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第5話 オーパーツとエレベーターの先に


緩い下り坂を降りていきながらヴィクトールが説明する。


「今から乗るエレベーターの説明をしておこう。

今回使うのは、遺跡の発掘で使う人力のものとは全然違う機械的なものだ。かつて地上にあったものよりもずっと大きいが、オーパーツの力で自動で動くようになっている」


「えっと、ヴィクトールさん、ですよね?兄さんも私もオーパーツがどのようなものかはわかります。ですがそのエレベーターに使われているのはただのオーパーツではないのですね?」


妹と自分の考えていたオーパーツとはやはり少し訳が違うらしい。

リーダーが答えるよりも先にフィルムスが答えた。


「その通りです。勿論、世に知られているオーパーツも特別なものですが、私たちが目的とするのは特有の歴史や想いで産まれたり作られたものです。エレベーターで使われているのは遺跡の発掘時に発見された『プーリー』というパーツです」


プーリー…滑車という意味か。


地上世界の言葉で名付けをするということは一般的に知られてはいけないものなのだろう。


「じゃあさ、なんで王様はそんなものが出たの秘密にするワケ?地上に出るなんてこと考えるより深い地下道に降りるために使えばいいじゃん」


先程からふくれっ面していた金髪の少女がフィルムスを詰めた。


「ロッテ、地上は遠いはるか昔は人間が占領していました。今はおそらく誰もいません。もし他国が知れば取り合いになってしまうでしょう?」


「そうかもしれないけどさぁ…」


ロッテ…?


ということは彼女が名工シャルロッテか。

年にしては幼い感じが抜けきらない。背の高さのせいだろうか。


「あたしならもっと地下で発展したほうがいいけどなァー」


「でも地下にはない食料があるかもよぉ?そしたらロッテちゃんの好きなお菓子くらいたくさん作れちゃうかもね?」


「子供扱いしないでっ!」


厳しい旅が始まると思った矢先なんだかのんびりした空間がこの場を覆い尽くしている。この先大丈夫だろうか。。。


「さぁ着いた着いた。これが地上行き、オーパーツと王国の技術者により作られたエレベーターだ。少し酔うかもしれないから気をつけておいてくれ」


「おぉ…」


エレベーターは高さ6メートル、横は5メートル程と思っていたよりもずっと大きかった。

精錬された金属を用いて頑丈な装飾を施し、内部は鉄や粘土と見られる床に壁となっていた。


「質問だがリーダー、オーパーツはどこに用いられているんだ?」


「おぉブレナ、ようやく口を開いてくれたね。


発見されたオーパーツは2つあったんだ。そいつらはエレベーターの上部と下部に取り付けられているから僕たちからは見えない」


「では我々の知る、滑車を用いたものとは違うと?」


「その通り。だがエレベーターの話で時間を使うつもりはないさ。荷物を先に上へ送るから待っていてくれ。地上へ直通ではなく、エレベーター先に掘った階段を登っていくからね。エレベーターは中継地点さ」


なるほど、確かに地上に直接出るのは気候に左右されるだろう。


ヴィクトールが全員の荷物を乗せ、自分自身も乗り込んでボタンらしきものを押すと、扉が閉まり静かに上へと消えていった。


「では今のうちに軽く自己紹介をしましょうか。お互いの顔を知らない人もいると思いますし、そのほうがあとから時間を取られないでしょう」


フィルムスの提案にみな賛同し、軽く名前と地下での職を紹介した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「よし、準備できたぞ。4人1ペアで乗り込む。私とフィルムスが最後に行くから、他はくじ引きで決めてくれ」


結果、2組目になることになった。メンバーは


1組目 ルカシュ、クレマン、レオナール、クリス。


2組目 俺、マテオ、ヨナ、シャルロッテ


3組目 ヴィクトール、フィルムス、セージ、コンラート


エレベーターに乗りこみ動き始めた時、突如として話しかけられた。


「ん~~アンタが『紐帯』?」


壁によりかかりながらニヤニヤとした表情を向けつつ、シャルロッテが声をかけてきた。


「…はい、背負うには大きすぎる二つ名ですが」


もしかして喧嘩売られてるのか?


さっきの感じ、面倒くさそうな雰囲気はしてたがまだこちらが動いてないのに喧嘩を売られるとは初めての経験だ。


「なぁるほどねぇ〜、まぁヨロシクね!」


「…えぇ、こちらこそよろしくお願いします」


「堅苦しいなぁその返事!もっと気楽にいこ〜よ〜」


喧嘩売りではなかった。彼女なりの挨拶だったのか?

にしてもあとの2人は名前どころか全く面識がない。


爽やか青年の方――マテオだったか?――はにこやかにシャルロッテと喋っているがもう一人のうつむいたままの髪が腰ほどまである男は一言も喋ってない。


この先どうなることやら。


ワクワクよりも不安のほうが僅かに勝つブレナを乗せ、1組が待っている階段へエレベーターは昇っていった。



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