セカンド浴後編
案がとても増えてクオリティが上がっていってます(建前)
書けずにいて申し訳ない。(本音)
「うーん······、綾ちゃん無事かい?衝撃は九割負担したつもりだが、別の衝撃が強そうだね」
「物理的衝撃よりこっちの衝撃をどうにかしなさいよ」
「ああ、大丈夫だよ。もう虫という虫は処理しておいた」
生物の肌に着いていた寄生虫がいつの間にやら全て消え去っていた。
「早すぎでしょ」
「綾ちゃんの意を汲む僕だよ?これくらい造作もないことだよ」
「意を汲むのが得意だというんなら抱きつこうとすんなっての!」
ダイビングして来る黒を足で蹴り落とした。
素足で蹴ってしまったので結局のところ奴にとってはただの御褒美になる事に変わりはないけれどと。
「てかてかこの謎謎しい生き物なんなのさ」
「これは三つの可能性が色濃いと思われるんだ。一つ、御手洗家の者が研究していた海洋実験生物のうち一匹が誰もが気付かぬ間に逃げ出して成長したか。二つ、大西洋か両極海から流れ着いた珍しい化け物か。三つ、在来種の突然変異か。四つ、御手洗家以外のどこかが生み出した人工生命体か、だね」
「いや、四つ言ってるじゃん」
「飽くまでも最後のは可能性が低いから可能性の高い最初の三つには含まないんだよ」
なんとなく二人して黒い生き物の肌を少しペチペチしてみた。常夏の日差しのせいか少し乾燥いた。魔術で満面なく水を撒き散らしてあげようとしたら、気が付いたら先に撒かれていた。アホ神の結界から出ている限り黒に私の仕事が全て取られてしまうようだ。
とりあえずこの黒い生き物の全貌を見ようと立ち上がった。
「さーてさって、お顔でも拝見してやりますかな······ってちょ!」
イアゼウスパスが勝手に起動して、そこにはクジラっぽい何かの姿が映し出されていた。その生物の背中には私と黒の姿が映し出されていた。
「仕事が早すぎるってば」
「僕の元々の仕事なんだから当然の事だよ。今のところ綾ちゃんの二手先を完了したところさ」
「ヴおおぉぉぉア!」
黒い生き物が鳴いたらしい。
「よしよし」
「え?手懐けちゃったの!?」
「このくらいなら綾ちゃんにだってすぐに出来るようになると思うんだけど」
「わ、私を手懐けるだって!?やれるもんなら今この場でやってみなさいよ!」
「そっちじゃないよ······」
黒が「ピュイッ」と指笛を鳴らした途端、謎の生き物は西へと私達を乗せて泳ぎ始めた。
「へい黒やい」
「なんだい綾やい」
「綾やいはヤメナサイ。この謎の生き物に仮でもいいから何か名前を付けましょうやい」
「まるで僕と綾ちゃんの子供かのように名前を付けるんやい」
「やっぱりコイツもアンタも殺すやい」
お名前はマツケンに決まりました。
「マッケンジーってのも良かったけれど、まぁ妥協ね妥協。そしてまた抱きつこうとすんな」
脳天にカカト落としして、更にグリグリする。
「てか、さっきのカメラってドローンじゃないの?電波良くなってないよね?」
「あれは電波なんて関係ないよ。僕の術の応用だよ」
「ふーん。あっ、島が見えてきたわ」
なんかバギボギッとサンゴを薙ぎ倒して進んでいるような音が聞こえ始めた。
「大丈夫だよ。この程度は造作もないそうだ」
稜葵と伊織が目をギョッとしてるのが見えた。
「な、なんですかコレは!」
稜葵が、まぁ当然の反応を見せた。
「コレは······まぁ、分かんないや」
「展示すれば来客一億人は確定です!」
「聞きたくなかったよ······」
稜葵は目をキラキラさせてマツケンの肌をペチペチし始めた。
「おい戸室······この生き物は、強いのか?」
「さぁ〜、私よりは強いんじゃないの?」
「こ、今回は手を引いておいてやろう」
伊織は私のジョークを間に受けたらしく、別荘の中に入っていった。
「そういえば、レイはどしたの?トイレ行ってる?」
「それがですね、どうやら帰ったらしく」
「帰ったー?どうやってよ」
「それが、帰るところを誰も見かけてないんですよ。ただ、砂浜に置きメッセージが書かれていたのを爺やが見つけただけなんです」
そういえば、レイについて私はまだ何もあまり知っていなかった。能力保持者なのか、金持ちなのか、まだ知ってもいなかった。
「おおー!この肌触り!がっしりとした身体!筋肉筋肉しい!」
いつの間にやらマッチョメンらが謎生命体に貼り付いてペチペチしていた。
「ちょっとちょっと!そんなに貼り付いたら熱中症になるでしょ!」
「うるさい!このクジラは我々筋肉筋肉バディメンに加わる事が確定した!」
「そうだそうだ!」
大きめのマッチョに続き小さめのマッチョもそう宣う。
「はー、勝手なこと言うんじゃないよ!またぶっ飛ばされたいの?」
「今回はそう簡単に飛ばされはしない!いでよ!我らのバトルスーツ!」
小さめのマッチョが空に向かって手を伸ばす。その腕先から電気のようなものが空へ飛んでいった。
「あー!もしかして電波障害ってまさかアンタのせい!?」
「電波障害?よく知らんが、そういうことにしてやろう!」
マッチョメンらが両手を真っ直ぐ上に伸ばしながら自慢気に答えた。
空で一瞬何かが煌めいた。
砂煙を巻き上げながら高く飛んだ彼らは、「とーう!」と、真っ黒い鎧のようなものを全身に纏って、
「筋肉筋肉マッチョメン!ちゃんとしたモード!」
全員がそんな恥ずかしい台詞を孤島の砂浜で轟かした。
砂浜に再び砂煙を巻き上げながら舞い降りた彼らは、まるでゴキブ······現代風の騎士団の様だった。
「まず手慣らしにチビ女、お前から筋肉にしてやろう!」
「筋肉にするって何!」
神経の速度を高めて、剣を作成する────「遅い!」「ぐぅっ」
一瞬の隙にリーダーのマッチョメンが間合いを詰めて私の下顎に下から勢いよく拳を当て、アッパーをかました。
反射的にマッチョメンとの間に小型空気爆弾を作り爆破、風圧で一時離脱する。
中空から戦況を見るからに、リーダーマッチョメンに伊織が蹴りかかり、稜葵らは屋内へ避難、黒は残りのマッチョメンらの相手を············残りのマッチョメンらを縛り上げ終えていた。
「いっ!」
首と顎に痛みが走った。死んでないので治せる範囲内ではあるが恐らく骨折かそれに近いものだろうか。
治療が完了すると、空からブロロロという音が聞こえてきた。
視力強化して見遣ると、シックスパックの付いた武装ヘリコプターが飛んできていた。
岩でも投げつけてやろうかとしたら、勝手にヘリコプターは墜落していった。
「ん〜〜?なにごと」
「あっちはもう対処済みだよ」
黒が当たり前かのように答えた。
ふと見ると、マッチョメンリーダーは縛られて砂浜に頭から刺さっていた。
「何を食べたらそんなことできるのさ」
「愛があれば何でも出来るって道徳の教科書に書いてあると思うよ」
「道徳を読む人は人間を砂浜に刺しません······」
クジラは御手洗家がミュージアムに高値で売りつけました。




