総帥、トイレ掃除で信者を量産する~清掃活動(魅了)はもはや宗教儀式です~
なんかファンタジー書いてたはずなのに違う方向に言ってる気がする
森の中に突如現れた近未来的な多機能トイレ。
佐伯悠馬は、低速モードでやっと手に入れた「ハミルトン製・スタンダードつなぎ」に身を包み、モップを手に個室の清掃に勤しんでいた。
「……お母さん。英国紳士は、どんな環境であっても清潔さを失いません。……たとえ、扉の外で三頭のワイバーンと五体のオークが、一糸乱れぬ姿勢で『順番待ちの列(整列)』を作っていたとしても……です」
「兄さん! 掃除、交代するっすよ! 僕は筋肉を動かしたくてたまらないんす!(野太い声での咆哮)」
「……ダメです、ノア。君の筋力では、このハイテク便座を物理的に粉砕しかねません。……それに、君も感じているでしょう。この……異様な視線を」
悠馬が個室のドアを開け、バケツを持って外に出た瞬間。
並んでいた魔物たちが、一斉に「ビクッ」と硬直した。
悠馬の体から、低速モードでも全く衰えない「魅了粒子」がキラキラと降り注ぎ、森の湿った空気と混ざり合って、幻想的な光のカーテンを作り出す。
「(……グゥ、ガァ……王子様が……王子様が自ら床を磨かれた……)」
「(……あのモップの動かし方、完璧だ……抱かれたい……)」
魔物たちの瞳が、急速にハート型に染まっていく。
彼らにとって、悠馬は「トイレをくれた恩人」ではなく、「排泄の概念すら聖なるものに変える、全知全能の掃除神」へと昇華された。
『あはは! 悠馬くん、魅了バリア全開だね!☆』
女神が、今度は「神社の巫女」の格好をして現れた。
『君が掃除を終えるたびに、個室が「パワースポット」に認定されてるよ☆ 今、行列の最後尾は隣の領地まで続いてるよん☆彡』
「……ただの公衆衛生の維持を、聖域化しないでください」
すると、行列の先頭にいたドラゴンが、前脚を器用に使って「寄付金」という名の、巨大な黄金の魔石を悠馬の足元にそっと置いた。
ピコン!
【徳:+15,000】
【理由:魔物たちに『並ぶ美徳』と『トイレの神様』の存在を教え、種族を超えた連帯感(信仰)を生み出したため】
「……っ! +15,000! 素晴らしいキャッシュフローだ。……ですが、なぜでしょう。……一秒ごとに、魔物たちの『愛』という名の負債が、私の精神を削り取っていきます」
「兄さん! 大変っす! 兄さんが磨いたレバーに触れたいオークたちが、『これは聖遺物だ! 誰が最初に触れるか決闘だ!』って、トイレの前でアームレスリング大会を始めちゃいました!(野太い声)」
ピコン!
【称号:『便座の聖父』『魅了の清掃員』が追加されました】
【現在の状況:トイレのWi-Fiパスワードが『I_LOVE_YUMA』に変更されました】
「……女神。一つだけ。……私は、ロンドンの……。……いえ、もう、何も言いません。……ただ、この『通信制限』のせいで、私の魅了を打ち消すための『サングラス』すら注文できないこの不条理を、私は…………」
ハミルトン総帥、異世界(実質)二日目・夜。
彼の「スローライフ」は、トイレ掃除一つで魔物たちの文明レベルを引き上げ、同時に彼らを「悠馬教」の狂信的な門徒へと変えてしまっていた。
不定期で更新します。評価、ブクマ、感想いただけると励みになりますよそりゃあもう!たまに押してくれても罰は当たらないんですよ!そこの読んでくれてるあなた!!




