表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/25

ミャンマー帰りの私に恐いものなんざあるか糞ボケ共がーッ!

 四番勝負でございます。


 「これを私にか」

 佳代がその刀を私に差し出したのは夕べの事である。佳代は黙って頷く。私はそれを受け取り、抜いてみた。

 反りの浅い、地刃が明るく冴えた、震えの来るような緊張感。鎬地(しのぎじ)に不動明王の彫り物がある。銘は。

 「虎徹か」

 佳代はまた無言で頷く。私は刀を鞘に戻した。少し考える。

 私達が寮から持ち出せた私物は非常に限られている。アガメムノン──馬崎からの接触が予想外に早かったせいもある。準備が充分整わないうちに、作戦決行となってしまった訳だか、これは仕方があるまい。

 帰国直後の私はとにかく、寮での生活が長い三人娘、とりわけ女ヲタと呼ばれる美貴は、各種の膨大なコレクションに断腸の思いで別れを告げ、こちらに移った。だがこの件について彼女は一言も口にしない。顔にも出さない。辛いに決まっているのに。ああ見えてあいつはやはり大した奴なのだ。

 美貴のあれはもとより、皆大切にしてきた物を多くあそこに残してきている。武田口が腹いせに処分してしまうのが心配だが、あの根性曲がりの事だ。全部今はそのままにしておいて、後で捕らえた我々の眼前で、ほれほれ燃やすぞ潰すぞなどと陰険なまねをやらかすつもりかもしれない。ある意味皮肉だが、そうであるのを祈るばかりだ。

 さて。佳代がその数少ない持ち出し私物の中に、自身の得物以外のこの刀を選び、わざわざ私に差し出す理由だが。

 「これは敵から鹵獲(ろかく)した物だろう。所以を話してくれないか」

 佳代は言葉少なに説明し、私は頷く。

 「で、やり過ぎた、反省してると」

 佳代は目を閉じた。

 「まあお前には村正があるし、私はガバメント持って、途中で金属バットでも買ってくつもりだったから、これがあると、心強いが······よし判った。大事に使わせてもらおう」

 佳代は嬉しそうに微笑んだ。私はその頭をくしゃくしゃと撫でる。こいつも成長した。

 そういう訳で私は今、野戦服の左腰のベルトにその虎徹を()き、右脇のホルスターに愛銃コルト・ガバメントという得物二つで、SCSトレーニングルームに待ち受けるケルベロスの奴らのもとへと向かっていた。

 無人の廊下を突き進む私の足音のみが響き渡る。正面に目的地の自動ドアが見える。入るなり、いきなり無警告で撃って来るだろう。大体誰がどこにどう潜んでいて、どういう順番でどういう具合に仕掛けて来るか、見当はついている。

 三人娘──我が愛弟子達が戦う「ケルベロスの三ツ首」は確かに手強い。私でもあの三人をいっぺんに相手にして勝つのは難しいだろう。だが私がこれからお手合わせするのはその残り物、いわばケルベロスの雑魚(ザコ)十三人衆なのだ。

 預かり物の虎徹は刃こぼれさせず、コルトは極力撃たず、全員生きたまま刑務所にぶち込む。これが昨晩決めた基本方針だ。

 そもそもケルベロス、いや本来「内務班」とは、軍隊の兵舎における日常生活上の組織を意味する言葉なのだ。戦前戦中のとりわけ陸軍で、一般兵士にとってこの言葉は、生き地獄的な監視体制と陰湿ないじめの温床そのものだったのだ。

 あの武田口という男はそれに地獄の番犬ケルベロスというルビをふり、SCSに所属する者達を支配する道具として使っていた訳である。

 だが繰り返す。三ツ首は強く、残りはザコ。ザコも束になりゃと考えたんだろうが、甘いわ馬鹿者。

 SCSの暗殺班(エリス)九名はアサシンとして精鋭だった。彼らが武田口側に回り、敵対していた場合、我々の状況はほぼ絶望的であったろう。西村少尉の功績はこの点においても大きい。

