第百二話 他愛ない夜
そして数日、俺は特に任務も無く学校に登校していた。川蝉以外に仕事などやることがある川蝉メンバーは、比較的任務が回ってこないのだ。
「と言う訳で、今週の木曜日は社会見学で聖天教会の聖地に行きます。そこは聖天教会にとってとても神聖な場所ですので、各自節度を持った振る舞いをしてください」
「「「はい」」」
「では今日のホームルームは終了です。号令係だん、号令をお願いします」
「起立……気を付け、礼」
「「「ありがとうございました」」」
今日最後の授業であるホームルームが終わると、同級生らは次々と帰路に就く。
「誠ー。隣の教室はもう終わってるみたいだから帰ろうぜー!」
「おう」
俺は友也の言葉を聞いて動き出した。隣の教室に行くと、彩芽と和義が待っていた。
「あ、ホームルーム終わった?」
「おう」
「じゃあ帰ろっか」
俺達はいつものメンバーで帰路に就いた。
「今日の晩御飯は何がいいかしらね~。千姫ちゃんは何がいい?」
「ん……肉じゃが」
彩芽の質問に、千姫が少し考えながら返答すると、彩芽は嬉しそうに頷いた。
「そうね!肉じゃがの材料なら丁度良いのが家にあるし、そうしましょう!誠もそれで良い?」
「もちろん」
「三人生活にもずいぶん慣れてきたみたいだな」
俺達の会話に和義が言うと、友也、美幸、紫穂が頷いた。(真十花は紫穂に手を引かれながら半分寝ている為、会話には参加していない)
「まぁそうだな。三人いると色々楽で良いな」
「なにそれ!人を便利道具みたいにぃー!」
俺の発言が気になった彩芽は少し頬を膨らませながら言った。
「いや、そうゆう訳じゃない。たしにか便利にはなったんだが、それは助かっている、であって別に道具扱いをしているつもりは無いぞ」
「そう?なら良いけど」
なんて会話をしながら俺達はそれぞれの家に帰った。
「はいっ、今晩は千姫ちゃんのご要望通り肉じゃがです!」
そう彩芽が言って出してきた料理は、肉じゃがと、副菜である株の漬物、そして定番の豆腐とわかめのお味噌汁であった。(天風達にもほぼ同じものが用意されている)
「いつもながらにおいしそうだな」
「でしょう?さ、食べよ食べよっ」
「「「いただきます」」」
そう言って、俺達は食事を始めた。
「「ごちそうさまでした」」
「はい、お粗末様でした」
俺達はしっかりと手を合わせて言った後、食器を流しに運ぶ。
「肉じゃがのじゃがいもに味がしっかりしみてておいしかった」
「本当?千姫ちゃんありがとう!」
そんな会話をしながら洗い物は進み、その他もろもろを済ませ、俺達は自室に入った。
「天風、おいで」
俺が呼ぶと、天風はテクテクとゆっくり、俺の膝元に寄って来た。
「いま毛繕ってやるからなー」
そう言って俺は天風の体毛をブラッシングする。天風はそれに「クゥーン」と気持ちよさそうに鳴きながら、瞼を閉じていた。その後三十分ほど毛繕いをした後、俺は眠りについた。




