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深い青色  作者: Yasu
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第一章 人工島

初めて物語を書きますので至らぬ点が多いかもしれませんがよろしくお願いします。

灰色の波が、人工島の巨大な岸壁を執拗に打っていた。金属と特殊なコンクリートで築かれた防波堤は、外洋の荒波をもろともせず、冷たい海水を跳ね返す。


海上に浮かぶこの巨大な構造物ルナ・コア島。それは、世界最大の財閥・如月テクノロジーズの野心と技術力の結晶であり、未来都市の実験場でもあった。島は洋上を占める巨大な台座として機能し、その上に、次の時代を象徴する科学と生活が詰まっている。


島の中心には、未来都市の象徴とも言うべき、荘厳なガラスと鋼鉄の塔がそびえ立つ。それが、如月テクノロジーズの本社兼研究施設であるセントラルタワーだ。

その先端は、海の彼方、曇天の空にまで届くように見えた。

塔の表面は特殊な太陽電池パネルで覆われ、島全体のエネルギーを供給する中枢でもある。

「父さん……やっと、ここまで来れたよ」

大学生の七瀬悠也は、島行きの高速ジェットフォイルの窓越しに、その人工島を食い入るように見つめていた。


揺れる船内、彼の細い指が握りしめているのは、縁が擦り切れて色褪せた一枚の写真。

そこには、幼い自分と、優しい笑顔の父親が写っている。

彼の父、七瀬賢人は、かつて如月テクノロジーズの研究員だった。

そして、このルナ・コア島の初期設計と、極秘プロジェクトに関わっていた。

だが、五年前の「事故」以来、父はこの島とともに、悠也の前から姿を消した。


ジェットフォイルが減速し、港湾の防波堤を回り込む。

いよいよルナ・コア島の埠頭だ。

窓の外に広がるのは、想像を絶する光景だった。

巨大なクレーン群が唸りを上げ、流線型をした研究施設と、資材を運ぶ自動運転車両が、途切れることなく動き回っている。すべてが効率的、合理的、そして無機質だ。

悠也が他のインターン生に続き、冷たい潮風が吹き付ける埠頭に降り立った。


その瞬間、拡声器を通した、快活で事務的な女性の声が響き渡った。

「みなさん、ようこそルナ・コア島へ。私は如月テクノロジーズの案内係、高橋と申します。さあ、こちらへどうぞ!」

インターン生たちは、興奮を隠せずに声を上げる。最先端の技術を誇るこの島で働くことは、彼らにとって栄誉であり、輝かしい未来の入り口なのだ。

悠也は、彼らの熱狂から一歩距離を取りながら、案内に従った。

「ルナ・コア島は、エネルギー、バイオテクノロジー、そして人工知能における、人類の新たなフロンティアです。島の約半分は研究開発エリア、そして残りの半分は、そこで働くエリートのための未来型スマートシティとなっています」

案内係の高橋は、誇らしげに胸を張りながら、一同を待機しているバスへと誘導した。バスは自動運転で、窓は全面が情報ディスプレイになっている。

バスが埠頭を出発し、島の中心部へと向かう。

「皆様が宿泊されるのは、島の居住区画にある『クレセント・アーク』です。ご覧ください、こちらが居住エリアです」

ディスプレイに、緑の植栽と曲線的なビル群が映し出される。街路樹の代わりに、エネルギー供給やデータ通信のためのパイプラインがアートのように張り巡らされている。人々は小型のパーソナルモビリティで移動し、街の景観はどこまでも洗練され、無駄がない。


「この島では、すべての生活インフラがAIによって最適化されています。ゴミ一つ落ちていません。これは、如月テクノロジーズが提唱する人間と科学の調和の具現化なのです」

悠也は、その完璧すぎる景観に、むしろ冷たい違和感を覚えた。すべてが計算され尽くし、人間の「生活感」というものが排除されているように見える。

まるで、巨大な実験動物の飼育場のように。

そして、遠くに見えるセントラルタワー。

そのガラスと鋼鉄の威容は、このスマートシティの全てを見下ろす支配者の目に見えた。


悠也は集合場所に向かう。

その道すがら、彼はふと視線を感じ、視線を上げた。

セントラルタワーの遥か上層階。

無数の窓の中の一つが、雲の隙間から差し込むわずかな光を反射し、まるで彼を見つめているかのように眩しく光っていた。

ここに来れば、父さんの手がかりが見つかるはずだ。


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