第四話 ハンバーグは幸せの味
チリンチリン――自転車のベルが通りに鳴り響く。彼が道を譲ると、学生服姿の集団が騒がしく通り過ぎていった。学校の授業が終わり、部活のない学生たちが帰宅している途中なのだろう。
昼が終わり、夜へと移り行く狭間の時間――傾き始めた日の光に照らされる住宅街は、家路を急ぐ人の姿があちらこちらに見えていた。
彼は左手の手提げ鞄を持ち直す。
「俺も早く帰らないとな」
一人、そう呟いた。
携帯電話の着信音が響く。彼は一瞬顔をしかめたが、それが自分の携帯電話だと気がつくと懐から取り出した。通話に出る。
「こんばんは。お時間は大丈夫でしょうか」
冷たい吐息混じりの女性の声が聞こえてきた。
満月の夜に現れては少女を誘拐していた妖怪を退治して欲しいという依頼を、彼に持ってきた女性だ。
「問題ないよ。事後処理の報告かな」
「ええ、その通りですわ」
依頼を果たしてから、今日で三日が経つ。
彼は日照雨と共に普段の生活に戻っていたが、依頼に関係する事柄全てが解決したわけではない。彼はその処理を、電話口の女性に委任していた。
「貴方様の懸念材料を依頼主に伝えた所、納得して頂けまして。無駄な労力を費やすことなく、処理を行うことができそうですわ」
「そりゃよかった。人間とは違って、妖怪は退治しても復活することがあるからな」
「ええ。D県Y市の住人に殺人事件や誘拐事件に対する恐怖心が根付いている限り、油断はできませんもの」
「それで、どう対処した?」
「件の妖怪に纏わる噂話を改変することにしました。もし遭遇してしまっても呪文を唱えれば撃退できる――という一節を付け加えますの」
「そりゃまた古典的な」
「古典に倣うことは、悪い選択ではありません。改編後の噂話の流布に関しては、依頼主が協力して下さるようですわ」
「玩具屋に子どもが来るようになれば、自然と噂を広めやすいだろうな」
「そうですわね」
女性の報告は続く。
妖怪が退治されたことによって、妖怪の手による新たな事件は当面発生することはない。しかし、街の人々はその事実を知る術がなく、事件が解決したという明確なきっかけが存在し得ない。
そのため、今日の明日で事態が好転することはない。数ヶ月か数年か、どうしても時間がかかってしまう。
しかし、第六感とでも言うのだろうか。街の片隅に、子どもたちの姿がちらほらと見られるようになったらしい。
「たった三日でなあ」
彼は素直に感想を口にした。
「三日も、ですわ。ほら言うじゃありませんの。三日会わなければ、見違えるほどに成長しているだとかなんとか」
「言いたいことはわかるが、この場合は少し違わないか」
「細かいことを気にされていると老けますわよ」
コロコロと女性が笑う。彼は肩をすくめ、話の続きを促した。
報告の内容が、別の事柄へと移る。アカサカについてだ。
依頼主には彼女が妖怪喰らいであったことを伝えたものの、他の構成員に対してその事実を伝えるかどうかは依頼主の采配に任せることとなった。
どうやら、常連客や周囲の人間には実家の都合で故郷へ帰ったという扱いにするようだ。
「――以上ですわ」
事細かな報告を述べ終えて、女性はそう締めくくった。
彼は小さく息を吐く。
「報告ありがとう。これにて、無事に依頼完了ってことだな」
「ええ。あの街に平穏が一日も早く戻ることを祈っています」
「そうだな。他に、何か話はあるかい?」
尋ねると、何かを思い出したのか、小さくあっと声を上げた。吐息で、耳がこそばゆい。
「報酬のことをお伝えし忘れていましたわ」
「お、そういやそうだ。どうなった?」
「依頼主から確かに受け取って、既に貴方様の元へ配送しているはずですわ。……まだ、届いていませんか?」
「生憎、今は外に居てね。家に居た時には、まだ届いてなかったな」
「そうですか。入れ違いになっていたとすれば、あの子が受け取っているかもしれませんわね」
「報酬内容に不備はないか?」
