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9話 Bランク冒険者との出会い その1


「は~~~! 久しぶりにいい運動が出来ましたね!」


 フィオーレタウンへ戻って来た俺達。開口一番に話し出したのはレミラだった。魔界樹の森での一戦を思い出しているようだ。


「ああ、そうだな。確かにいい運動が出来たと思う。竜神族には感謝したいところだね」


「はい、そうですよね!」


「予想より弱かったのが残念ではありましたが……」


 マリアも見た目とは裏腹に好戦的な性格をしている。レミラも彼女に頷いていた。言いたいことは理解できるが、メイド服の彼女達がそういう会話をしていると何ともシュールだった。そして、俺達の後ろからは半笑いになっているエリーゼが付いて来ている。


「どうかしたか? エリーゼ?」


「ええ……竜神族との戦闘を生き抜けて安心しているのよ」


「そういうことか。それは確かに良かった。怪我もないようだしね」


「ええ、また亮太には助けられたわ。本当にありがとう。レミラもマリアもありがとう」


「気にしないでよ、仲間じゃない!」


「そうですね、エリーゼが無事で良かったです」


「うん、ありがとう」


 レミラもマリアも助けたという認識は特にないだろう。そんなことをする必要もない程に圧勝していたから。それはもちろん俺も同じことだけど。さて、そんな話をしている間にも冒険者ギルドは近づいていた。入り口のドアが開かれ、二人の男が出て来る。丁度、俺達はその二人とすれ違った。


「ん? ちょっと待ってくれんか」


「えっ、俺達のことですか?」


 二人の内の一人……金髪のオールバックの男が声を掛けて来た。それなりに体つきも良いので日本でなら、俺は引いていただろう。恐怖で。因縁をつけられているのかと勘ぐってしまう。


「そうそう、あんたや。ん~~~~~」


「???」


 俺よりも何歳か年上に見えるその人物は俺をマジマジと見ていた。見ているというよりも凝視に近いかもしれない。さらに、レミラやマリアにも視線を向けている。


「ナハト、この連中で間違いないんちゃうか? 噂と一致してるで」


「そうっすね。間違いないんじゃないですかね」


「一致してるって……何をおっしゃっているんですか?」


 二人に対してマリアが嫌悪感を露わにした。冷たい口調で話している。


「ああ、悪い悪い。別に馬鹿にしているとかじゃないねん」


「じゃあ、どういうつもりなんですか? 返答次第ではこちらも対応を考えますよ?」


「おお、怖い姉ちゃんやな……。俺らを前にその口が聞けるいうことは、やっぱりあんたらが亮太とその一行やな?」


「亮太とその一行? まあ、確かに俺は亮太だけど……」


 よく聞くとこの金髪の男は関西弁を話している。どうも聞き慣れた方言だと思っていた。異世界にもこういう話し方は存在しているんだな。まあ、今は突っ込んでも仕方がないが。


「なんや、噂のことは知らんのか? Aランク冒険者を倒したとか、武器を具現化してるとか」


「ああ……そのことですか」


「そやで、そのことや。あんたらがかなり噂になっているから、一度、会いたいと思ってたんや。いや~~運が良かったわ」


「ホントっすね。運がいいっす」


 二人の男は俺達を見ながら、独特のテンションになっていた。悪い気分ではないが、マリアは気分を害しているようだ。


「亮太様、この二人に合わせる必要はないと思われます。すぐにギルドに入りませんか?」


「うん、そうしようか。それじゃあ」


 マリアの意見に賛同し歩き出そうとした時、金髪の男が俺達の前に立ちはだかった。


「な、なんですか……!?」


「待ってぇな、姉ちゃん! ちょっとだけ話をさせてくれへんか?」


「なぜ、私達が見ず知らずの者達と話さないといけないのです? 亮太様にも迷惑です。帰ってください」


「馴れ馴れしく話したことについては謝るわ。俺はBランク冒険者のヴァン・カレッジ。こっちは仲間のナハト・エールや。よろしくな!」


「意味が分かりません……急に名乗ったりして何がしたいのですか?」


 ヴァンとナハト……Bランク冒険者の両名は独特のノリで挨拶をしていた。こういうノリは冷静沈着なマリアには馴染みが薄いかもしれない。ゲーム内でもこういうノリにはならないしね。大体は敬語で話すし。それだけに、いきなり馴れ馴れしく接して来る彼らを嫌悪しているのだと思う。


「カイザスを倒した件について聞きたいんや。断るんやったら仕方ないけど、Bランク冒険者と話すのは、あんたらにとってもプラスになると思うで? 俺らは中で待ってるから気が向いたら話しかけてや」


「待ってるっす」


「……」


 そこまで言うと二人はギルドに戻って行った。無理強いはしないということか。


「マリア、俺はあの二人の話を聞いてみたいと思う。俺達はまだFランクだし、エリーゼの時みたいに何か有益な情報が入るかもしれないし……駄目かな?」


「いえ、亮太様が構わないのでしたら、私は大丈夫です。情報は大いに越したことはありませんから」


「そっか、すまない」


「いえ、とんでもないことです」


 マリアからの許可も出たことだし、彼らに会いに行くとしようか。しかし……わずか1週間でかなり噂が広まっているみたいだ。それだけ、あのカイザスを倒したことは偉業として見られているのか。田舎の冒険者ギルドだから、というのはあるんだろうけど、結構意外なことだった。


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