第4話 必要物資と探検隊
「これいる?」
「いらないでしょそれ。いくら好きだからってそんなに持っていく必要はないわよ」
「やっぱりそうかなぁ…」
食料・水・必要最低限の生活物資は探検隊の方で用意してくれるらしい。
なら一つや二つくらいは必要だろうと本を持とうとしたが、やはりかさばるので諦めた。
「まとめたらホントに多くなっちゃったけど、これでいいのかしら」
必要なものは揃えた。探検隊が準備してくれていると言ったが、一応何かあった時のために持っておこう。
えーと、
・遮光器眼鏡しゃこうきめがね(重役から説明を受けたうえで渡されたサングラスのこと)
・食料(保存食)
・水(三日分)
・万能ナイフ(新製品、七つの刃の使い分け!)
・念のための折りたたみ式ツルハシ(壊れやすいが使いやすい)
・コンパス
・地図三枚
・写真機(地上撮影のため)
・通信機(大型、ラジオ程の大きさ)
・あると便利な七道具
・絵本
「絵本?もしかして朝も読んでたあの絵本?」
「そうだよ、あれは持っていないと落ち着かないんだ」
「嘘でしょ、持って帰ってこれるかわかんないんだよ…?」
わかっている。
だが持っていかないと。母さんがくれた本だ。
小さい頃は読めなかったが次第に母さんの遺したものとして手放せなくなっていった。
「だからさ。もし何かあったときに大切なものが手元になかったら不安だろう?」
「冒険前に不安になるようなことは言わないの…さ、行きましょ」
生まれてからずっと住み続けている我が家ともしばしの別れ。
家の管理をしてくれる業者が渡してきた契約の書類にサインをし、家をあとにする。
街行く人は数少ない。休日だから家にいるのだろうか。
それでも気づいた人は目を丸くして、大荷物を抱える「嚮導者」たちを見送った。
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再び王宮の門の前に着くと探検隊が揃っていた。
見慣れた顔もあれば、知らない顔もある。
街の中心地以外は閉鎖的な地下世界において全く知らない人物がいるのも珍しい。
そんなことを考えていると二人前に出てきた。
片方は二十代後半、もう片方は四十代後半といったところか。
「地上探索隊のリーダーを務めるヴィクトール・マルティネス。ヴィクトールでもヴィクターでも自由に呼んでくれ。」
「私が副リーダーのフィルムス・フィデル・ガルシアだ」
成る程、勝利を収める者を意味するリーダーと信頼に足る誠実な若者を意味する副リーダー、か。
若者とは言えない気もするが、それは失礼になるから考えるだけにしよう。
「私たちはクロード。ブレナ・クロードと妹のセージだ。よろしく」
「知ってますよ。あなたたちが『紐帯の嚮導者』、でしょう?今回の冒険をするにあたり隊にぜひとも参加してほしい、と思い陛下に願い出たのが僕だからね。」
「その通り。だが時間は限られている。移動する間に自己紹介してくれ」
リーダーは屈託のない見せているが、副リーダーはなんだか気分が晴れないらしい。冒険心を胸いっぱいに広げる顔の横にいるのは不安のにじみ出る顔だった。
「あの…移動するにはどのような方法を?」
「セージさんたちは知らなかったかな?いや、ついこの間ようやく完成したから知っている人は少ないか。エレベーターを使うんだ」
「エレベーター、ですか?」
「そう。だけど、街よりも下の地層に行くときに使うようなエレベーターじゃない。歯車をもっと多く使ったり電気を使うから、かなり費用がかかる分昇り降りがしやすいタイプだ」
「へぇ~便利なんですね!」
もうリーダーと仲良くなっている。
あまり簡単に気を許すのもよろしくないと思うが、ここは信頼をいち早く築くのが大切なんだろうか…