「その点の心配は御座いませんわ。喜んで貰えるとよろしいですわね」
「ああ」
彼が角を曲がる。
途端、空気が変わった。人の気配が途切れ、薄暗い雰囲気が辺りに満ちる。
ジメジメとした気持ちの悪さを感じる通りを、彼は歩調を緩めずにズンズン進んでいく。
「それはそうと、何を目的に外出をされていらっしゃるんですの?」
「ん、買い出しだよ。たまには雨子に手料理でも振舞ってやろうと思ってね」
手提げ鞄を持ち直す。その中には、野菜などの食料品が詰められていた。
彼は、スーパーマーケットで買い物をした帰りだった。
「貴方様の手料理……わたくしも食べたい…………」
しゅんとした声に、彼は苦笑を浮かべる。
「機会があったらな」
「本当ですの? 催促したようで申し訳ありませんわね」
「何を今更。っと、そろそろ着く。また依頼でも入ったら連絡をくれ」
「ええ、承知しておりますわ」
「それじゃ、また」
「またご連絡差し上げます」
通話を終える。
携帯電話を仕舞う。彼は、家を目指して歩調を早めた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
日照雨は畳の上に敷かれた座布団にちょこんと座っていた。
彼女の目の前にはちゃぶ台があり、その上に箱――水玉模様の包装紙に包まれリボンが巻かれている――が置かれていた。
体を揺らし、様々な角度から箱を眺める。包装を解いてしまいたい衝動に駆られるが、どうにか思いとどまる。
十数分前に届いたこの荷物は、彼に宛てられた物だった。勝手に開けてしまえば、怒られてしまうだろう。好奇心と恐怖心とが、彼女の中で鍔迫り合いを繰り広げていた。
そんな時――
「ただいま」
部屋の外、玄関に繋がる廊下の方から声が聞こえてきた。買い物に出ていた彼が帰ってきたようだ。
日照雨はちゃぶ台に手をついて立ち上がる。和室から台所に移動したところで彼と鉢合わせした。
「おかえりなさいませ、旦那さま」
「ただいま、雨子。何か荷物は届いてないか?」
「荷物どすか? 届いとります。依頼のご褒美やて、届けてくれはった方が仰っとられました」
「そうか。で、誰が届けに来た?」
唇に指を当てて首を傾げる。
どう表現したものか。あの姿は、明らかに妖怪だった。
「何て言うんやったかな。白くてどすな、こうおっきうて、まあるいのが二つで――」
「雪達磨か」
「ん……あ、それどすそれ。雪だるまはんが持って来てくれはりました」
「この季節にご苦労なことだ」
彼はそう言ってから、買ってきた物をダイニングテーブルに並べだした。玉ねぎひき肉に――。
もしや、と日照雨は期待するような表情で彼を見上げる。彼女の視線に気がついて、彼がニヤリと笑った。
「好きだろ?」
日照雨は元気よく頷く。
やはりそうだ。今日の夕飯は、彼女の大好きなハンバーグに違いない。涎が垂れそうになって、慌てて手の甲で拭った。
「よし、始めよう。届いた荷物だけど、俺の代わりに開けといてくれるか」
「ええんどすか? 旦那さまにて仰られとりましたのに」
「構わないよ」
「せやったら、わかりました」
調理の準備を開始した彼を眺めながら、日照雨は和室へと戻った。座布団に座り直し、箱と向かい合う。
綺麗な包装紙だ。破かずに剥いだら、何かに使えないだろうか。
一度、深呼吸をした。
最初にリボンを手に取る。結び目が少し固かったが、ふぬぬと力を込めると程なく解けた。
次は包装紙だ。グルグルと箱を回転させて、セロハンの貼ってある箇所を探す。
――見つけた。
包装紙の表面が剥がれてしまわないよう、セロハンと包装紙との間に爪を入れて細かく掻く。
集中するあまり口が開き、白い歯が覗く。無意識に、チロリと小さな下で前歯の裏を舐める。
カチャン――台所の方で調理器具の音がした。
彼が隣の部屋に居ることと戸が開いていることを思い出す。そして、自分が口を開いていることに気づく。
