬の愛人…


 けなすことは、できなかったのかもしれない…


 私は、そう思った…


 だから、本当は、


 「…リンダはともかく、バニラが悪い人間じゃなくて、どうする? バニラが、悪い人間じゃなければ、この世の中に、悪い人間は、いなくなるゾ…」


 と、言って、やりたかったが、言わんかった…


 グッと、こらえた…


 バニラ風情のことで、夫婦関係に、波風を立てることは、できなかったからだ…


 当たり前のことだ…


 「…そんなことより…」


 と、葉尊が、言い出した…


 「…なんだ?…」


 「…どうして、お姉さんが、リンダの家に行ったんですか?…」


 「…簡単さ…」


 「…簡単って?…」


 「…リンダが、悩んでいたのさ…」


 「…悩んでいた?…」


 「…怯えていたと、言っても、いいさ…」


 「…怯えて?…」


 「…そうさ…」


 と、言ってから、


 「…葉尊…オマエがいけないのさ…」


 「…どうして、ボクが?…」


 「…リンダが、言うには、アラブの王族が、近々来日するそうじゃないか…」


 「…ハイ…そうです…」


 「…クールが、その王族と接して、商売にしようとしているそうじゃないか?…」


 「…リンダが、言ったんですか?…」


 「…そうさ…」


 「…」


 「…なんでも、その王族が、リンダ・ヘイワースの熱狂的なファンで、クールの接待に、リンダを同席させるそうじゃないか…」


 「…」


 「…でも、リンダは、メチャクチャ、怯えていたゾ…」


 「…どうして、怯えてるんですか?…」


 「…アラブに連れて行かれると、思っているのさ…」


 「…そんな…」


 「…いや…誰でも、自分のファンというのは、嬉しいが、熱狂的となると、話は、違うゾ…」


 「…どう、違うんですか?…」


 「…なんていうか…一線を越えるというか…」


 「…一線を越える? …どういう意味ですか?…」


 「…ほら、ファンなら、ただ見るだけだろ?…」


 「…ハイ…」


 「…でも、それが、熱狂的なファンとなると、自宅を突きとめて、侵入したり…下手をすれば、犯罪になるかもしれない行動を起こす…」


 「…」


 「…それが、怖いのさ…」


 「…」


 「…たぶん、リンダも、同じだろ…」


 「…同じ?…」


 「…リンダは、言うまでもなく、ハリウッドのセックス・シンボルさ…男なら、リンダと一晩過ごすのは、夢だろ? …まして、アラブの王族なら、それも可能だろ?…」


 私は、言った…


 「…だから、怖いのさ…」


 「…怖い?…」


 「…熱狂的なファンで、金も権力も持っている…そんな人間と知り会えば、リンダをどうにか、したくなるに決まってるさ…」

 

 「…」


 「…だから、下手をすれば、一晩どころか、アラブに連れていかれて、愛人にでも、させられたら、大変だと、思っているのさ…」


 「…そんな…」


 「…いや、美女の悩みなど、そんなものさ…」


 「…お姉さんは、どうして、そんなことが、わかるんですか?…」


 「…私は、美女ではないが、これまで、オマエや、リンダよりも、長く生きてる…長く生きてれば、世間では、無名の一般人でも、美人で、ストーカーに悩まされた女の話など、いくつも、見てきている…」


 「…」


 「…どうあがいても、自分の思い通りにならないことでも、なんとかしようとする人間がいる…要は、相手の気持ちなど、どうでもいいんだな…自分が、満足すれば、いい…だから、下手をすれば、犯罪になりかねない行動を取る…」


 「…」


 「…そして、普通なら、警察に逮捕されるかもしれんから、諦めるところを、アラブの王族や、金持ちなど、警察もおおめに見るだろ?…だから、自分の欲望に歯止めが効かなくなる…」


