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六十四人目
夢を見れなかった。
「どういうこと?」
「だから、夢を見れなかったの!」
「それが?」
反応が薄い友人に戸惑いつつ、私は必死に事の重大さを伝えようと頑張る。
「私は生まれてからずっと、夢を見てきていたの!でも、昨日の夜は見ることができなかったの!」
「そうですか」
引き続き反応が薄い友人に対して苛立ちを覚え始め、再び諭そうと思った時、友人は私に指を立てた。
「そりゃあ、恋をしたんじゃないの?」
「恋?」
「そ。恋に夢を見てるから、夜に夢を見なくなった。どう?」
そうだろうか。そうなのだろうか。そんな私の考えは続く友人の発言で吹き飛んだ。
「私たち、女ってのは何かしらに夢を見るのよ」