慌てて口をつぐむ。その拍子に、変な力が包装紙に加わってしまった。
「…………ぁっ」
口の中に溜まった空気と一緒に、小さな悲鳴がこぼれる。
――破けてしまった。
「だ、旦那さまあ」
悲鳴じみた声で彼を呼ぶ。
「んー?」
「包装紙なんどすけど、別に使い回したりする予定とかありまへんよな?」
「綺麗な柄だったら、何かに使えたりするんじゃないか」
「旦那さまは、使いたいとか言うんありまへんよなっ」
「え? あー、そう言われると別に――ない、な」
「それやったら、うん……ええんどす」
盛大なため息をつく。
力無く、日照雨は包装紙を剥ぎ取っていく。もう、破れてしまっても気にならない。
箱のパッケージが少しずつ露わになり、鮮やかな模様とポップな字体が目に入った。この柄は、どこかで見たことがあるような気がする。
全て剥ぎ終える。「グレイト・オブ・ボードゲームズ21」と印字されたその箱の中身は、どうやら玩具のようだ。
「これ、玩具屋はんで面白そうやなて思うたやつ」
アカサカに連れられて店内を巡り、数多の玩具を紹介された。その中で日照雨が最も興味を惹かれたのが、この「グレイト・オブ・ボードゲームズ21」だった。
その名の通り二十一種類のボードゲームを遊ぶことができることが売りの商品で、内容物は各種ボードゲームの盤が描かれた厚紙とそれを設置する土台、遊ぶための各種駒セットと説明書だ。
ボードゲームの種類は将棋、囲碁、チェス、リバーシからダイヤモンド、バックギャモンまで取り揃えており、子どもからお年寄りまで楽しむことができる。
「旦那さま、これが依頼の報酬なんどすか?」
包丁の音が止む。
「何が入っていた?」
「ぐれいとおぶぼーどげーむずにじゅういち」
「――もう一度言ってくれるか」
「グレイト、オブ、ボードゲームズ、二十一」
「なんとなくどんな物かは予想できた。雨子の気に入った玩具がそれなら、それが依頼の報酬だよ」
「むぅ?」
依頼の報酬と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、やはり金銭だ。お手伝いをしてお駄賃を貰うのと同じで、わかりやすい。
そうでなければ、貴重な物を貰ったりする――というイメージが日照雨にはあった。事実、彼が依頼を済ませた後に不思議な宝石や装飾品を手にしているのを見たことがある。
しかしこれは――「グレイト・オブ・ボードゲームズ21」は、市販されている玩具だ。同じ箱が何個も置いてあったし、とても貴重な物だとは思えない。
「そもそも、今回の依頼報酬ってのが店頭に並んでる玩具だったんだよ。その程度の報酬じゃ適当な仕事をされるんじゃないか、って中々了承されなかったけどね」
包丁の小気味良いリズムが再開される。
「玩具なんて代物、その部屋に無いだろ? 本とテレビがあれば娯楽に困らないとは言え、少しくらいはあっても良いんじゃないかと思ってさ」
「それで報酬が玩具なんどすか」
「それで報酬が玩具なんですよ」
納得できたような、納得できないような。まあ、これが報酬だと言うのだから、そうなのだろう。
よく分からなかったが、日照雨はうんうんと頷いた。
「せやけど、なんでうちがええなて思うた玩具が報酬で、それがこれやてわかったんどすか?」
「さあ何でだろうね」
彼が笑う。む、と日照雨は頬を膨らませた。
「だけど、ボードゲームとはまた面白いものを選んだもんだ。雨子一人じゃ遊べないのに、なんでそれが欲しかったんだ?」
「それは――」
言葉にするのが少し恥ずかしくて、日照雨は言い淀む。沈黙を紛らわすように、箱を開けてみた。
一枚ずつ厚紙を眺める。彩色豊かで、どんな遊び方をするのかはわからないけれど、面白そうだと感じる。
確かに、一人で遊べるゲームはなさそうだ。最低でも二人必要で、それよりも多い人数で遊ぶことのできるゲームもある――とアカサカが言っていた。
