↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
矢田トモコ冒険譚 35歳のシンデレラ アラブの女神編  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
123/192

35歳のシンデレラ アラブの女神編 123

…バ、バカな?…


 そんなことを、すれば、リンダの名声は、吹き飛ぶ…


 ハリウッドのセックス・シンボル、リンダ・ヘイワースの名声は、吹き飛ぶ…


 一体全体、どうして、そんなバカなことを?


 わけが、わからんかった…


 リンダほどの美女が、中身が、男だと、告白する…


 カラダは、女だが、心は、男だと、告白する…


 そんなことを、すれば、一体全体、どうなるか、わかっているのか?


 金輪際、モデルや女優として、活動することは、不可能…


 事実上の、芸能生活からの引退だ…


 それが、わかっているのか?


 性同一性障害という病気は、今、世間に浸透してきた…


 が、


 実際に、それを、公表すれば、確実に、ダメージを受ける…


 生活や仕事に影響を受ける…


 それが、現実だ…


 世の中は、きれいごとでは、すまない…


 昨今は、同性婚というのが、認められてきたが、実際に、自分の息子や娘が、同性と結婚すると、言い出せば、動揺しない親は、いないだろう…


 まして、世間では、白い目で、見られるに、決まっている…


 それが、現実だ…


 が、


 どうして?


 どうして、リンダは、いきなり、そんなことを、言い出したのか?


 謎だった…


 さっぱり、わからんかった…


 「…一体、どうして、リンダはそんなことを…」


 気が付くと、つい聞いていた…


 「…原因は、おそらくオスマン殿下です…」


 「…オスマン殿下?…」


 「…殿下が、リンダのファンだと知って、リンダは、動揺したらしいです…」


 「…どうして、動揺したんですか?…」


 「…オスマン殿下は、まだお会いしたことがないが、なにか、身体的な欠陥を抱えていると、聞いてます…おそらく、それが、きっかけで…」


 葉敬が、思わせぶりな表現で、言う…


 身体的な欠陥=小人症だ…


 オスマン殿下は、30歳の大人だが、外見は、3歳の幼児にしか、見えない…


 だが、それを、この葉敬は、知らんのだろう…


 が、


 それを、この矢田が、今、口にすることは、できない…


 やはり、世の中、言っていいことと、悪いことが、あるからだ…


 「…失礼ですが、お姉さんは、オスマン殿下に、当たり前ですが、会ったことが、あるのでしょ?…」


 「…ハイ…あります…」


 私は、答えた…


 答えざるを得なかった…


 「…オスマン殿下の身体的特徴とは、なにか、ご存知ですか?…」


 葉敬が、聞いた…


 直球で、聞いた…


 私は、困った…


 文字通り、困った…


 が、


 やはりというか…


 オスマン殿下が、小人症とは、言えんかった…


 だから、


 「…オスマン殿下の秘密は、知っています…でも、それを、私の口から、言うことは…」


 と、躊躇いながら、言った…


 すると、葉敬は、一瞬、明らかに、落胆したが、


 「…そうですか…それなら、仕方がない…」


 と、諦めた…


 あまりにも、あっさりと、諦めたものだから、真逆に、こちらが、不安になった…


 「…それで、いいのでしょうか?…」


 と、思わず、こちらから、聞いてしまった…


 「…お姉さん…話せないものは、仕方がありません…」


 葉敬が、淡々と言う…


 「…私は、それを、無理強いは、しません…」


 私は、葉敬の言葉を聞きながら、ふと、葉敬の目的に、気付いた…


 なぜなら、この葉敬は、私同様、あのセレブの保育園に、オスマン殿下に、会いにやって来たはずだ…


 だから、当然、オスマン殿下の姿かたちを知っているはずだ…


 それとも、まったく、知らなかったのだろうか?


 それとも、今、知らんふりをしているのだろうか?


 もしや、私を試している?


 私が、殿下の秘密を、ペラペラとしゃべるか、どうか、試している?


 そうも、思った…


 だから、とっさに、


 「…お義父さんは、バニラから、オスマン殿下のことを、聞かなかったんですか?…」


 と、聞いた…


 すると、


 「…詳しくは、聞いていません…ただ、マリアが、オスマン殿下と、仲がいいとだけは、聞きました…ただ、殿下が、どんなひとかと、聞くと、バニラが、口をつぐんでしまって…」


 と、答えた…


 …そうか…


 …そういうことか!…


 私は、気付いた…


 バニラもまた、オスマン殿下の容姿に言及することは、避けたのだろう…


 だから、お義父さんも、オスマン殿下が、どんな人物か、知らんのかも、しらんかった…


 が、


 それでも、このお義父さん=葉敬は、マリアの通うセレブの保育園に来た…


 ということは、どうだ?


