【0】ありがとう
あれから数日経っていた。
病状は悪化の一途を辿る。
建琉の周りには、レイグ、ボイル、スレイがずっと見守っていた。
『どうやら、ここまでのようだね。俺はね、今とっても幸せなんだよ。君たちと出会えて人生が変わったんだ。
当時の自分では考えられなかった。野垂れ死ぬのも当たり前の町。死ぬことなんて何の恐怖も悲しみもなかった。
人が死んだり殺されたり日常茶飯事だっからね。
それが普通だと思ってた。
そんな俺に、こんなに素晴らしい友人と最愛の人と子供まで授かった。贅沢すぎるよ。
贅沢すぎて君たちと離れたくなくなったよ。
スレイとずっと一緒に居たかった。
レイグともっと空を飛びたかった。
ボイルともっと釣りをしたかった』
『当然だ!我も同じ気持ちだ!
建琉!死ぬでない!建琉……』
『建琉……また行こう!死んではならんぞ……死なないでくれ……』
『あと、半年もすれば産まれてくるよ……
男の子かな?女の子かな?
名前は建琉が決めなきゃいけないんだよ……
いやだよ……建琉……
やっと平和に生きれる道が見つかったのに……
神様なんていないじゃん!』
『いや……神様が……居たから……君たち……と……出会えた……
欲を……言えば……もう少し……生きた……かった……な……』
建琉は途切れ途切れの声を振り絞って話していた。泣きながら少しでも気持ちを伝えようと必死であった。
『遺体……は……火葬……して……海に……散骨……してくれ……
皆……今まで……仲良くして……くれて……本当に……ありがとう……僕は…幸せ者だよ……スレイ……ごめんね……ずっと……愛して……いるよ……レイグ……ボイル……スレイ……ありがとう……』
建琉は穏やかな顔で逝った。
レイグたちは泣き崩れる。
遺言の通り火葬し海に散骨した。
あれから10年。
レイグは子育てに大忙し。
ボイルも結婚し子供がいる。
『今日はパパの命日ね。
海に行くわよ!【建琉】準備は出来たの?』
完
どうでしたか?
短編書いてみました。
建琉の考え方。
腐らず種族にとらわれず仲良くなる考え方。
これは現代で言えば国って境界に縛られず困った人が居たら皆で助け合おうぜ!
って感じです。




