俺の苦労はまだまだ続く……のか!?
へ? クラリス?
俺、なんかまずい事でも言ったか?
ジェスターのコホンと咳払いをした声に、我に返り、ジェスターとミカエルが「お前なんかしたのか?」と言いたげな目つきで俺を見ているのに気づく。
本当に何もしてないってば!
「アルベルト、ハートのチョコレートってなんだよ?」
「あ、ああ」
ジェスターに問われ、俺は説明すべく、ジェスターが貰ったチョコレートを指差す。
「ほら、このど真ん中の……」
指差した先にあるのは、かわいいまん丸のチョコレート。
あれ?
何度見ても、まん丸のチョコレートしか並んでいない。
こいつ等のチョコレートにはハートの形がない?
あのチョコレートって……俺だけ?
俺にだけに入っていたハートのチョコレートにクラリスの真意を感じ、俺の顔が火照る。
そ、そっか……
えっと……これは……俺は特別ってことなのか……?
俺は嬉しい気持ちが隠しきれず、自然と口角が上がってしまった口元を右手で隠しながら、2人から視線を外す。
「おい、アルベルト!」
「いや、勘違いだったみたいだ」
赤くなった顔を見られたくなくて、2人の目から逃げるように、立ち上がり、窓から外を眺めているふりをする。
勘のいい2人だ。
挙動不審な俺の行動に「勘違い」で誤魔化されないとは思うけど。
俺にだけ、こっそりハートのチョコレートを入れていたクラリスが愛おしくてたまらない。
胸の奥から熱い思いが込み上げてくる。
どんなに邪魔をされても、どんなに難易度が高いダンジョンでも、どんなに「エロアホオウジ」と呼ばれても、絶対諦めない。クラリスの願いは叶えるからな。
エドワードとザラに認めさせ、心からの祝福をお前にプレゼントするぞ。
窓に映った自分の姿を見つめ、改めて強く心に誓う。
そんな俺の様子をじっと見て、これ以上聞いても無駄だと思ったのか、ミカエルが立ち上がった。
「僕も義姉さまのところに行こう。なんだかアルベルト、ひとりの世界に入っちゃてるしさぁ」
「そうだな。エドワード先生とザラ先生のところっていうのも気になるしな」
2人が部屋から出ていこうとするので「いやいや、俺も行くってば」と背中を追いかけ、部屋を一歩でた……
ハイ。本日、3回目の落とし穴にはまりました。
あーあ……
皆様、お読みいただき、ありがとうございました。
執筆していく上で、読者様がいてくださる事が何よりも嬉しく、励みとなりました。
エロトリオ(笑)の1人、鈍感令嬢、義弟ミカエル・アルフォントエンドの小説を、いずれ投稿しようと考えております。
ご興味がございましたら、何卒よろしくお願い致します。
お読みいただいた皆様、評価をしてくださった皆様、ブックマークをしてくださった皆様、本当に本当にありがとうございました。
感謝の気持でいっぱいです。