どういう親子
ー謁見の間
ズラッ
うっ当然王様だけでは無くて、家臣やら衛兵やらが沢山並んでる。緊張するよな。
「お父様っ申し訳ありませんっ!!」
先手を打ってファニーが王様の元に駆け寄った。彼女の雰囲気が違うし、きっと父親の王様はとても怖い人なんだろうな、さっきからムッとして黙ったまんまだよ。
「一体どれ程の者に迷惑を掛けたと思っておる……」
「申し訳御座いません!!」
ファニーのうろたえ様が尋常じゃないぞ。怖い怖い。
「今度という今度はただでは済まぬ、そこになおれ」
ズイッ
ええっ? ひざまずくお姫さんの前に王様が立ち上がったよ? もしかして、サパーッて斬り捨てるの? あわわわ止めた方のいいの? でも俺一介の冒険者だし。
「あ、貴方!?」
お后さんも慌てているよ、大丈夫なのコレ? 誰か止めてよー。
「お父様お許しを……」
「聞き分けの無いお前には今度こそこうだっ!! ハァーッ」
王様は腕を振り上げた。
ぽこっ
え、何?
俺の目の前で王様は振り下ろした拳を恐ろしくスローモーションでファニーの頭に当てた。でも見た感じ蚊も殺せない様な威力なんだけど。
「ひいぃ」
「ワシがこれ程の鉄拳制裁を加える事、余程の怒りと心得よ」
「申し訳御座いません! 父上がこれ程の苛烈なお怒りを示されるのも当然の事、わたくしどの様な痛みにも耐える所存に御座います、よよよ」
シィーン
俺がチラッと周囲を見ると、えらい神妙な顔でやり取りを見ている。多分突っ込んだら命が危ないんだろうな。
がばあっ
だが一転、王様はファニーを泣きながら抱き締めた。早いな。
「済まぬ、済まぬぞおお、お前の事が心配な余り暴力を振った父を許しておくれ、おおお」
「分かっております、この痛みに父上の海より深き愛を感じております、よよよ」
このショーはしばらく続き、家臣達ももらい泣きしていた。この国大丈夫なの?
「さて、旅の冒険者よ。そなたは我が娘を盗賊から救ってくれたらしいな?」
うわっ遂に俺の番が回って来たよ。なんか怖いな、上手く対応出来るかな……良い事したのになんでこんな緊張せにゃならないの。
「はい……街で王女誘拐の事件を知り、怪しい三人組の仲間に成り切り、なんとか王女だけは救出出来たのですが、残念ながら犯人達は取り逃がしてしまいました」
「うむ」
王様は怖い顔に戻った。もしファニーが実はめちゃめちゃ性格悪い王女で、俺が嘘八百言ってる事をバラされたらどうしようとか一瞬心配したんだが、彼女は見た目上シュンとしてて何も言わない。
まあでもその女盗賊と一緒に外国の部隊から逃げた事とか説明難しいよな……てあっ外国部隊の事忘れてたっ!!!
「ヤベッ」
俺の額から汗がにじむ。




