ゴブリィと代官の娘
「お兄さん達はしんにゅうしゃ?」
「つうほうする?」
こらこら結構シビアな事を言っていた! ナメちゃいけない。
「安心して私達は旅の者よ。それよりも領主さまの館とかってあるのかな?」
やっぱこういう時は女の子同士だよなあ、マリが来てくれて本当に良かったよ。
「あるよ!」 「昔あった~」
え、どっち?
スタタ
突然笑顔で走り出した二人を俺達は馬車で追い掛けた。
「ちょっと待ってくれよ~」
ガラガラ……
「ここっ!」
俺達が付いて行くと、村の中心部らしき場所に辿り着いた。そこには円形の広場があり、そこの中心の空き地に向けて二人は指をさしていた。え、何も無いけど!?
「降りて見ましょう」
スタッ
俺達は微妙な心持ちで二人の指示に従った。
「領主のお屋敷ってどこなんだよ~?」
「だから~ここだよっ!」
「キャハハッ」
いや、何も無いけど? って良く見たらガレキが散乱してるなあ……
「つまりここに建物があったの?」
「うん! 昔私達の生まれる前に~領主さまが立て続けに二人も死んじゃってぇ」
「その後にお屋敷で謎の爆発があって建物が無くなっちゃったの! キャハハッ」
シィーン
俺達二人はしばし言葉を失う。凄くダメな奴じゃん!
「貴方達っ何してるのっ! よそ者と気安くしゃべらないでよっ!」
えっ? 突然若い女性の激しい怒鳴り声が。
その途端にクッタク無かった二人が、突然地獄に叩き込まれた様に泣きそうな恐怖の顔になる。どうしたんだよ俺も怖いよ。
「も、申し訳御座いません!」
「お、お嬢様、この方達は旅のお方で……」
えっ、さっきまで元気なお子様だった二人の言葉の知的レベルが、恐怖で急に上がっちゃったよ。てお嬢様?
「あ、あの俺達えっとその~」
「貴方誰、実は私達新領主なのよ!」
現れた俺達と同い年くらいの少女に、先手を打ってマリはえらい早口で自己紹介すると、ゴブリィ達はえっという顔になった。
「私達?」
「もぅ私達は間違いです、彼が新領主です!」
少女は疑わしいという顔でじろじろ値踏みする様に見て来る。失礼な子だなあ!
「はぁ? 貴方達が新領主ですって、冗談はお止しなさい。領主様ってヒゲのお年寄りか中年に決まっているじゃないですの。それよりわたくしを誰と心得るの? このシルバー・リリー村代官の娘、インガリットとは私の事ですわっ!」
シィーン
こんな寒村の代官の娘である事が一番の誇り、それはそれで立派かも知れない……いやっ違う違う!
「お兄さん達頭を下げて! おねがいしますっ」
「ウソ付いちゃダメッ」
こんな子供達が恐怖するってどういう事?
それにインガリットは質素な村に似つかわしくない豪華なドレス着てるのに、この子達二人はかなりのボロ着てるし……どういう状況なんだよ?