 オスマン殿下は、あのセレブの保育園の関係者ぐらいにしか、バニラに聞いていないのではないか?


 私は、それを、確かめるべく、


 「…お義父さんは、今日、オスマン殿下に、会うべく、この保育園にやって来たんでしょ? でも、オスマン殿下が、どんな人か、姿かたちが、わからないんじゃ、どうするおつもりだったんですか?…」


 と、聞いた…


 「…それは…」


 「…それは?…」


 「…保育園の関係者に、尋ねるつもりでした…」


 …そうか…


 …その手があったか!…


 私は、気付いた…


 言われてみれば、当たり前と言うか…


 保育園の関係者に尋ねるのが、一番だ…


 しかし、


 しかし、だ…


 どうして、このお義父さんは、ここで、矢田と会ったのだろうか?…


 これは、偶然か?


 いや、


 偶然とは、思えん!


 私は、


 「…バニラですか?…」


 と、いきなり、葉敬に、聞いた…


 葉敬が、驚いた…


 「…バニラ? …バニラが、どうか、したんですか?…」


 「…私が、この保育園に来ると、バニラから、聞いて、お義父さんも、やって来たんですか?…」


 私は、言った…


 考えられるのは、バニラ…


 あのバカ、バニラだ…


 私は、今朝、バニラと電話で、話した…


 そして、その話の流れから、いつのまにか、


 「…マリアと、オスマン殿下の件は、私が、なんとかしてやるさ…」


 と、大見えを切った…


 私の大きな胸を叩いて、大見えを切ったのだ…


 ホントは、これっぽちも、自信がないのに、安請け合いをしたのだ…


 だが、安請け合いとは、いえ、約束したのは、確か…


 確かだ…


 だから、仕方なく、とりあえず、オスマン殿下に、会おうと思い、殿下の通うセレブの保育園に向かった…


 そして、殿下に遭ったが、


 「…午前中は、ダメです…保育園が、終わった午後に会いましょう…」


 と、殿下に、言われた…


 だから、それまで、時間を潰すべく、セレブの保育園の近くで、ネットカフェや、書店を探して歩き回っている間に、この葉敬と会った…


 が、


 この葉敬は、事前に、バニラから、おそらく、私が、電話を切ったすぐ後に、保育園に、向かうと、連絡を受けていたのかも、しれんかった…


 なぜなら、バニラは、私の性格を熟知しているからだ…


 だから、電話を切った後に、すぐに、殿下に遭うべく、動き出すと、考えたのだ…


 そう、考えれば、納得がいく…


 そして、なぜ、そうしたのか?


 それは、おそらく、この矢田が、オスマン殿下のお気に入りだから…


 葉敬が、オスマン殿下と会うには、できれば、その席に、この矢田が、同席するのが、望ましい…


 話がうまくいく…


 そういうことだ…


 これは、誰もが、同じだろう…


 葉敬の立場なら、同じだろう…


 葉敬は、オスマン殿下と、初めて会う…


 その席に、息子の嫁である、この矢田が、同席する…


 そして、この矢田は、オスマン殿下のお気に入り…


 この葉敬が、なにを狙って、オスマン殿下と、会おうとしているかは、わからんが、オスマン殿下のお気に入りである、この矢田が、いることは、会談に有利であることは、間違いない…


