俺旅立った。
「やっと家に付いたか」
遥は緊張しながらインターホンを押す。
ピピン、ポーン
すると、バタバタと家の中から音がしたと思った瞬間、ドアが開いた。
「そのそそっかしい押し方、遥よね!」
目の前に飛び出した母の姿を前にして、遥は泣き崩れてしまった。
「あ、ああぁ・・・おかあしゃん・・・・・・」
その後、鍵波が代わりに事を話し、遥はシャワーを浴び、別の洋服に着替えていた。
暫くして、遥がリビングに出てきた。
「着替えてきたよ。で、諸々の話は聞けた?」
「大変だったわねぇ」
「どいつもこいつもすんなり信じ過ぎだろ!」
「じゃぁあなたは遥じゃ無いの?」
遥は突っ込む気も失せてしまった。
仕切り直して、遥の母は高校の事について話し始めた。
「とりあえず、1ヶ月間通うのよ。それと、結局高校入試も受けられなかったわね」
「じゃぁ、私の高校はどうでしょう?荻君の学力なら十二分に追い付けるし、
編入も可能なので」
「そこで決まりね」
「分かった。そこで1ヶ月、授業を受けてみるよ」
キビキビと自分の事に積極的に考える遥の成長した姿に母は感動してしまった。
「なんだかお母さん嬉しいわぁ。お父さんに連絡しないとね」
そう言うと、母はかしましく部屋を出ていった。
「なんだか、忙しくなって来たな」
「うん」
ーあれから数年、1ヶ月と言いながらも作者の気分的に進んだ。
遥は高校卒業となった。その生活の中で、仲間達と過ごして
過去のコンプレックスを克服出来た。
父親が再度出した企画によって「ハイパー召喚師テンペスティア」のリメイク放送
が決定、荊の道を進んだアニメとしてその名が轟き、大ブレイクした。
「・・・・・・じゃあ俺、行かなきゃな。異世界へ」
「じゃぁ、またいつか会える日を楽しみにしてるね」
「あっちの世界で結婚式を挙げてきても良いのよー」
「母さん、まだ結婚出来る年じゃ無いだろ」
「さあね。ま、テンペスティアが売れた日を見れて悔いは無いな」
その場の全員から笑いが溢れた。
「んで、この一連の件はみんなだけの内緒にしてくれよな。そんじゃま・・・・・・」
「行ってッきま」
その時、遥はトラックにはねられた。
2度目の死亡。
享年16歳。