師匠、街へ?
「じゃあどうしたら教えてくれるのだ? いちいちメンドクサイ女であるなあ?」
イライラしたファニーが横槍を入れる。すると師匠は遠い目をした。
「うむ、時期が来れば……」
「時期が来れば?」
でも師匠は何も考えていない気もする。適当な事言ってるんだろうな。
「うむ、その時期が来る時の為に、ワシもこのままユリナスに付いて行こうと思う!!」
……え? それって。
「えーどういう意味ですか?」
「難しい事は言うておらんのじゃ。ワシもユリナスと一緒に暮らすと言っておるぞ!」
シィーン
「いや、それは俺の宿主に迷惑が……」
「そうだぞ、あのマリという女はケチそうだし、フィアンセのわらわも城にこんな女を受け入れるつもりはないぞっ!」
ちょっと! ファニーが俺に抱き着きながら余計な事を言ってしまう。
「ほほぅ、このメスの他にマリという女がいるのかえ?」
地鳴りが聞こえる様な師匠の怒りが!
「違いますよ! 単に俺が部屋を借りてる大家さんですよ」
ゴメンマリ、色々教えてもらっておいて大家さんにしてしまったよ。
「なら安心せい、ワシが銀化で偽金をポコポコこさえるから、大家など簡単に言いくるめる事が出来るわ!」
わーっ一周回った!
「……という訳でマリはとても真面目な女で偽金が通用しないし、銀塊でも動かない女なの!」
俺はマリの事を知ってる限り教えた。
ぷくーっ
何故かまた頬を膨らませる師匠。
「はいはい今度はどうしたのだ?」
代わりにファニーが聞いてくれる。
「なにやらユリナスはそのマリとやらをえらく信頼している様だ。この師匠とマリとどっちが大事なのじゃ」
何だそんな事か。
「そんなの師匠に決まってるじゃないですか!」
俺は0,5秒で即答した。
カアッ!
師匠の頬が激しく赤くなる。
「ゴクリ、で、ででででは、その横におるメスとワシとではどっちが大事じゃ?」
「そんなの師匠に決まってるでしょ!」
「キャ、キャーーッ!!」
師匠は乙女の様に両手で頬を押さえて目を閉じた。そんな変な事言ったっけ?
「本人の前でハッキリ言い過ぎであるぞ!」
「だって師匠は命を助けてくれて、こんな銀化や加護までくれて、もう両親以外でこの世界で一番大切な人だよ!」
バタンッ
師匠は突然倒れた……
「師匠ーーーーーーーッ!?」
「その女には刺激が強かった様だな?」
ん?
ゆっさゆっさ
俺は必死に師匠の身体を揺らした。
バチッ!
「んん~~ん……ワシもユリナスと一緒に街へ行くぞ!」
「え、やっぱり行くんですか!?」
「この女、決心は固い様だな」
目を覚ました師匠はテキパキと支度を始めた。