 「…」


 「…欲しければ、どんなことをしても、手に入れる…リンダもそれが、わかっているんだろ…だから、怖いんだろ…」


 「…お姉さん…」


 「…私は、オマエやリンダやバニラのように、お金持ちでも、イケメンでも、美人でもない…しいて言えば、平凡…平凡極まりない女さ…」


 「…」


 「…だけれども、平凡極まりない女だからこそ、オマエや、リンダや、バニラのような人間が、経験してないことを、経験しているのさ…それが、私の強みさ…」


 「…お姉さん…」


 「…葉尊…オマエももっと市井の人間を見ることさ…」


 「…市井の人間?…」


 「…つまり、一般人さ…金持ちでも、イケメンでも美人でもない、一般人…そんな人間と接していても、十分に世の中のことは、わかるさ…」


 私の言葉に、


 「…お姉さんと、いっしょにいると、勉強になります…」


 と、葉尊は、頭を下げた…


 「…たいしたことじゃないさ…」


 私は、言った…


 「…ただ、私と、オマエたちとは、これまで、生きてきた世界が、違うということさ…」


 「…生きてきた世界、違う? …それは、どういう意味ですか?…」


 「…例えば、皇族さ…」


 「…皇族?…」


 「…生まれてきて、学校でも、普通の公立の小学校や中学校に通うこともない…学習院やら、この国の一握りのエリートが、通う学校に通う…すると、どうだ? 頭の悪い人間は、いないし、みんな金持ちだろ? だから、普通に公立校に通う人間とは、違う環境で、育つことになる…」


 「…違う環境?…」


 「…ほら、世間では、金持ちケンカせずと言われてるだろ…アレは、金持ちは、利にさといからというが、私は、違うと思う…」


 「…どう違うんですか?…」


 「…金を持っている人間の方が、性格がいいのさ…」


 「…性格がいい?…」


 「…そうさ…金を持っているから、生活に余裕ができる…だから、小さなことで、ケンカをしないということさ…」


 「…」


 「…真逆に、貧乏人は、生活に余裕がないから、すぐに、ひとと争う…金がないから、心に余裕がなくなり、すぐに、夫婦でケンカになり、家族で、いがみあう…」


 「…」


 「…金は、大切さ…」


 私は、言った…


 すると、葉尊が考え込んだ…


 「…お姉さんには、いつも、教えられます…」


 と、私に頭を下げた…


 「…たいしたことじゃないさ…」


 私は、言った…


 「…ただ、私とオマエとは、今も言ったように、育った環境が違う…見てきた世界が違うということさ…」


 「…」


 「…どんな人間も、自分の見てきた世界のことしか、知らない…だから、さっきの皇族の話に戻れば、金がない人間の苦しみは、わからないに違いないさ…」


 「…」


 「…いや、本やネットで、見れば、頭では、わかるが、実感が湧かないに決まってるさ…それは、経験してないから、当然さ…」


 「…」


 「…これは、どんなこともそうさ…ひとは、誰でも、自分の経験しないことは、正直、わからないさ…せいぜい、想像を膨らますぐらいのものさ…だから、それは、仕方がないことさ…」


 私は、言った…


 それから、思った…


 「…もしかしたら、これから、来日する、そのアラブの王族も同じかもしれないさ…」


 「…どう、同じなんですか?…」


 「…アラブの王族といえば、お金持ちだろ? …日本の皇族どころか、もっと、桁外れのお金持ちに違いない…」


 「…桁外れのお金持ち…」


 「…そうさ…すると、どうだ? わがままになる…」


 「…」


 「…きっと、欲しいものは、なんでも、手に入れないと、すまないと、思うようになるかもしれん…」


 「…」


 「…それが、わかっているから、リンダは、恐れたんじゃ、ないのか?…」


 「…」


 「…生まれたときから、甘やかされ、なんでも、手に入れられる…そんな環境で、育った人間ほど、怖いものはないさ…」


 「…」


 「…葉尊…オマエが、どう思っているか、わからんが、リンダは、オマエにとっても、私にとっても、大切な友人だ…守ってやれ…」


 「…守って?…」


 「…そうだ…オマエは、リンダの幼馴染(おさななじみ)だから、リンダに魅力は、感じないかもしれん…だが、私ですら、リンダを見ると、ときどき、ドキッとすることがある…そのあまりの美しさに、だ…」


