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新PTなのか


「あら、良かったじゃない」


 マリがいつもの調子で落ち着いて言っているが、俺はとても心臓がバクバクしている。


「良かったのぅ、ワシも付いて行ってやろうかぇ?」

「い、いや良いよ! 美人過ぎる師匠が来ると皆緊張しちゃうと思うし、今日は居てよ」

「ヒィッ!?」


 あれ、師匠がまた激赤面してる……それはともかく俺は外に出ても生息出来る事が確認された、窓口お姉さんに導かれギルドに戻った。



 ー冒険者ギルド

 カサッ

 窓口お姉さんはギルドに戻った途端にキョロキョロし始めた。


「どうしたのさ?」

「もうここからは話し掛けないで下さいっ!?」


 え?


「あの? あんなに親し気にしてくれてたじゃん」

「違います勘違いしないで下さいっ業務外で貴方と無暗に話してたら、親しいと思われちゃうでしょ!」


 ガーン……わざわざ家まで知らせてくれたし、てっきり好意があるのかと思ったよ。ま、まあ俺は別に惚れたりしてないけどなっ!



 カサカサッ

 てな感じにそそくさと他人のフリして窓口に戻るお姉さん。


「ユリナスさんどうぞ~」


 マジかよ、当のお姉さんが呼んでくれた。


「はい……」

「あら、丁度良いお知らせがありますヨ!」


 え、どういうつもり??

 いつもの営業スマイル……怖いよ。そうだ、きっとこのお姉さんは極度の恥ずかしがり屋さんでプライベートと業務は激しく区別してるんだっ! 俺は自分に言い聞かせた。


「な、何でしょ、ドキドキするなあ」

「うふふっ貴方にPT申請が来ていますよ! あちらでお待ちです」


 お姉さんは待ち合いスペースに指を指す。俺はドキドキし過ぎて振り返るのが怖い。


「ど、どんな人達なんだろ?」


 Aランク冒険者とか実力者だと一瞬で決まるPTだが、Fランク回復師ともなると待てども待てどもメンバーに誘われないなんてザラ。そんな俺を誘ってくれるなんて……俺は恐々振り返った。



 ジャラッシャキーン

 俺はコケた。


 視線の先の待ち合いルームには、コーヒーをすするモヒカン頭でトゲトゲしい鎧に鎖を巻き付けたイカツイ男の一団が……こいつら俺の【銀化】姿を褒めてくれたニイちゃん達じゃないか。


 もう一度窓口を見返すとお姉さんはにこにこして見守ってくれている。


「いけね、きっと心の底では俺のことを猛プッシュしてくれてる窓口お姉さんに恥をかかせる訳には行かないよ」


 だが俺は無理して微妙な笑顔になっていた。


「へ、へーい!」


 俺は舐められちゃいけないと必死でワルな男を演じてみる。


 ジャラッ

 体中に付いたトゲやら鎖の音を鳴らしてニイちゃん達が振り返った。決して歓迎してる感じじゃ無いけど!?


「あーん?」 「何だテメエ?」

「このダサ男なんスか?」


 あれ、全然話が通って無い!? 全く歓迎されてないし。ハッもしかしてお姉さんにハメられた。俺そんなにお姉さんに悪い事したっけ? ゆっくりと振り返ると、お姉さんは不気味に笑っていた。

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