 だがケルベロスのトータルの戦力は、せいぜいがその二軍程度。軍警察のOBが主要構成メンバーだが、脛に(きず)持つ者ばかり、かててくわえて元暴力団員だの、暴走族だの、不良グループだのといった輩が混じっている。玉石混淆と言うより、ゴミクズの闇鍋だ。しかも己の実力もわきまえず、威張り散らしているような奴ばっか。この機会だ。本物との力の差というものを、とことん思い知らせてくれるわ。覚悟しろザコ共め。

 私は自動ドアの前に立った。ドアが開く。中は暗い。明かりは窓からの外光のみ。一歩中に踏み込む。途端に複数の銃声が轟く。私は素早く身をかがめ、手前のランニングマシンを軽く床から引き剥がして楯にし、壁際に後退する。

 壁にはダンベルラックがあり、各種ダンベルが並んでいる。私は発砲者の位置を素早く確認する。暗いから発射時の銃口の焔(マズルフラッシュ)が良く見える。バーカ。

 撃って来たのは合計五人。いずれも腕はお粗末。まず向こうのストレッチマシンの陰からバリバリ撃って来たのは、ポレアスだ。暴れ者の北風という意味だが、グリースガンなどという下品な銃をつるべ撃ちするしか能の無い、元陸自脱走兵のなれの果てだ。戦前ならば問答無用で銃殺刑だが、現在の自衛軍では五年以下の懲役刑。こいつは演習中銃持って逃げて捕まって丸五年。銀行強盗するつもりだったらしい。とんでもない奴。もちろん「容疑者」だ。

 私は二キロのダンベルを選び、天井めがけて軽く放った。放物線を描いたダンベルは正確にストレッチマシンの後方に落下、ガンという衝突音に「ぐえっ」と蛙が潰れるような声を立てて、グリースガンは沈黙した。生きてりゃいいけど。これであと十二人。

 キャットウォークからこちらをへたっぴーに狙撃しているのは、テルシテス。トロイア戦争の最中、味方の英雄アキレウスを嘲ってぶち殺されたというどうしようもないキャラ。で、こいつは元警官。飲酒ひき逃げで(アルゴスはちゃんと車停めて救急車呼んだぞ)懲戒解雇された、負けず劣らずどうしようもない奴。そいつが何でアーマライトAR-7なんて銃で、0×7気取りで狙撃手なんかやってるかというと、つまり、ただの映画マニアのガンマニアだったというだけの事。もちろん狙撃手としてもおたくとしても、そのレベルの程は美貴の足元にも及ばない。そしてこいつも「容疑者」。

 私は一キロのダンベルを選ぶと、アンダースローでキャットウォークの三流スナイパーめがけて投げつけた。

 ダンベルはアーマライトの銃口正面を直撃し、銃は暴発、テルシテスは壁に叩きつけられ、沈黙。死んだかな。これであと十一人。銃声はいったん止んだ。

 銃を撃って来たのは残り三人。私は幅のある十キロのダンベルを軽く持って立ち上がった。途端に十メートル程離れたヒップスラストマシンの陰から、発射音をほとんど立てずに一発の「銃弾」がこちらに向かって放たれた。その速度は打ち上げ花火並み。私は余裕でそれをダンベルで跳ね返す。もう一発。これも余裕。近づけば近づく程速度が遅くなる。つまり通常とは逆に初速が遅いのである。

 私は構わず、ずかずかとヒップスラストマシンめがけて突き進む。その影に隠れていた眼鏡の男が、眼前に立ちはだかった私の姿に「ひっ」と怯えた声を洩らした。

 ぶるぶると震えるその手に握られた一丁の拳銃。ジャイロジェットピストルである。

 これを使っている男はリペウス。ケイロンとは正反対の、性悪ケンタウロスである。英雄テセウスの友人の結婚式に乱入し、花嫁をかっさらい、怒ったテセウスにぶっ殺されたという、これもしょうもない奴。で、この男も元警官。クビの理由はロッカーから同僚の財布を盗んだという、呆れた奴。

