06朝凪
7月
予定されていた1週間の休みに入った。
京都には一度で良いから行ってみたかった。
厳密に言うなら小学校の修学旅行で一度訪れてはいるが、歴史もロクに学びもしない子どもの頃の思い出などたいしたことはなかった。
高校生の頃に幕末の歴史にのめり込んだ過去の学習が、旅行への意欲をより一層高めてくれた。新撰組も尊皇攘夷もどれも魅力的に思えた。今回の旅の目的は、池田屋跡・壬生寺は外せない等と思いながら、見きり発車で京都へ車を走らせる。
旅のお供は相も変わらずユーチューブであった。ライブ配信を見るには時間が早すぎて配信していなかったのだ。
旅の醍醐味として、寄れるサービスエリアは全て寄ろうと思っている。時間など山ほどあるのだから。車中泊をしたって良いのだ。
鈴鹿パーキングでの一コマ。
普段高速道路を使用しないため、こういった簡易的にご当地を味わえるのは楽しかった。
旅の思い出として小さくて可愛い者達のご当地キーホルダーを買って行こうか、それも良い思い出になるかなと思いお土産コーナーを右往左往する。
食事は食券を買うタイプのフードコートでは、松阪牛を使った牛丼が表示されている。
千円台で食べることができる松阪牛にあまり期待しないで、食券を呼び出し札と交換した。
食事を待つ間にXを覗く。ライブ配信をしている人が同じチームの人の事をポストしていたのに気付く。『朝凪ろくみ』配信中。
チームに所属していたことはライブ配信で何度か聴いていたため知ってはいたが、チームメンバーに誰がいるのかは存じ上げなかった。
軽い気持ちでライブ配信に顔を出してみる。
RTAのライブ配信しか見たことがなかったからか、雑談配信をしている朝凪は新鮮な気持ちになった。
1分1秒を競う世界から、チャットと緩く話す姿には不思議な人を惹き付ける魅力があった。
チャットには癖の強い独自の世界観を書き込む者、今日も可愛いねといったありふれた事を書く者、ただ投げ銭だけする者。触れたことのない世界にはどこか異様さを感じた。
チャットのやりとりを見ているうちに、手元の呼び出し札が振動で机をならしながらピーピーピーと音を立てる。
身内ノリのあるチャットに参加するのは少し憚られたため、ご飯を食べながらやりとりを眺める。
松阪牛はほんのにした甘さが口のなかで広がり、深みのあるタレが食欲を刺激する。卵で閉じられた、牛丼よりも卵とじな丼はあっという間に空になる。
丼をかきこむ早さとは対称的にゆったりとした配信であった。




