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序
七万人以上の人間の歓声が、耳を裂くほど響いていた。
ファンの顔が見えないほど強い様々な色の眩しいライト。
リズムに乗って揺れる白いペンライト。
心臓や脊髄が揺れるほどの重厚感を放つ音源
名前を叫ぶ声。
——透鳴。
その名前が、このスタジアムを埋め尽くしていた。
―だが。
こんな景色を、昔の俺は知らない。
教室で一人ヘッドホンをつけて音楽を聴く俺、
君に手を引いてもらえなきゃ進めないような俺、
欲しいものは「世界」だと笑って、
なりたいものは「王様」だと本気で言っていた、
あの頃の俺は。
「俺には自信がありません。」
マイクに手をかけて上がっている息を整える。
「だってあなた達と変わらないただの高校生だったんですから。」
「でも、自分を変える行動は自分がしなくてはいけません。」
「周りが怖くても、足を踏み出さなくていいんです。」
「立ち上がって前を見てください。」
「俺ができるようになったきっかけの人へ向けた歌で締めようと思います。」
……これは、たった一人の“君”に捧げる歌だ。