 私はかがみ込み、ダンベルを置き、その銃の銃身(バレル)をぐいとつかんだ。そして言った。

 「こんなオモチャみたいな代物振り回して何やってんだ。お前は『こ×亀』の両さんか」

 あのマンガの名物おまわりも興味本位で(いつもそうだが)この銃を使った、いや遊んだ事があった。アメリカ製のロケット推進式ハンドガンなのだ。そう聞くとわっ凄い、のだが、実際はどうかと言うと、有効射程わずか五十メートル、しかも至近距離ではベニヤ板すら撃ち抜けず、命中精度は低い、それでいてロケット弾は高い、発射音を立てないというのも、それら欠点の帳消しにはならないと、つまりまあ、どうしようもない「新兵器」だったのだ。おまけに本体はアルミ製。私はリペウスの手からこの役立たずの銃を奪い取り、べきべきと紙細工のようにへし折ってしまった。リペウスは泣き出した。

 「な、何て事するんだ。それは今や生産中止で、入手にどれだけ苦労した事かっ」

 「あーそりゃ悪かったね。じゃ、お休み」

 私は役立たず銃のグリップでリペウスの脳天を一撃した。元窃盗警官は白目を剥いて気絶する。このくらいの役には立つ。

 私はリペウスをヒップスラストマシンのトレーニングベンチにもたれさせ、バーベルを足の付け根部分に乗せた。その両手を持参した結束バンドでバーベルに固定する。

 「足腰を鍛えな」

 役立たず銃をリペウスの頭の上に置き、私は立ち上がった。これであと十人。

 背後に殺気が迫る。二人だ。私は振り向かず、尋ねた。

 「そいつのタマはもう撃ち尽くしたのかい、ポリキュス、ケト?」

 二人の動きが止まった。私は振り向く。革ジャン姿の男と女が目をギラギラさせて身構えていた。リーゼント頭の男はナイフ、ショートヘアの女はナックルを握っている。だがこれは両者共同じ得物を手にしているのだ。

 その名をアパッチ・ピストル(またはナックルバスター)。十九世紀にベルギーで作られ、二十世紀初頭のパリを中心に、不良グループや犯罪組織が愛用した、ナイフ、ナックル、そしてピストルと、三種の使い方が出来るという「優れ物」だ。リボルバーで口径7ミリ、六発撃てるのは大したものだが、生憎銃身が無いので余程近づかないと当たらない。

 折り畳み式で、ピストルとして使う場合は、ナックル部分をグリップとするが、ナイフまたはナックルとして使う場合は、弾倉部分を握り込む形を取る。

 つまり安全装置などはなから無いし、引金も剥き出し、いつ暴発するが判らない、危険極まる「銃」であり、他の使い方をする時は、タマを撃ち尽くすか、抜くかしなければ、安心出来ないという代物。という訳でこの二人も計十二発、ひょろひょろダマを撃ち尽くしてこうしているのだ。 

 さてギリシア神話におけるポリキュスとケトというのは、巨人(タイタン)族の兄妹にして夫婦。巨大蛇ラドン、魔女グライアイ、ゴルゴン姉妹等々、数々の怪物達の産みの親となった存在である。

 で、この二人も実の兄妹。元は暴走族のリーダー格。かつて「房総の暴走美兄妹」などと称してあのへんを走り回り、暴れていた。経緯は良く判らないが、今なぜかここにいる。

 個人的に前々からこいつらは気にくわなかった。仲良し兄妹が人前でいちゃついて微笑ましいのは、思春期前の話だ。アラサーにもなって人前もはばからずそうするのは、いい歳こいたマザコン男が衆目前で母親にママママと甘えてみせるのと同じくらいに気色が悪い。おまけにこいつら二人一組で、由美に何度も何度も手合わせを挑んだのだ、実力差もわきまえず。

