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これはデスゲームを見守る簡単なお仕事です。①-入社編-  作者: 三嶋トウカ
Stage1_D

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ショウカクシケン_チュウ_1


 「実川さん、指もらいますね」

「触んじゃねぇ!! クソ!!」

「動かないでくださいよ。一応指切れるか一回くらい試しとこうとは思っているんで」

「お前頭おかしいだろ! クソ! さっさとこれ解けよ!!」


 改は実川の言うことを気にしていない。というか、耳に入っていない。改にとっての優先事項はマチェットで実川の指を切り落とす、もしくは傷をつけることで、実川の言うことを聞く気など一切なかった。つまり無視しても問題なく、無視したからといって特に問題はない。少し耳に入る騒音があるくらいにしか、改の認識上はなかった。


「あ、指開いてくださいよ。これじゃあ絶対刃が入らないじゃないですか」

「そんな話聞いて指開くわけねぇだろ! クソ! 死ね!」

「うーん……後ろ手に縛るって拘束には有効ですけど、手になにかしたい時ってあんまりよくないですね」

「クッソ……クソッ……!!」


 実川は身体をよじって何とか拘束から逃れようと奮闘するが、その程度で拘束が緩むような結び方はしていない。手首の辺りに拘束具がつけられており、二の腕と上半身とイスが一緒くたにロープで縛られている。座面には太腿が括りつけられており、膝から下も足を揃えた状態でグルグルとロープが巻かれている。足首には手首と同じように拘束具がつけられていて、錘もある。簡単に逃げらるとしたら、それはゲーム上の演出だ。逃げられるようにわざと緩めて、逃げられると思わせたところを殺す。反撃してこようとしたところを殺す。逃げ損ねたところを殺す。


 ――殺す、ころす、コロス――


「そ、そうだ! お前、俺が代わりに仕事変わってやったんだぞ!? 恩があるだろ!?」

「……恩……?」


 ピクリ、とこめかみに力が入る。


「そうだ! 恩だ! お前は俺に恩がある!! だからこれを外せ!!」

「……んん~」

「さっさとしろ! お、俺は優しいからな! それで、それで恩をチャラにしてやる!!」

「や、僕、別に恩なんかないんですよ、実川さんに」

「……は?」

「だから、ないです」

「馬鹿か!? あるだろ普通に!!」

「え、なんで僕実川さんに恩があるんですか?」

「お……オイオイオイオイ!!」

「ちょっとよくわからないです。……あー、いい加減煩いんで、ちょっと黙ってもらって良いですか?」

「なっ、オイ! 待て!」


 改はマチェットを足元に置いて、武器の元へと向かった。


「んんー……さっきの肉叩きが一番良かったかも」


 小さな果物ナイフだけ手に取って、改は新しい武器を物色するのをやめると肉叩きを持ち直した。頬を殴った跡が、先端にまだ残っている。


「あー、黙っててください。作業に邪魔です」

「待てそれどうするんだ――」


 ――ゴッ。


「おぉ――!!」

「……っと」


 ――ゴリゴリゴリ。


「ヴエェ……」


 実川の頬を抉った肉叩きを、今度は実川の口の中に突っ込んだ。歯に引っかかった先端を押し込んで、回しながら進めていく。


「ご、ぉっ……オェ……エェェ……」

「あー、静かになった」

「ォ……ォ……」

「……あ。もしかして息できない……? しまった、そんなすぐ殺すつもりないのに!!」

「コッ……オォ……ッ……」

「いや、これで良いのか。……実川さん? これ、外してほしいです?」

「オッ、オッ」


 一生懸命に頭を下に下げようとしているが、口の中に入った肉叩きが口内を傷つけるためにぎこちない動きになっている。


「外してあげても良いですよ? その代わり、手、開けますよね?」

「オオ、ッオ……」

「手、開いたら、そのあとでこれ抜いてあげます」

「オオ、ウ、オオ……ウ……」


 改は笑顔で交換条件を持ち出した。まともに息ができない恐怖からか、それとも近づいてくる死の恐怖からか、実川は震えながらもゆっくり手を開いた。


「お、そうですそうです」


 プツッ――


「おぉぉぉぉぉぉ――!!」

「え、この程度で大袈裟じゃないですか?」

「んんんんん――!!」


 開いた手の指を切り落とすために、改は果物ナイフを指の上で引いた。しかし、骨が引っかかって切り落とすことができない。すべての指で試してみたが、どれも皮と肉がパックリと開いただけで、骨までしか至っていなかった。


「やっぱりこれじゃ無理か」

「オェ……エェェ……」

「あ、忘れてた」


 ――ゴリ、ゴリゴリゴリゴリ、ゴッ。


「んごっ、おっ……うえぇ……」


 口の中の肉叩きを勢い良く引っ張る。すべての歯が欠け落ちることはなかったものの、先端が入るのに邪魔だった前歯と、その横二か所ほど歯が欠けたり削れたりしている。神経の通っている付近を削ったのか、それとも単純に内膜と顎が痛んだのか、実川はプルプルと身体を震わせて口の中のものを吐き出そうとしている。ボタボタと血液と歯の混じった涎を垂らしている。


「約束は守りましたよ? お互い頑張りましたよね?」

「はぁー……はぁー……はぁー……はぁー……」

「えっと、動かないのは助かるんだけど、これだとちょっと殺りにくいな……?」

「おま、おまへ……あ、あひゃまおか、おかひい……」

「どうしようかな、結構ロープ部分が多いな……」

「な、なぁ、たのう……たのうよ……」


 んんん、と改は顎に手を当てて感が考え事をしている。このあとどうするか悩んでいるらしい。自分がやりたいと漠然と思っていることが、この状態だと実行できないようだった。

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