 「…」


 「…テレビや映画で、リンダに憧れた人間が、生身のリンダ・ヘイワースを見れば、やはり、同じだろう…それは、普段、見慣れた私よりも、もっと、衝撃が大きいだろう…」


 「…」


 「…そして、そんな衝撃を受けた人間が、どうするかは、誰にもわからないさ…リンダと、一晩共にしたいとか、言い出すぐらいなら、可愛いものだが、さっきも言ったように、アラブに強引に連れて行かれて、愛人にでも、されたら、堪らないさ…」


 「…お姉さん…いくら、なんでも、考え過ぎじゃ…」


 「…いや、考え過ぎじゃないさ…」


 「…」


 「…私は、リンダやバニラのように、有名人でもないし、美人でもないさ…でも、一般の美人でも、似たような例を見たことがあるさ…」


 「…それは、どんな…」


 「…小さなことさ…昔、バイト先で、知り会った美人のお姉さんさ…ちょうど、関連会社の男たちと、飲み会をして、別れたときに、その関連会社のうちのひとりの男が、送っていきますよと、声をかけたそうだ…」


 「…」


 「…でも、そのお姉さんは、アナタに送ってもらうつもりは、ありませんと、キツイ口調で、断ったそうだ…相手も、あんまりキツイ口調だから、ビックリして、職場で、話題になって、その話が、周りに回って、私の元にも、届いたのさ…」


 「…」


 「…私は、その美人のお姉さんとも、結構、仲が、良かったから、どうして、そんなキツイ口調で、言ったんだ? と、そのとき、聞いたのさ…」


 「…どうして、だったんですか?…」


 「…理由は、単純さ…男に変な下心を抱かれると、困るからと言ってたさ…」


 「…」


 「…美人は、生まれたときから、美人さ…だから、それこそ、小学生のときから、同級生の男の子にモテる…それだから、免疫ができるというか…どうすれば、いいか、考えるようになる…」


 「…どういうことですか?…」


 「…好きでもない男に言い寄られでも、したら、困るだろ? …だから、相手が、自分に近寄って来ないように、好きでもない男なら、早めに、対策を取っておくというか…言っておくに、限るそうだ…」