 スキュラの婆は少なくとも三回に一回は勝っていたが、こいつらはダブルで挑んでおいて一度も由美に勝てたためしが無いのだ。「もー勘弁して」と由美が言っても、

 「俺達はゴルゴンの両親だぞ」

 「つまりメドゥサはウチらの子よ」 

 「ガキは親の言う事を聞くもんだ」

 「さあもう一回勝負よッ」

 滅多に感情を表に出さない由美が、もううんざり顔で私に言った。

 「何であの人達あんなにしつこいのー」

 そりゃ「見た目小学生」に歯が立たないのは悔しいだろうけどさ。私が「お前らいい加減にしろーッ!」とどやしつけて、やっとやめさせたという昔話がある。

 で。

 さっき男はナイフ、女はナックルと言ったが、見るとケトの方もナイフを右拳の左横に突き出して構えている。拳で殴りつければナックル、手首を返して突き出せばナイフという訳だ。感心感心。私は腕組みし、かぶりを振って、このいい歳のチンピラ兄妹を眺めた。

 「相変わらずだなー、お前らは。私にそれで勝てるとでも?」

 「うるせえ! さんざ俺達をコケにしやがって、てめえ何様のつもりだ、今日こそは決着をつけてやる!」

 「この図体ばっかしでかいだけのメスゴリラめ、いい気になるな!」

 「んじゃ、お返しに言ったげる。ポリキュス、仮にあんた、アメリカの海兵隊に入隊したとするでしょ、それでそこのカーボーイハットかぶったこわーい教官のおじさんから、Fuck your sister!! なんて怒鳴られちゃっても平気でしょ、ほんとにやってんだもんねー、毎晩さー」

 「何だとこのヤローッ!!」

 「ぶっ殺してやるーッ!!」

 二人は怒り狂い、同時に飛びかかって来た。図星だったらしい。

 私は突き出された二人の右手首を両手で簡単に捕えた。ツボをぎゅっと押さえただけで、固く握られていた筈のアンチックな得物は簡単に床に落ちた。とりあえず、すぐ横のストレングスマシンの中に、ポリキュスの身体をぶんと振り回し、叩き込む。大型の筋トレマシンは派手な音と共にぶっ倒れた。 

 「きゃああっ、お兄ちゃーん!」

 ケトが悲鳴を上げる。

 「何がお兄ちゃーんだ、いい歳こいて鳥肌立つわ糞ボケがーッ!」

 私は怒りに任せ、ケトの身体も背負い投げでそこに投げ込んだ。

 アラサー兄妹は倒れたストレングスマシンの中で白目を剥き、折り重なって気絶していた。姦婦間男かんぷまおとこ二つに重ねて四つにするというのをよっぽどやってやろうかと思ったけど自制して、代わりにそんなら望み通りにしてやるわいと、結束バンドを使って兄妹仲良く抱き合わせ、がっちりマシンの中に固定してやった。どうだ嬉しいだろう。一生そうしとれ。

 「ふっふっふっ、暴れてくれるじゃねぇか、ニケさんよォ」

 振り向くと、まさかりかついだ金太郎──なんて可愛いもんじゃない、斧をかついだ熊のようなでかぶつが、下品にニタニタ笑っていた。こいつがテュポン。百の首を持つ巨人。徳川自衛軍監察部としては、こいつは武田口らと並んで言語道断、国軍の恥としか言い様の無い存在なのだ。陸自不名誉除隊の理由とは、未成年者に対する連続レイプ事件であったのだ。当然、こいつも「容疑者」である。

 「貴様か、テュポン。いや杉山義一元曹長」

 「てめェ、監察部、よくもこの俺様を軍から追い出してくれたな。礼はさせてもらうぜ」

 「何をぬかすか。貴様のような奴は軍でも国でもない、人類の恥だ。絶対に許さんぞッ」

 「黙れェ!──まあいいさ。おめえ図体はでかいが顔は可愛いぜ。メスゴリラってのは今一趣味じゃあねえが、とりあえず俺様がレイプしてやるぜ、ありがたく思いやがれ!」

 「お断りだ、屑」

 テュポンは斧を振りかざし、襲いかかって来た。私は退く。壁際にはバーベルのスタンドがある。そこに掛けられていた五十キロのバーベルを軽々とかつぎ上げ、突進して来るテュポンめがけて放り投げた。

