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第十五話 生理機能検査室内部

 奥の部屋には様々な医療機器が置かれていた。この風景を見て、やはりあの少女がいた場所は医療行為をするような場所ではなかったと思った。電子機器と赤力機器がたくさん置かれているが、あの場所に置かれていたものと同じものが置かれているようには見えなかった。そう考えながら、視線を部屋の中心に向けると、医療機器の奥に三橋さんの姿が見えた。そして姿が見え始めてから、彼女らの声が聞こえてきた。

羽造はづくり先生、血圧とサチュレーションに異常はありません。脈拍が早く、心電図は乱れていますが、安静にすれば落ち着く範囲です。ですが、異赤粒子の体内保有量が多く、赤力が一種の暴走状態です」

「ふむ、了解した。ミシアを投与しよう」

「了解しました。ミシアを投与します」

 俺は、ゆっくりと三橋ら近づくと、三橋が振り向いて、こちらに微笑みかけた。

「遅かったね、そんなにおっかなびっくりしなくてもいいよ。羽造先生、彼が彼女を助けた、えっと、名前は……」

 そこで、俺はまだ三橋さんらに名前を言っていないことを思い出し、名乗った。

「申し遅れました、新藤です。新藤 誠。と、いいます」

俺の発言に、三橋は少し考えるように首を傾げ、

「新藤って、新藤悠漸流しんどうゆうぜんりゅうの新藤?」

「はい。くそじじっ……祖父が師範しはんなんです」

「最近は教わってないですけど」、と一言加えた後、俺は話しを戻した。

「それで、あの少女は大丈夫なんですか?」

「そうよね、今赤力安定剤を打ったからもう安心よ。他には後遺症が残りそうな異常は見つからなかったわ」

 その言葉に俺は安心し、話をずらした。

「比井塚さんはどうしたんですか?」

「あー彼?彼は細かい情報を本部に伝えに行ったわ。彼女の容態も伝えなきゃだから私も後で向かうけどね」

「ちょっと、いいかな?」

 俺と三橋さんが会話をしていると、先ほどから口をつぐんでいた羽造と呼ばれていた三十代位の老け顔の壮年そうねんが話しかけてきた。

「あっすいません!羽造先生」

 三橋は、少し慌てて後ろに下がる。壮年は、まっすぐ俺を見て質問をしてきた。

「新藤君、君はあの施設で何か見たか?」

 その質問に俺は首をかしげたが、ありのままを答えた。

「ここに居たって言う形跡はあったけど、ほかにはよくわからない機械以外何もなかったです。あ、あとは不気味な感じの赤力陣が……」

「あぁ、その赤力陣は三橋から聞いた。赤黒く不気味なものだったと聞く。まるで血で描いたもののようだったと……」

俺の言葉を羽造さんは考え込むようにして受け止め、うっすらと返答した。

「まぁ、このことに一般人をこれ以上巻き込むわけにはいかないのでね。ここからは、僕たち生物犯罪課の役目だ。君は安心していてくれ。必ず犯人を探し出して見せる。ですので今日は家に戻ってくれて構わないよ。警護に三橋をつけ……」

「大丈夫です!そこまでしていただかなくて!」

 羽造さんの申し出に、俺は食い気味に断った。

「で、でもだね君……」

 それでも警護をつけようとする羽造さんに俺も必要ないの一点張りで、ついに羽造さんが折れた。

「わかった、では警護は無しだ。強制ではないのでね。だが気を付けたまえ、最近この隔壁都市未来には人攫いが続出しているからね」

 俺は、羽造さんの忠告に俺は了解し、三橋と別れ、家に帰った。家には誰もいなく、静かだった。そして思い出す。あの部屋で吹いた、不思議な風を。

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