第69話 閑話 勉強会
この回で、この段階で、茜ちゃん初登場です
逆に言えばこの回が終わればクリスマス回まで二度目の登場はお預けとなります
しくしく
「あっまっつっかさ〜ん」
二階から顔を覗けて一階のリビングに視点を移す。
「はいはい、どうしましたかメンシュタイト?」
椅子に座り、同人誌を読んでいる金髪の女性、ミカエルが顔を上へ向けて私の声掛けに反応する。
「メンシュタイト······は置いといて、今晩は稜葵の家に泊まってくからさ。留守番お願いするけどオッケー?」
「あー、どうにでも構いませんよ。私は読書で忙しいんです」
「てゆっかさ。メイドがのんびり本を読むのはちょっとどーなのかなーって思うんだけど、アンタどう思うよ」
「同人誌はセーフなのでお気遣いなく」
「あっはは、だよねー」
諦観。
無言で自動掃除ロボを起動させる。
一階の壁の一部が開き、そこから円柱型の自動掃除ロボ──つまりル●バ──が現れ、ミカエルの方へ、ウィーンと音を鳴らしながら移動する。
「な、なんですかコレ!噂の掃除ロボではないですか!」とミカエルは掃除ロボに食らいつく。ひっくり返したりして細部を観察している。
そんなに珍しいものでもないだろうに。
「そっれじゃあ、いってきまーす」と玄関を出る。
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「え?また別荘?」
「はい、また別荘です。ですが今回は、もう海は懲り懲りなので、山です」
「さいですか」
「シロサイです。ちなみに温泉が湧いてますよ!」
「おおう!ナイス温泉!ビバ温泉!」
楓夏が踊り始める。
「温泉!美味しそうな響き!」
「レイレイはこれでも食ってろ」
レイの口に焼きそばパンを捩じ込む。
「山って、山が別荘なわけ?」
楓夏がボケる。
「あー、その手もありますね」
「いや、どんな手だよ」
「孔雀の如く美しき重複する手······」
「まさかの千手観音!?」
「ほらほら······全ての動きが残像っぽく見えますよ······」
「はっ、閃いた!千手観音腹話術を!」
「えっ······何それは······」
「千体の手袋型人形を同時に腹話術で喋らせるのさ!」
「素晴らしい名案です楓夏ちゃん!これで一攫千金狙えますよ!」
「······そもそも腹話術できるの?」
「当たり前でしょう」
楓夏が腹を晒してペコペコ凹ます。チャームポイントは臍の穴。
「あらまぁ、はしたない!要らないから退場してどうぞ」
「腹話術ならばできますよ。
『森から立ち去れ······ニンゲン来るな······立ち去れ······』
あ、貴方は森の主のホームレス藤山猩々(ふじやましょうじょう)さん!私、道に迷ってしまったんです!どうか帰り道を教えて下されば、いくらでも立ち去ってみせられます!
『ニンゲン······嘘つき多い······オマエの個人情報を全て晒せ······』
勿論で御座います!コチラに御座いますは平井印のブラックカードで御座います!
『な、なんだと······それを見た者は生きて帰れないと謂われる伝説のデスカード······』
その通り、これを見た人間は現在尚私1人だけ······。そう、私だけなんです。
『き、貴様!この私を殺すつもりぞ!課金三昧のニート暮らしをしていたある日、身内全員に縁を切られ山に引き篭ること三百年孤独に生きてきたこの私を殺すつもりか!』
いいえ、私は殺したりはしません。ただ、貴方が勝手に、運悪く交通事故に巻き込まれるだけなんですよ······?うふふふふ
『うわぁぁぁ!!!』」
「怖いわ!!そして設定が悲惨!道を聞いてたはずなのに急にシリアル!いや間違えた、シリアス!っていうか何なのその平井印のブラックカードって!」
「あ、ここにありますよ!」
ペカー
「謎の黒い光沢······。そもそも猩々さん······ん?猩々············、ただのオランウータンじゃん!でもオランウータンって寿命六十年だよね?」
「その通りです。藤山猩々は実は幽霊だったんです!そして、その幽霊すら殺せるこの平井印のブラックカード······今なら綾ちゃんに預ける事も出来ますが、如何です?」
「呪われそうなんで結構です」
「そんなー!」
「話戻すけど、腹話術は出来たとして、千人分の声を同時にジャストタイムで口に出すのは物理的に生物的に不可能じゃない?」
「私の辞書に可能という文字はありません!」
「それ何ミーニング?」
「クアドラプルミーニングですね」
「なーにそれまるで意味深のような······」
「いえいえ、百迄は意味浅ですよ。遠浅海岸ですよ。潮干狩り出来ちゃいますよ」
「それじゃあ海行こっか」
「そ、それでは山の別荘へ行きましょうか!すぐに迎えのバスが来ますから!」
「てゆうかレイと楓夏がいつの間にか消えてない?」
「彼女たちなら噴水で遊泳してますよ」
「朝っぱらから着衣遊泳は頭悪いかなー」
ブロロロロロロ
「へっくちっ!うーー死にそうマンボ······」
「ぶわぁっくじょん!うーー凍死確定クリティカル〜」
「夏に凍死って聞かないから。稜葵さ、そいえば思ったんだけど五人だけならキャンピングカーとかで良かったんじゃない?」
「キャンピングカー?ま、まさかホームレス御用達の動く城と揶揄される伝説の!?」
「だからホームレスを何だと思ってるの?」
「リョコウバトみたいなものかと」
「まさかの食糧枠······」
「食糧!?」
レイが乗り出す。
「うーん、レイの思想基準がイマイチ分からん······」
「思い立ったら問い質すべしですよ」
「では、テテン!好きなものは?」
「綾ちゃんだよ!」
「テテン!趣味は?」
「綾ちゃんだよん!」
「テテン!食べ物は?」
「綾ちゃん!」
「こっわ······」
「これで謎が解けてなによりです」
「今の聞いてました?」
こういう途中終了のは時々書き足されます
※メンシュタイト······人類




