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部屋貸さん


「どうしたのマリ、顔色悪いよ熱でもあるの?」


 俺が思わずマリの額に手を当てようとすると、当人から遮られた。

 ぺしゃりっ!


「何してるの? セクハラよ触らないで」

「そうだぞ、触るならわらわに触れれば良い」


 ぷくーっ

 それを見て今度は師匠が頬を膨らませる。


「なぜ師匠のワシにも熱があるかどうか心配してくれんのじゃ?」


 え、何で?? 何の脈絡も無く?


「はいはい、師匠お身体に悪い所は無いですか~?」


 ぺとっ

 師匠は見た目は若くても半分ボケ老人みたいな物だからいたわらないと。


「ふふふ、余は満足じゃ」



「そ、そんな事はどうでも良いの! 貴方達まさかと思うけど私の家をアテにしてないでしょうね?」


 え?


「マリ、俺に部屋貸してくれるって」

「そうよ、貴方には貸すと言ったけど、お姫様とその銀竜さんには貸すつもりは無いですから!」

「そんな~割と広いお屋敷なのに、あと二部屋くらいいいでしょ!」


 だきっ

 するとファニーと師匠が俺を取り合う様に両側から抱き着いて来た。


「安心せい、わらわはユリナスと同じ部屋で良いぞ」

「何を言う! ユリナスはワシと一緒に暮らすんじゃ!」


 またもマリがムッとした顔になった。


「冗談でしょ? 若い男女が同じ部屋で暮らすなんて不潔だわ。第一着替えとかどうするのよ?」

「安心せい、わらわはフィアンセであるからな、何も恥ずかしい事はないぞ」

「ワシも師匠じゃから、裸を見られるくらい何ともないのじゃ」

「師匠だからって裸でも大丈夫とか全然関係無いでしょ、3人とも離れなさい!」


 あれ、どうしてマリは師匠に厳しいんだろ。


「安心して! 師匠はもともと高齢なドラゴンだし、お互い裸を見ても何とも思わないよ。それにベッドが一つしか無いなら、師匠と一緒のベッドで寝るよ!」


「きゅんっ!!」


 バタンッ

 師匠は謎の声を発して倒れた。



 ペシペシ

 倒れた師匠の頬を叩きながら俺は話を続けた。


「でもファニーは王女だから、特別に一部屋用意して上げて欲しいんだ」

「だからわらわも同じ部屋で良いと言ってるであろうがっ」


 その話を聞いていたマリが、途中から頭から湯気が出て来る。

 ピーッ


「そうそう、3人一部屋に住むなら部屋代も一人分で良いわよね…ってんな訳無いでしょ! 貴方達大切な事忘れてない?? 誘拐されたお姫さんをお城に返しに行く途中じゃ無かったっけ?」


 ぐはっ!

 忘れていたーっ。クヌアー達に誘拐されたお姫様をお城に届ける途中に、俺が銀ピカの肌を見られたらモンスターと誤解されると言い出して、師匠の所に行って解除法教えてもらってたんだっけ!


 早く送り届けないと父親の王様が心配してるじゃん!! って部屋代? タダじゃ無いんだ……

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