ep.74 第二章最終回:止まらない、次のフェーズへ
事務所は、いつも通りの空気だった。
特別な音がするわけでもないし、
誰かが大きな声を出しているわけでもない。
それでも――
少しだけ、見え方が違っていた。
スタジオの扉は半分開いていて、
中から軽くステップを踏む音が聞こえてくる。
「違う違う、そこワンテンポ遅いって!」
「いや今の合ってたでしょ!」
「合ってない。ズレてる」
「那音くん細かいって!」
「細かいっていうより……揃えたいだけだよ」
「まあまあ、その辺にしとこうよ」
「でもさ、さっきの感じは悪くなかったよね」
――相変わらずだ。
まとまっているようで、まとまっていない。
それでも、前よりずっと自然に、会話が噛み合っている。
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「お、颯太くんいた」
振り返ると、千鶴が手を振っていた。
「なあ、ちょっと聞いてよ」そのまま距離を詰めてくる。
「次、なにやる?」
「次?」
思わず聞き返す。
「ほら、“一人に届ける”やつの続き」
真秀が横から口を挟む。
「昨日のあれ、まだ全然試しきれてないし」
「繰り返し試行錯誤は続ける必要あるな」
カノンくんが腕を組んだまま言う。
「条件を変えたときにどう変化するかも見ないと、再現性がない」
「でもさ、同じことやるだけじゃつまんなくね?」
千鶴がすぐに返す。
「“誰か一人”って言っても、その人の状態で全然違うだろ」
辰煌が少しだけ前に出る。
「……時間帯とかも関係ありそうですよね」
那音くんが静かに続ける。
「その時に応じて音も変える必要あるね」
ダズが短く言う。
「強さとか、テンポとか」
「いいと思います。今の方向性、間違っていない気がします。あとは少しずつ、精度を上げていければ」
雪雄さんも、静かに頷きながらそう続けた。
「……いろいろ、できそうですね」
翔太が小さく笑った。
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…やることは、山ほどある。
La♪Ra・RISE!(ララライズ)の育成も、まだ途中だ。
歌も、ダンスも、演技も、発信も。
どれも、まだ“できるようになった”とは言えない。
“誰か一人に届ける”っていうやり方も、同じだ。
昨日、少しだけ見えた気がした。
でも、それはまだ“入口”でしかない。
これから、何度も試して、
何度も外して、
その中で、少しずつ形にしていくしかない。
その先には、LoHi参入バトルがある。
La♪Ra・RISE!(ララライズ)が選ばれるかどうか。
どんな結果になるのか…でも確実に審判の日は訪れる。
それに――
キャラランドの中でも、新しい動きが始まっている。
マスコットキャラクターたちも、La♪Ra・RISE!(ララライズ)メンバーと接するなかで
自分の新しい役割を探している。
最近は、メンバーとの合同でレッスンをすることも増えてきた。
一緒に動くことで見えてくるものがあるようだ。
真秀と辰煌のバディとなるマスコットキャラクターを、探す話も出ている。
同じ事務所の中で、それぞれが“誰かに届ける方法”を探している。
全部、同時に動いている。
どれも、待ってくれない。
正直、大変だと思う。
全部をちゃんとやろうとしたら、きっと追いつかない。
それでも…――
「……颯太くん?」
千鶴の声で、現実に引き戻される。
「聞いてた?」
「あー、……途中からな」
正直にそう言うと、千鶴が呆れたように笑った。
「なんだそれ」
「で、どう思う?」
少しだけ頭を整理して、口を開く。
「……“一人に届ける”やり方、このまま続けた方がいいと思う」
「だな。まだやれることたくさんあるし」
真秀が軽く頷きながら言った。
会話はそのまま続いていく。
次の案。
その次の案。
終わる気配はない。
俺は、ゆっくり息を吐いた。
ここから先を――
このメンバーの未来を、見ていきたいと確かに思った。
まだ、何も完成していない。
だからこそ――
やる意味がある。
La♪Ra・RISE!(ララライズ)は、まだ途中だ。
でも――
確かに、ここから先に進んでいく。
俺は、これからもすごい勢いで変化し成長する彼らを全力でサポートする。
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第二章「CHARALAND RISE!(キャラランド・ライズ!) chapter2」はこれにて終了です。
第三章は 2026年6月2日 (火)連載開始予定!
これからも、彼らの歩みにご期待ください。
*キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko




