第九話 異端 2
初心者が書いてすみませんすみません······まだ作品内では半日程しか時間が進んでませんがどうか末永くよろしくお願いします
「ここに居る奴ら全員が性転換してるってわけかぁ、久々に面白ぇもんを観れたもんだな」
「そんなことを言ってる場合ですか!早く皆さんに説明してあげてくださいよ!」
少し前まで騒いでいた大衆が3人の人物を中心に円となって囲んでいる。何故こんなあっさりと鎮まったのかというと、アダムが過激な暴徒を容赦なくトマトにしてしまったといのと、ある種のアイドル的存在であったルベルクスの登場による2つの相乗効果のお陰だ。
「はいはい説明な。小僧共、この空にある綺麗なんはオーロラっつー寒い場所に出てくる氷みたいなもんだ。最近ここいらじゃあ空気が寒くなってるらしいじゃねぇか?それが原因なんだろ。なぁに、安心しろ別に悪いもんじゃねぇ。」
珍しく分かりやすい説明をするアダム。しかし、大衆の知りたい事はそれではなく、
「「「私達が知りたいのはこの性別のことよ!朝起きたら股におっきな吹き出物が付いてたのよ!?これじゃあお嫁に行けないじゃない!」」」
「うっせぇ!俺様がんなこたぁ知るか!どうせ超常科学の連中が遊んでるだけだろが!静かにしねぇとさっきの奴らみてぇにぶっ殺すぞ!」
大衆の叫びに逆切れするアダム。それに怖気づいたのかもっと鎮まる大衆。しかし商店の方が少し騒がしく、
「ピザ?パスタ?そんなもの知らねぇよ!いいか、うちの店はパンしか売ってねえんだよ!」
「どうしてよ!イタリアのローマでしょ!?なら、卵やソーセージは?私は穀物はいらないの、タンパク質や美味しいご当地グルメが食べたいの!」
「ご当地グルメって何だよ!だーかーら、うちはパン屋さんだって言ってんだろ!」
「仕方ないでしょ!?他のお店が開いてないのだから!あ、そうよ。金!ここに金の延べ棒があるわ、これなら譲ってくれるでしょう!?」
「はぁ!?金!?嬢ちゃんどっかの国の貴族さんでらっしゃるんかい?よく見たら髪の色も俺達とちがうな···んで、その、金と卵の取引でいいんだな?」
緑髪ストレートロングの美しい女性、イヴが懐から金の延べ棒を出した途端店主であろう同じく美人の女性───いや騙されてはならない、あれは元男だ───が眼を椎茸にして詐欺しようとしている。
「ちょっと、ちょっと待ってくださいイヴさん。何でそんな物騒な物を持ってるんですか?そしてこんな所で何しているんですか?」
ルベルクスが急いで駆け付け、そう訊ねる。
「え?そうね、貴方は知らないでしょうけど、豪華客船という地球をあちらこちら観て回る船があってね?それらの船にはもしも船が知らない国へ遭難した際の為に金の延べ棒を乗せているの。ほら、金って万国共通で最高価でしょう?何にでもトレードできるってわけ。だから私も形だけ真似して施設の中にこれを設置してみてもらったの。そして思わぬ形で使用する機会が来た。そういうわけで───」
「おいイヴ、テメェ俺様と話す時より口数が多いんじゃあねぇのか?」
突然熱弁するイヴにアダムがそう口を挟む。
「何言ってるのアダム。貴方は『喋らなくてもイヴの考えが分かる』なんじゃなかったの?」
イヴが煽りながらそうアダムに返し、最後にウィンクを放つ。途中ヒヤヒヤしていたルベルクスや大衆はアダムと共に胸を撃ち抜かれる。
「あああごめんなさい、普通の人々にはウィンクは効きすぎるのね」
今度は一転してアワアワするイヴ。そして誰よりも早く我に戻ったルベルクスは一旦深呼吸をして頭を冷す。
「イヴさん、食べ物が欲しいのならボクの家に多少あまってるのでお裾分け致します。なので、その見返りといってはなんですが、この騒動の解決に協力していただけませんでしょうか?」
「チーズ······チーズと鳥肉はある?」
「ありますけど······協力してくださるんですか?」
「あるんならもちろん返答は、よろこんで協力します」
こうしてルベルクス一行は頭が良いのか悪いのか分からない美人を仲間にした。
「まずオーロラの事を説明させてもらうわ。」
「「「それはどうでもいいんだよ!!!」」」
やはり馬鹿なのであろうか。