 少なくとも、いないよりは、有利に違いない…


 私は、そう、思った…


 私は、そう、考えた…


 すると、


 「…お姉さん…」


 と、葉敬が、話しかけてきた…


 「…ハイ…なんでしょうか?…」


 「…お姉さんに、お任せします…」


 と、葉敬が、いきなり、私に頭を下げた…


 「…リンダの件も、ですが、オスマン殿下の件も、よろしくお願いします…」


 葉敬が、頭を下げたまま、言った…


 私は、驚いた…


 まさか…


 まさか、葉敬に頭を下げられるとは、思わんかった…


 お義父さんに、頭を下げられるとは、思わんかった…


 私は、どうして、いいか、わからんかった…


 台北筆頭のCEОの葉敬に、頭を下げられるとは、思わんかったのだ…


 だから、とっさに、


 「…頭を上げてください…お願いします…」


 と、言った…


 言わずには、いられんかった…


 「…お義父さんの言う通りに、します…」


 私は、必死だった…


 まさか、こんな場面を誰かに、見られでも、したら、大変だと、思ったのだ…


 いや、


 私が、大変なのではない…


 お義父さんが、大変だと、思ったのだ…


 なにしろ、葉敬は、有名人…


 台湾では、知らぬ者が、いないほどの有名人…


 一代で、台北筆頭を台湾屈指の大企業に育てた、立志伝中の人物だ…


 それが、この矢田トモコに、頭を下げた姿を見られたら、困ると、思ったのだ…


 そして、そんなことを、考えながら、さっき、この葉敬が、言った、


 「…オスマン殿下と、ファラドの争い…まだ、火種が、残ってます…」


 と、いう、言葉の意味を考えた…


 そして、それこそが、このリンダの性同一性障害の告白ではないか? 


 と、考えた…


 なぜ、そう、考えたのか?


 それは、おそらく、リンダが、オスマン殿下に、会わなければ、リンダは、自らが、性同一性障害だと、告白しようと、思わなかったのではないか?


 リンダは、おそらく、オスマン殿下の苦悩を察して、自分も、こんな悩みが、あると、言ってやりたかったのではないか?


 そう、気付いた…


 オスマン殿下は、口にこそ、しないが、小人症で、生まれて、悩んでいたに違いない…


 そんなオスマン殿下を見て、リンダは、


 「…実は、私は、カラダが女でも、心は、男…」


 と、言ってやりたかったのかも、しれない…


 なにしろ、オスマン殿下は、リンダ・ヘイワースの熱烈なファン…


 リンダは、そう、思っている…


 だから、自分のファンである、オスマン殿下に、


 「…実は、私も、こんな悩みを抱えているの…」


 と、言いたかったのかも、しれない…


 つまりは、オスマン殿下を勇気づけたかったのだ…


 自分のファンである、オスマン殿下を勇気づけたかったのだ…


 私は、そう見た…


 私は、そう睨んだ…


 この矢田トモコ、35歳の目に狂いはない…


 狂いは、ないのだ!


 が、


 問題が、ある…


 オスマン殿下が、本当に、リンダのファンか、どうか、わからんからだ…


 リンダは、殿下が、心の底から、自分のファンだと、信じているに違いない…


 が、


 それは、眉唾物…


 眉唾物だ…


 そして、それは、なにより、オスマン殿下が、マリアを好きなことで、わかる…


 オスマン殿下は、マリアを溺愛している…


 そのマリアは、3歳の幼児…


 3歳の幼児が、好きなオスマン殿下が、29歳のハリウッドのセックス・シンボルを、果たして、好きなのか、否か?…


 甚だ疑問だ(笑)…


 リンダは、大人…


 立派な大人だ…


 立派な成人女子だ…


 だから、果たして、こんなことが、あるだろうか?


 たしかに、オスマン殿下は、小人症だから、外見が、3歳の幼児にしか、見えないが、本当は、30歳の成人男子…


 立派な大人だ…


 だから、ハリウッドのセックス・シンボルである、リンダ・ヘイワースのファンであることは、わかる…


 が、


 そんなオスマン殿下が、マリアを好きだというのは、解せない…


 それと、これとは、別だと、考えることもできんこともない…


 が、


 以前も、言ったが、それが、ただの周囲へのアピールに過ぎない場合もある…


 なにしろ、リンダ・ヘイワースだ…


 ハリウッドのセックス・シンボルだ…


 リンダを好きだと言えば、誰もが、納得する…


 世間が、納得するからだ…


 だから、リンダのファンだと、周囲に、言い張れば、いい…


 公言すれば、いい…


 誰もが、納得するからだ…


 が、


 本当のところは、わからん…


 天の邪鬼かも、しれんが、私は、オスマン殿下の心を、そう見た…


 そう、睨んだ…


 そういうことだ…


 だから、もしかしたら、リンダは、下手を打ったのかもしれん…


 ミスリードしようとしているかも、しれんと、気付いた…


 すると、やはりというか、この矢田も、リンダの告白を止めてやるべきだと、思った…


 もしも、リンダが、オスマンに同情して、自らが、性同一性障害だと、世間に、公表して、その結果、仕事が、なくなれば、目も当てられんからだ…


 オスマンが、リンダのファンだと信じて、公表したにも、かかわらず、オスマンが、ファンでなければ、目も当てられんからだ…


 これは、なんとか、してやらなくては、いかん…


 この矢田トモコの義侠心に、火が点いた…


 今まさに、火が点いたのだった(笑)…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。