 「…」


 「…私も女だ…正直、美人は羨ましいが、美人に生まれれば、美人に生まれるで、実に、大変だと思ったものさ…」


 「…」


 「…まあ…私の場合は、そんな苦労はなかったから、それはそれで、残念だったが…」


 私は言った…


 葉尊は、私の言葉に、考え込んだ…


 しばらく、黙り込んだ…


 それから、


 「…そんなふうに、言われると、たしかに、リンダの悩みもわかります…」


 と、葉尊が、呟いた…


 「…だろ?…」


 「…ハイ…でも…」


 「…でも、なんだ?…」


 「…悩んでも、仕方がないんじゃないでしょうか?…」


 「…どういう意味だ?…」


 「…言葉は悪いですが、いくら悩んでも、どうにか、なるものじゃないということです…」


 「…」


 「…今回、アラブの王族が、来日するに、あたり、リンダ・ヘイワースの接待は、外せないものです…だから、リンダも、それは、すでに承知してます…」


 「…」


 「…だから、リンダが、悩むのは、わかりますが、悩んだところで、どうにか、なるものじゃない…リンダには、すまないですが…」


 「…そうか…」


 「…ただ、リンダが恐れる事態にならないように、考慮するつもりです…」


 「…そうか…」


 私は、言った…


 たしかに、これまでの話を聞く限り、今さら、どうにか、なる話ではないかもしれない…


 なにより、それは、リンダ自身、良く分かっていることだろう…


 ここは、私ごときが、これ以上、口を挟むことではないかもしれん…


 私は、思った…


 結局、葉尊と、リンダの話は、それで、終わりだった…


 ただ、私としては、葉尊に、リンダの件は、念を押すと言うか…


 考慮してもらいたかった…


 なんといっても、リンダは、私の親しい友人だった…


 性格もいい…


 おまけに、美人だった…


 だから、そんなリンダが、どうにかなったら、大変だと思ったのだ…


 そんなことを、考えていると、


 「…お姉さんは、リンダが好きなんですね…」


 と、葉尊が言った…


 私は、


 「…好きさ…」


 と、答えた…


 「…美人だし、有名人だし、性格もいいし、おまけに、私を好きだ…嫌いになんて、なれないさ…」


 「…」


 「…私もリンダの力になってやりたいが、私では、リンダの力になれないさ…だから、葉尊、オマエに頼むんだ…」


 「…お姉さん…」


 「…とにかく、リンダのことを、頼むゾ…」


 私は、言った…


 「…リンダは、なにしろ、オマエの幼馴染(おさななじみ)でも、あるんだ…」


 「…ハイ…」


 葉尊が、答えた…


 私は、それを聞くと、安心した…


 なにしろ、私の夫だ…


 信頼できるからだ…


 私は、それを最後に、食事をやめて、自分の部屋に戻ろうとした…


 その私の背中に、


 「…お姉さん…」


 と、葉尊が、声をかけた…


 「…なんだ?…」


 私は、葉尊を振り返った…


 「…もし、リンダになにか、あったら、どうしますか?…」


 「…助けるさ…」


 私は、断言した…


 「…助ける?…」


 「…当たり前さ…私の大切な友人だ…葉尊…オマエに、とっても、そうだろ?…」


 「…ハイ…」


 「…自分の大切な友人が、苦境にあえば、自分のできることは、やる…それが、友人のすることじゃないのか?…」


 「…ハイ…」


 「…商売は、大事だが、友人も大事だ…」


 「…」


 「…オマエや父親の葉敬が、リンダに接待させて、商売を有利にしようとすることは、理解できる…だが、その陰で、誰かが、涙を流すようなことが、あっては、ならん…」


 私は、断言した…


 「…私は、難しいことは、わからんが、誰かが、涙を流すような事態が、密かに起きて、それで、結果的に、商売が、うまくいっても、それは、成功なんかじゃないさ…失敗さ…」


 「…」


 「…成功というのは、みんなが、喜ぶものさ…誰かが、犠牲になって、する成功なんて、なんの意味もないさ…」


 「…」


 「…だから、もし、リンダが、泣くようなことがあれば、それは、失敗さ…」


 「…」


 「…葉尊…だから、そんなことが起きないように、オマエは、配慮しなければ、ダメだゾ…」


 「…ハイ…」


 「…わかれば、いいのさ…」


 私は、葉尊の言葉を聞いて、その場から離れた…


 そして、私は、部屋から、出る際に、チラリと、葉尊を見た…


 なにやら、難しい顔をして、考え込んでいた…


 私は、葉尊の立場を思いやった…


 葉尊もまた、大変なのだろう…


 クールの社長として、アラブの王族との接待を成功させなければ、ならない…


 だが、今、私が言ったように、そのために、リンダが、泣くようなことが、あってはならない…


 誰かの犠牲の上にある成功など、とんでもないことだからだ…


 私は、思った…


 私は、そう思いながらも、ちょっぴり心が痛んだ…


 この世の中、キレイごとだけでは、渡っていけないからだ…


 しかしながら、リンダが、泣くのは、嫌だった…


 涙を流すのを見るのは、嫌だった…


 物事には、何事も限度がある…


 リンダが、涙を流すことなく、ちょっぴり、不快な気分で、接待をする程度で、終われば、いいのだが、と、考えた…


 甘い考えだが、それが、私の希望だった…


 矢田トモコ、35歳の希望だった…


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