つまり、一人では遊べないが二人でなら遊ぶことはできる。日照雨と彼の二人でなら、遊べる。
「――うち一人が楽しゅうても、うち嬉しゅうありまへんし」
「ん、何て?」
再び包丁の音が止む。
日照雨は口元を綻ばせながら、彼に尋ねる。
「旦那さま、おゆはん食べた後にうちと遊んでくれまへんか」
「そのボードゲームでか?」
「そうどす」
「別に構わないけど」
「旦那さまが負けたら、しっぽもふもふさせて貰うてもええどすか」
「いいよ。雨子が負けたらどうする?」
予想外の返しに固まる。視線を泳がせて――
「……………………………………………………キス?」
「そりゃ負けられないな」
「ぇ、ぁっほんまにそれで行くんどすかっ」
「雨子が言い出したんだろう。取り消しは無しだからな」
「うう、勝たな恥ずかしゅうて死んでしまう」
「この程度じゃ死なない死なない。ゲームの種類は何個かあるんだろ? どれで遊ぶかは、雨子が選んでいいよ」
「ははい、旦那さま」
――どうしてこうなった。
そう思いつつも、日照雨の表情は蕩けていた。彼と一緒に過ごす時間は多くあれど、何かをして遊ぶ経験はなかった。
これからは、もしかしたら、このボードゲームを口実に彼と遊べる機会が、遊んで貰える機会が何度も訪れちゃったりするんだろうか。
緩みきった頬を両の手で挟んで、想像してみる。それはきっと、すごく素敵で、すごく楽しいに違いない。
玩具屋には、一人で遊べそうな玩具が色々とあった。同じ玩具を持ち寄れば、何人ででも遊べそうな気もした。けれど、ただ一つの玩具でもって複数人で遊べそうな物はあまり多くなかったように思う。
自分のためだけの物より、彼と一緒に楽しめる物の方が、彼女にとっては価値がある。
日照雨は説明書を手に取った。どのゲームで彼と遊ぼうか。
包丁の音、冷蔵庫を開閉する音、こねている音、フライパンが熱される音、肉の焼ける音。それらの音に耳をくすぐられながら、ページを捲っていく。
イラスト付きで、難しい漢字には仮名が振ってあって、とても読みやすい。ルールを大雑把に理解すると、すぐにでも遊んでみたい気持ちが沸々と湧き上がってきた。
一通り説明書に目を通し終えた頃には、香ばしい匂いが和室に漂ってきていた。
「そろそろ皿持って行くから、ちゃぶ台の上を片しといてくれな」
どうやら、食事の支度が済んだようだ。
「あ、はいっ」
慌てて箱を下ろす。食事中の不慮の事故で汚れてしまわないよう、部屋の隅の方まで追いやる。
「何で遊ぶかは決まったか?」
「どれも面白そうで、よう選べまへんどした」
「そうか。んー、じゃあ全部やろう。何種類あるかは知らないけどさ、時間なら十分ある。そんで、雨子は負けるごとにキスね」
「せやったらそれで――んいっ?」
「よし、盛り付けもできた。美味しそうだぞー」
「ほんまどすか、はよ食べたい――やなくてえっ、負けるごとになんどすか、負けるごとになんどすかっ」
湯気を立てる大皿を両手に持って、彼が和室へとやって来た。コトン、ちゃぶ台の上に置かれる。
「日照雨」
凛々しい声で名前を呼ばれた。湯気越しに、彼をジッと見つめる。
「なん、どすか」
「手加減しないからな」
「……はい」
どうやら、確定事項のようだ。頬を微かに赤らめながら、大きくため息をついた。
彼は和室と台所とを何往復かして、夕食を運び終えた。
匂いから判断するに、主菜のハンバーグは和風の味付けだろう。ご飯茶碗によそわれた白米と土色の味噌汁、ほうれん草のおひたしがその隣に並ぶ。
「手、洗ったか?」
「あっ」
慌てて立ち上がり、日照雨は台所へと向かう。部屋の隅の方に置いてあるはずの土台が、何故かシンクの前に移動されていた。特に気に掛けず、その上に乗って手を洗った。
和室に戻って彼と向かい合って座る。手を合わせて、食前の挨拶をする。
箸を手に取って、まずはハンバーグだ。食べやすいサイズに切り分けて、口に運ぶ。
「……んぐ、んぐ」
