そうだ借金の話だ
「は、はぁどうも」
「ささっ立ち話も何ですのでどうぞお入り下さい!」
ギギッ
ぐはっ凄い豪華な館だな?
入ってすぐの大玄関には何かの舞台みたいな大階段があって、天井には物凄いド派手なシャンデリア……こりゃマリの館なんて目じゃないぞ。どんな贅沢な暮らししてるんだよ!
「豪華なお屋敷ね?」
マリは率直だな!
「ははっ先代の代官様から受け継いだ物ですじゃ。歴史的な建物をいじするのにも大変な苦労があります」
凄い、嫌味を素早く苦労話にすり替えたぞ。なかなかヤルな。
「こちらに御座います」
ゴブリン侍女に導かれるまま大広間に通された。中にはお城みたいな白いテーブルクロスが敷かれた巨大な長テーブルがっ。
「では早速……」
代官さんは手を組んでモジモジし始めた。一体どうした?
「えっ何だっけ?」
「領主様、辞令書と証書ですわ」
あ、はいはいソレね。俺は書類を渡して代官の表情を見た。
「娘が失礼致しました。調べるまでも無く完全に本物。新領主ユリナス様のご着任を確認致しました」
調べたじゃん!
「分かればいいんだよ」
ガタッ
代官さん自らイスを引いてくれる。
「ではまずはここにお座り下さい。王国から新領主さま着任の一報を受け、いつ何時にお越しされても良いように山海の珍味を取り寄せ、豪華な晩餐会をするつもりでしたのじゃ!」
笑顔でしゃべりまくる代官の言葉に、食い気味にマリが口を開いた。えっちょっと歓迎してくれてるけど?
「あの……私達が来たのはもてなしを受ける為ではありません。ねえ?」
言い掛けて俺に振るんだ。
「そうなんだよ、何とこのシルバー・リリー村には国庫から7000万エピもの借金があるそうじゃないか? 運よく俺は王族と太いパイプがあるから、借金返済自体は待ってもらえているけどさ」
代官さんの目の色が変わった。
「……王族と太いパイプがあるのにこんな辺境の地を与えられたのですかな?」
うっ何で突っ込むんだよこの男。
「代官さん自らが辺境とか言うべきじゃないわ。村人の生活の責任を負っているんでしょ?」
やり返すマリ。
「ううっそうなのですじゃ。このシルバー・リリー村の荒野は作物も採れがたく、食べ物も少ない寒村。そんな貧しき村で村民の生活を守るのは並大抵の事ではありませんぞ、うううっ」
パサッ
代官さんは白いハンカチを広げ涙を拭う……って涙ちゃんと出てる?
「お父様っ! わたくしもお父様の村民に向ける愛情を日々見ておりますわ。なんて立派な父……」
本気かこの親子? 村の中で二人だけ豪華な服着てて、一軒だけ豪華な屋敷で娘が偉そうにしてて、さっき山海の珍味を取り寄せたって言ってたよな?
「それだけじゃ無いわ、来る時に見たんだけど領主屋敷が爆発したってどういう事なの?」
ギロッ
お? たたみかけるマリの言葉に代官が一瞬だけ怖い顔になる。




