師匠嫉妬
ーマリのアクセサリーショップ
「という訳で鎧も戻ったし、この帽子は返すよありがとう!」
「うんじゃあ師匠さんの所に行くの気を付けてね」
「じゃ!」
俺は手を振った。
「待てい! 今度こそわらわも行くぞ」
ファニーに気付かれた……出来れば一人で行きたいんだけど。
「でも、銀竜の洞窟まで行くのも大変だし、ダンジョン内には危険なモンスターがウヨウヨ」
本当はヒミツの近道があるから一瞬で行けるけど。
「騙されんぞ! ユリナスは飛べるし凄く強いであろうがっ! わらわくらい守りながら行けるであろう」
そうじゃ無くて、師匠に会った時の相性とかあるから。それにボケてて俺の事覚えてるかどうかも不安なのに。
「飛べるの? もぉ~フィアンセなんでしょ、連れてってあげなさいよ!」
「まだフィアンセって決まった訳じゃ。じゃあマリは行くの?」
俺は一瞬3人での行動を想像したが。
「ノン! そんな恐ろしい所遠慮するわっ!」
だよね、それが普通の感覚だ。
「ほらユリナス、お姫様抱っこだっ!」
ふわっ
マリがすっごい見てるけど、ファニーは後ろに倒れ込んだ。支えないと後頭部を強打!
「ほい」
ぱしっ!
お姫様にお姫様抱っこで、俺はお屋敷の中庭からマリの見てる前で飛び上がった。
ドシューッ
ー銀龍の洞窟
えっとヒミツの抜け穴を通ってと……
ザッザザッザ
「何の苦労も無く一瞬で師匠の部屋の前に着いたけど、くれぐれもご機嫌を損ねないでね?」
「わらわとて姫だぞ、礼儀くらい分かっておるわ!」
なんだかえらい時間が経った様な気がするけど、旅立ったばかりなんだよな。
コンコン
俺は妙に緊張しながらノックする。
「あ、あの師匠、聞きたい事があって戻って来ました。部屋に入れてくれませんか?」
「ユリナスッ!? ユリナス戻って来てくれたのじゃなっ!? キャーーッちょっと待って欲しいのじゃっ」
早っ! 反応が早い。ん? でも師匠の様子が何だか変だけど。
バタンドタン!
何やらドアの向こうが騒がしい。
「今ちょっと冒険者倒したばっかりでバタバタしてるのじゃっ! もーっこんな時に急に来るのじゃからイジワルッ」
何をバタバタしてるの?
「なんだ、師匠とはイタい人なのか?」
「しっ!」
ーしばらく後。
ガチャッ
ようやく開く人間サイズ裏口ドア。
「済まぬ、待ったかえ、ユリナ……」
笑顔でドアを開けた師匠はなんだか凄く着飾っていたが、ファニーの姿に気付いた途端にみるみる表情が曇って行く。
バタンッ!
ドアは閉じられた。
「ちょ、ちょっと師匠!?」
「師匠は居留守じゃ」
居留守って自分で言っちゃダメ。でも最初良かったのに、何で急に機嫌が悪くなったんだろ?
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