第九十四話 暗がりの公園
「じゃあな」
俺はみんなにそう言い、俺と彩芽と共に、千姫が待つ自宅に向かった。
「もう暗いわねー」
俺達は日が落ちた後、夜空を眺めながら広い公園の中に入った。その時、公園の階段の上の丘から大声が聞こえた。
「何処だっ!」
「こっちから足音がしたぞっ!」
そんな声が聞こえた後、階段から何かが転がり落ちて来た。
「きゃぁっ!」
そこから転がり落ちたのは、黒い装束の少女であった。
「大丈夫!?」
彩芽は俺が止める前に少女へ近づく。その時。
「おい、居たぞっ!」
と言う声と共に、数人の黒服が様々な場所からやって来た。そして黒服達は俺達を囲むように歩いて来た。
「おい、あんたら何者だ。俺達のことも囲んで、一体何のようだ?」
俺が警戒した声で言うと、天風が唸り声を上げる。すると黒服の一人が、一歩前に出て来、話した。
「お前、そこの女の仲間か?」
「いや?」
「そうか、ではその女から離れてくれ。俺達はその女を探していた」
「この子をどうするつもりだ?」
「お前が知る必要のないことだ」
そんな会話していた時、彩芽が抱く少女から、掠れた声が聞こえた。
「た、すけ、て……」
「誠!薙摘来て!」
「天風!」
彩芽の声に、俺は天風を呼び、彩芽は薙摘を呼ぶ。すると、天風と薙摘が発光し、太刀と薙刀に姿を変える。形態変殻と言う、分離器生命体がそれぞれ固有の姿へと変える能力を使い、武器へと変わった天風を俺は持ち、黒服らに向かって構える。黒服と少女、どちらが正しいのかは、はっきり言って分かっていないが、主である椎名 彩斗様の娘である彩芽のお願いが最重要だ。俺はそう思い切っ先を黒服に向け、少女から離れないと言う姿勢を取ると、黒服達は無言で武器を構え、一斉に襲い掛かってきた。俺はそれに対し、余裕を持って、彩芽と少女に近付かないように避け、ある程度相手の練度を確認した後、反撃に移った。俺は相手のナイフを避けそのナイフを太刀で打ち付け、地面に叩きつけた。そしてその男を峰打ちで昏倒させる。その手際の良さに、他の黒服達がざわめいた。だが俺は止まらない。すぐ次の黒服に突進し、武器を落とさしてから昏倒させる。
「何者だ!あいつは!」
黒服の一人が声を荒げた。その間にも、俺は黒服達を一人また一人と昏倒させていく。
「あの太刀筋は、新藤悠漸流!?」
ある黒服がそう叫ぶと、周りの黒服は動揺して動きを止めた。それを確認し、俺も一旦足を止める。
「へぇ、よく気がついたな。ちゃんと見てるじゃないか」
俺がそう言うと、黒服達は一歩さがった。
「新藤悠漸流って、あの数多くの騎士や剣豪を輩出している、あの……」
「と言っても、ピンからキリまで居るけどな。最近は楽に強くなろうとする奴が多いらしい」
そう言うと、黒服達は動揺し、後ずさり始めた。
「まてよ、お前らは川蝉行きだ」
「川蝉って、あの国家公認の結社!」
俺の言葉に大体の人間は踵を返して逃げたが、全員俺が確保した。黒服全員を拘束し、解体変殻を戻し、狼の状態へ変わった天風に、川蝉との連絡係にし、俺は彩芽の抱える少女の下へ向かった。
「容体は?」
「擦り傷や打撲が痛々しいけど……うん、骨には響いてないみたい」
彩芽の台詞に俺はそっと息を撫で下ろす。
「そうか、これからどうする?俺は此処からちょっと離れたところで回収班を待つけど」
「私も残る」
「だが、その子を病院や警察に連れていった方が良いんじゃないか?」
俺がそう言うと、今まで眠るように何も言わなかった少女が、咳をし、荒い息を吐きながらも言葉を発した。
「いや、びょうい、んも、けいさつも、嫌だ……」
少女は掠れた声でそう言い、もう一度咳をした。俺達はその行動に心配をしたが、どうやら訳有りであるようだ。
「そう、じゃあ今晩は家に泊めましょう。行動するのは明日から。良い?」
彩芽が少女にそう言うと、少女は嬉しそうに少し微笑んでから、気絶してしまった。
「て言うか、あそこ俺の家だからな?一応言ってくけど」
「まぁ、細かいことは良いじゃない♪それよりも、早く此処を移動しましょう!」
俺は彩芽の言葉に利があること知っているので、渋々、だが素早く、場所を移動した。




