俺あの子に会う。
「・・・帰ってきたのか?」
遥は自分の姿に何か変わったものが無いか調べたが、何も異変は無かった。
「天使っつっても、形は人間と変わらんのな。わっか無いし」
「まずは家に帰るか」
遥は服装を簡単に整え、歩き出した。が・・・・・・。
「ここってどこだっけ!?えーと、家の近くの筈なんだけど・・・
ずっとこの近辺来て無かったから分かんねえ!」
遥は頭を抱えていると、後ろから自分を呼ぶ声がした。
「荻・・・君?荻遥君?」
「え・・・君は・・・まさか、鍵波さん?」
「荻君、なんで・・・亡くなった筈じゃ・・・・・・」
彼女は、あの日告白した相手だった。
やはり、と遥はその反応に驚きはしなかった。
「いやー、あの後家出したら死んだなんて事になっててなぁ、いやびっくり」
「お葬式の時、遥君の亡骸を見たんだけど・・・」
さっきまで笑って見せていた遥の表情が強ばる。
「ちょっと、俺の手触ってみて」
遥は試しに鍵波に頼んだ。本当に自分がこの世の者なのか、それは自分にも分からなかった。
心臓の鼓動が高まっているが、自分にしか感じないのかも分からない。
「・・・触れる。本当に荻君なんだね?」
「おう」
そして、遥は彼女に事の全容を簡潔に説明した。
「信じられない話だろうが、俺の実体がある事を証拠にしてくれ。
それと、ちょっとここら辺の道を教えてくれないか?」
「うん、何なら荻君の家まで行こうよ」
「え、良いのか?」
鍵波は頷く。遥もそれに甘える事にした。
「荻君、なんかその異世界っていう所行って鍛えて来たの?」
なんで、と遥が問う。
「だって、何か、大人っぽくなったから。私、あの時は全然君の事知らなかったから
ああ言ったんだけどね、私も先輩に告白したら同じ事言われたの。
その時に、知ってもらわなきゃって思ったの」
「やっと荻君の事が一つ分かったんだよ。でも、その後私は荻君を見てるだけで・・・」
「高校に入っても気にしてて、それで死んだって・・・」
「そっか、心配掛けたなぁ」
「あの日から、私は荻君の家に通ってたんだ・・・」
「それで、荻君の悩みとか嬉しかった事とか、いっぱい知れた。私は今はあなたの事を
知ったのだから・・・す」
その瞬間だった。会話に夢中になっていて、道路に飛び出していた二人の横から
トラックが突っ込んで来た。
「いやぁぁぁ!」
「・・・想像!!」
その鳴動は遥の肉体を強化させ、トラックを受け止めた。
「やっぱり残しといてくれたのかな・・・この力」
「それが・・・・・・例のチート能力?」
「ああ。それより、早く家に帰ろう。ババ・・・母さんと父さんに会わなくちゃな」
鍵波は遥の差し伸べた手を取り、再び歩き出した。




