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賢者の孫娘・おまけ「砂漠の町に行ってみました」
「孫娘」でカットになってしまったシーンを再利用したSSです。超短い。
ナートを連れて瑠香が旅立ってからから数か月後。
エルフたちの追跡を撒くのも兼ねて、世界を旅行している途中の話です。
砂漠のただ中に、ぽつんと存在する町・ディザーオアシス。
私たちは、数日前からその町に滞在していた。
「ねえ、なんでこの町に来たのか…聞いてもいい?」
「もちろん。…くわしくしゃべるなら、せいちょうしたほうがいいわね」
そう呟いて、20歳ほどの姿に成長する。
途端に挙動不審に拍車が掛かったナートに、くすりと笑って、説明する。
「ここは、お祖母ちゃんが召喚された時に初めて寄った町なの」
「お祖母ちゃんって…確か、光の勇者の?」
「ええ。ここの商人から、御祖父様…氷の賢者、雹の噂を集めて、彼が眠っていた霊峰へ向かったの」
「へええ…!」
お祖母ちゃん本人から武勇伝として聞いた事だから、信憑性はばっちりよ、とウインクすると、ナートはぼっと顔を赤くして。
私は、またくすりと笑った。