#2 本世界『人型機動兵器』向け基部素材設定
●基礎技術『戦術義体』:
この世界の各種『人型機動兵器』は、基礎技術として『戦術義体』の基礎構造が共通で利用されています。
『戦術義体』とは、一般的な『サイボーグ義体』を、弾性の高い軽合金製の骨格と、電磁収縮式強化人工筋肉で構成して、脳としての役割を持つ『搭乗者』を胴部に内蔵して、その『搭乗者』の巨大な身体として機能させる『歩兵向け支援装備』の事を指します。
大本の『戦術義体』は、全長は約6m前後、その外観は標準的成人男性をモデルに作られ、頭部は口のある頭蓋骨を模したセンサーヘッドとなっており、その外観的特徴として、現在の一般的な『TRA』とは違い、装甲を持たない柔軟樹脂製のボディスーツで覆われている、といった形になっています。
基本として、『戦術義体』は各種装備とそれの装備のための兵装ハンガー類を、普通の歩兵が身に着ける各種スーツのように身につけるという方法で運用されています。このため、装備状態の見た目はまるっきり巨大な『歩兵』そのものであり、各種戦術も普通科隊員が扱うものをそのまま流用が可能となっています。
そもそも、『義体』という構造上、機種転換訓練をほぼ必要とせず、機甲部隊を相手に運用可能な装備としては、信じられないほど早く戦力を増やせるという最大の利点が存在しています。
合金骨格と強化人工筋肉という構成は、対弾耐性に関しても極めて高く、四肢を弾が貫通してもなお普通に運用できたという逸話には事欠きません。合金骨格が骨折しても、少しの補完材で再使用が可能であり、各損傷に対する耐性は通常装甲兵器に比べて、信じられないほど高いものとなっています。車両兵器、特に戦車向けの弾頭は、『戦術義体』の構造上『過貫通を誘発』して損傷自体が小規模に収まる事が知られています。これは、一般的な機械が『構造部部品の損傷』だけで機能不全に陥るのとは違い、生物的・有機的構造が『損傷を機能低下に留める』事によって実現した耐久構造です。このために、特に徹甲弾系の対戦車弾頭は『戦術義体』に対してほぼ意味をなさないものとなり、同時に榴弾系の弾頭に関しても『柔軟樹脂製のボディスーツ』によってある程度の耐性を与えられています。
これらの耐久構造は、これまでの常識である『装甲化戦闘車両』とは別ベクトルの概念であり、戦場にそれ専用の装備を準備しなければならない構造を生み出しました。しかしながら、こういった『人型機動兵器』自体、戦場や仕事を選ぶ『希少な機動兵器』であるため、結果として大抵の戦場で対処のための専用装備が揃わずに、正しく対処できない状況を生み出す事になりました。
以上の事から、”頭蓋骨”頭の機械人形と揶揄されるのとは裏腹に、それまでの常識を塗り替えた画期的な『機動兵器』として一部の国家で使われています。
●各機体向け基礎素材設定:
◇骨格素材:
素材名:『HELA-MMC(高弾性軽合金・メタマトリクス材)』
機能解説:
『戦術義体』『GF』『TRA』などに共通して使用される高機能骨格素材です。高強度軽合金を基材とし、その内部に三次元ラティス構造を形成した階層型金属複合材です。
生体骨格に見られる緻密質と海綿質の構造を工学的に発展させたもので、部位ごとの荷重条件に応じて内部格子の密度・形状・配向を最適化しています。
素材自体の高い強度に加え、内部ラティス構造による弾性変形、衝撃荷重の分散、局所損傷時の荷重再配分能力に優れ、巨体に似合わない軽量性と耐衝撃性能を実現しています。また、SNT筋繊維による締め上げ構造、及び能動的な制動・姿勢制御と組み合わせることで、従来の剛性骨格では破損に至るような衝撃にも耐えることが可能です。『重力波フロート』による荷重軽減を併用した場合には、高所からの着地にも対応できます。ただし、弾性変形限界を超える荷重では格子構造の座屈や永久変形が発生し、骨格の支持能力が低下する事になります。さらに、損傷部位によっては機体の精密動作に大きな支障をきたす事もあります。
『HELA-MMC』の基礎素材自体は本世界において比較的安価に量産可能ですが、骨格部品の性能は内部格子の設計精度、加工品質、関節構造との統合技術によって大きく左右されます。
◇人工筋肉:
素材名:『SNT(Synthetic Nano-Thread)筋繊維(=電磁収縮式強化人工筋肉)』
機能解説:
全共通。
ナノスケールの極細繊維を何重にもより合わせることで、それまでの人工筋肉をはるかに超える収縮力や出力密度を発揮する多関節構造部向けの駆動素材です。重量は金属部品構造よりも軽く機能と軽量化を両立させています。当然、『多脚戦車』などにも積極的に利用されています(というか本来は多脚車両向けの素材でした)。
なお、『戦術義体』『GF』『TRA』、と変化してゆく過程で構造の簡略化や整備性の向上が図られて、より整備しやすいパッケージ化が進んでいます。
◇インナー装甲素材:
素材名:『FPMC(=軟性高分子基複合材。Flexible Polymer-Matrix Composites)』
機能解説:
全共通。内殻部。各種耐性に優れたメインとなる柔軟機体カバー素材です。
◇アウター装甲素材:
素材名:『HPFRP(=高機能繊維強化プラスチック。High-performance Fiber-Reinforced Plastics)』
機能解説:
GF及びTRA限定。外殻部。主に設置装備の固定などに利用される『鎧』部分です。もちろん一定の対弾性能も考慮されています。
◇コックピットブロック素材:
素材名:『HCTC(=高靱性セラミック・チタン複合材。High-toughness Ceramic-Titanium Composite)』
機能解説:
『戦術義体』『GF』『TRA』共通のコックピットブロック防護殻素材として使用される高強度複合構造材です。高硬度セラミック、高靱性チタン合金、傾斜機能型複合中間層を一体化した積層構造を持ち、高い耐貫通性能と耐破砕性能、ならびにコックピットの生存空間を保持するための構造剛性を備えています。
『HELA-MMC』骨格が弾性変形と荷重分散を重視するのに対して、『HCTC』製防護殻は局所的な変形と貫通を抑制することを主目的としています。なお、防護殻自体の耐貫通性能は搭乗者の完全な安全を保証するものではなく、過大な衝撃加速度、構造変形、熱負荷、繰り返し被弾などによって搭乗者が負傷する可能性は残っています。
素材自体は広く普及していますが、高精度な一体成形防護殻や特殊な積層構造を持つ製品は高価なものとなっています。
※ 作者注
以上のように、『戦術義体』『GF』『TRA』、という『人型機動兵器』は共通の素材規格で製造されています。
そこに『ボーテック機関関連技術』が加わって各種兵器の性能の違いが生まれているのです。
特に『GF』に関しては『TRA』が生まれる以前と以降でかなりの構造的格差が存在しており、ほぼ別物と言えるほどになっています。
ちなみに、『アウター装甲素材』は解説にある通り『ハードポイント装備』などの固定装備を設置する構造部としての役割を持ち、そちらのほうがメインの役割とされています。




