総帥、徳の多重債務者になる~魅了(バグ)のせいで返済が追いつきません~
女神に遊ばれている可能性
国立聖エルゼ学園の地下、かつての華やかなオフィスは、
ショップスキルの利用停止により『Tescoの段ボール』が散乱する「督促状の山」へと変貌していた。
佐伯悠馬は、軍服のボタンを一つ失くしたまま、
手書きの収支計画書を睨んでいた。
「……お母さん。ハミルトン・グループの負債総額は、現在『マイナス5万徳』。
……ノア、ショップが使えない以上、現物支給の労働で稼ぐしかありません。
……まずは、学園の裏庭の草むしりから始めます」
「兄さん! 了解っす! 根性で毟りまくりましょう!
(野太い声で、ドレスの裾をまくり上げて四つん這いになる銀髪美少女)」
悠馬が、軍手をはめて庭に出た。
だが。彼が一歩歩くたびに、女神が勝手に設定した「垂れ流し魅了」が、大気中に「キラキラした粒子」を放出し始める。
「……あ、あの、王子様! 草むしりなんて、そんな尊いお姿……! 私たちが代わります! むしろ、王子様が触れたその雑草を、1万ゴールドで買わせてください!」
女子生徒たちが、瞳をハートにして殺到する。
ピコン!
【徳:-500】
【理由:他人の労働意欲を奪い、不当な高値で雑草を売りつけようとしたため】
「……なぜです! 私はただ、労働に従事しようとしただけです!」
『あはは! 悠馬くん、ダメだよ☆』
女神が、今度は「借金取り」のようなドス黒いスーツ姿で現れた。
『君の「魅了」は、息をしてるだけで周囲を狂わせちゃうの☆ 君が親切にするたびに、相手は「一生貢ぐ」って誓っちゃうから、その分だけ君の「徳」はマイナス査定だよん♡
まさに「歩く公害」だね!☆彡』
「……生存そのものが、コンプライアンス違反、ですか」
絶望する悠馬の横で、ノアがさらに追い打ちをかける。
「兄さん! 大変です! 兄さんが『魅了』を振りまきながら草を毟ったせいで、学園の庭が『聖地』に指定されて、今度はロリドラゴンと猫耳生徒会が『どっちが先に兄さんに貢ぐか』で、第2次世界大戦の準備を始めました!(野太い声)」
「……ノア。私は、ただ、真っ当な一労働者として、静かに、母の元へ帰りたいだけなんです……」
視界の端。
【読者満足度:3,000,000%(有能すぎる男の、逃げ場のない溺愛地獄、最高!)】
【現在の状況:『徳』の利子が膨らみ、あと300年働かないと帰還ゲートが開かない計算になりました】
「……女神。一つだけ。……私は、ロンドンの地下鉄の、あの不快な騒音すら……
今なら愛せる気がします……」
『ダメ~☆ 今から「全校生徒3,000人による、悠馬くんへの強制貢ぎ物オークション」イベント開始だよ♡ 頑張って、一円も受け取らずに逃げ切ってね!☆彡』
悠馬は、女子生徒たちの「お買い上げ(執着)」の叫びから逃れるため、裸足で逃げ出した。
有能すぎる男、佐伯悠馬。彼の「返済生活」は、一歩進んで百歩下がる、キラキラした負債の底なし沼だった
不定期で更新します。評価、ブクマ、感想いただけると励みになりますよそりゃあもう!たまに押してくれても罰は当たらないんですよ!そこの読んでくれてるあなた!!