咀嚼する。噛む度に旨みが口の中に広がり、幸せな気分で心が満たされる。
「美味いか?」
「おいひいどす。ほっぺたが落ちてしまいそう」
「そりゃ腕によりを掛けて作った甲斐があったってもんだ」
視線を絡ませて、二人とも笑顔を浮かべる。
「毎日旦那さまがご飯作ってくれはったら、うち幸せやのにな」
「できないことはないだろうけど。俺としても、雨子の手料理食べると幸せなんだけどな」
「うちの料理どすか?」
「そう、雨子の手料理。食べれると幸せ」
「むむ……。旦那さまが喜んでくれはるんやったらうちも嬉しいし、これからもうち、頑張ってご飯作ります」
「時々は、俺も作ってあげる」
「楽しみにしとります。次はどないなハンバーグになるんやろか」
「あれ、ハンバーグ限定なんだ」
「え、違うんどすか?」
「…………違わない、な」
「そうどすよな」
日照雨は頷く。彼は苦笑いを浮かべて、彼女から視線を逸らした。
ボードゲームの方を見ているのだと気がつき、日照雨は話題を変える。
「二十一個のゲームがあるみたいどす」
「へえ、それで二十一って数字が付いてるわけか。全部やるとなると、結構時間かかりそうだな」
「確かにそうどすよな」
「眠くなったら一先ず止めて、明日また続きを遊ぶってことでいいか」
「はい、旦那さま」
日照雨は味噌汁を啜る。
彼の手料理を食べている今も幸せだが、彼と遊べる食後もまた幸せだろう。
自分はこんなにも幸せで良いのだろうか、などと考えてしまう。
しかし日照雨は、ハンバーグのあまりの美味しさに、肝心なことを失念してしまっていた。ゲームの勝敗に関して彼と交わした約束事。
彼女がそのことを思い出した時、その真珠のような肌を真紅に染め上げて、何度も彼の頬に唇を寄せることになるのだが――それはもうしばらく後のことだった。
ここまで読んで下さってありがとうございます。緑色恐竜と申します。
此度の物語はこれにて完結と相成りますが、楽しんでいただけたでしょうか?
ジャンルはファンタジーではなくやっぱり恋愛なのかな、と日照雨と彼とのやり取りを書いていて思いました。
次に再び二人の物語を書くことがあれば、ひとまず恋愛にしておきます。
さてはて、前作を読んで下さった方がいらっしゃれば、設定が微妙に変化していて不思議に思われたかもしれません。
また、今作で初めて狐の嫁入りを読んで下さった方は、どの辺りが狐で嫁入りなのか最後までわからなかったやもしれません。
ですが、多少なり「雨ちゃんかわいいな」だとか「雨子を愛でたいな」だとか思って下されば他のことはあまり気になさらずとも良いです。
なぜならば、日照雨の可愛さ以外のあれやこれやは単なる付属品でしかないからです!
――スミマセンイイスギマシタ。
ここだけのお話をちょろりとしてみましょう。
実を言いますと――妖怪からの依頼を受けて解決するというスタンスの物語は、日照雨と彼ではない別のキャラクターで元々は構想を練っていました。
頓挫したんですけどね!
ヒロインを日照雨と同じ年齢――十歳程度――にして、主人公をおっさんにしたのが間違いでした。
ああもうこれ、雨ちゃんでいいじゃん! 彼でいいじゃん! という結論に至って、今回のお話が出来上がったわけです。
それともう一つ、第一話と第四話に声でのみ出演していた謎の女性は前作のメインキャラの一人です。口調が似ている別人ではありません。彼女です。
思いの他、今回の設定が自分の中でしっくりと来たので、何か思いついたら再びひょっこりと別のお話を書くかもしれません。
その時に貴方が再び訪れてくださるかどうかは、神のみぞ知るということで。
そうですね、彼が戦うと圧勝してしまって仕方がないので、次に書くとすれば日照雨がメインで戦うお話とかの方が盛り上がりますかね。
例えば、はじめてのおつかい的な………………いいかもそれ。
ではでは、皆々様が良いネット小説に出会えますように。
御機嫌よう。