 「うおっ」

 テュポンは驚き、慌てて斧を投げ捨て、これをどうにか受け止めた。すぐに放り出そうとしたがそうはさせじ、私は間を置かず、続けて同じく五十キロの物を投げつけた。これを前のバーベルで受け止めるのは無理があり、テュポンはあお向けにひっくり返った。私は百キロのをかつぎ上げると、二つのバーベルを胸の上に抱えてもがいているテュポンに歩み寄り、そのぶっとい太ももめがけてこれを落とした。動けなくなり、泡を吹いているテュポンに、私は言った。

 「さて。貴様の獣欲の被害者を二度と出さない為には、こうするしか無いようね。佳代ならきっとこう言うわ。はいちょっとチクッとしますよーっ」

 私はさっきの十キロのダンベルを拾ってくると、頭の上の高さからテュポンの股間にこれを落とした。 

 テュポンは絶叫し、失神した。あと七人。

 「ホホホホホ、さすがですね、五十嵐大尉殿。お見事です」

 次の敵が現れた。西洋中世貴族のコスプレ野郎。下半身は白タイツの優男。フェンシングのサーブル剣を手にしている。メラニッポスである。竜の牙から生まれた兵士の名。オリジナルは悪役ではなく、こいつ自身もそんなに悪い奴ではない。

 大学時代、フェンシングの全国大会に出た事もある。その後なぜか海上自衛軍入りし、二年で除隊。不名誉ではない。それでまあ、流れ着いた先が、何でここなんだか。

 登場した際の笑い方でお察しの通り、こいつはアレである。一般社会においても軍隊においても、ジェンダーの差別は深刻な問題だ。そう、差別は許されない、こいつもいろいろ苦労したらしい、し、しかし。

 「お、お前、その格好、ハムレット、だよな。よくその、は、恥ずかしく、ないな」

 メラニッポスはホッホッホッと笑う。

 「五十嵐大尉、いえニケ殿。ロー×ンス・オ×ビエの名作映画のクライマックス、あの決闘シーンに魅了されて以来、私は貴女と是非一度、このスタイルで勝負したいと思っていたのですよ。その願いが今かない、こんなに嬉しい事はありません。さあ準備は整っています。あちらに参りましょう」

 と、格闘用のスペースに導こうとするが、

 「いや、試合じゃないんだから、ここでいいだろう。真剣勝負ってやつだからな」

 「これはさらに嬉しい事を」

 「ついでにフェンシングの剣もいらん。これを使う時が来た」

 私は佳代預かりの虎徹を引き抜き、青眼に構えた。メラニッポスは憮然とする。

 「日本刀でフェンシングと対決とは。まるで空手家とボクサーの試合ですよ」

 「大丈夫だよ。ちゃんとそっちに合わせてやるさ」

 私は右手で虎徹の柄を握り、フェンシングの剣のように構えてみせた。

 「こんな具合にさ。それにその剣、サーブルだろ? 突くはもちろん、斬るも良し、おあつらえ向きじゃん。やってみろよ」

 メラニッポスの目が闘志に燃える。

 「そこまでおっしゃるのなら、やってやろうじゃありませんか。そんな柔軟性の無い代物で、この剣に勝てる訳、ありませんがね」

 「だからやってみろってば」 

 日本刀とフェンシングの激しい突き合い、斬り合いが開始された。確かに、しなるフェンシングの剣は縦横無尽、使い手の腕も相当なもので、いささかも気を抜く事は許されない、厳しい勝負となった。私は虎徹を懸命に操り、メラニッポスの鋭い攻撃を紙一重でしのぎ続けた。次第にメラニッポスは焦り始めた。突けども斬れども攻め切れず、防戦に徹する私を突き崩す事が出来ない。ついに脂汗まみれで息が上がった。

 「······わ、私の攻めを、に、日本刀で、まさか、ここまで」

 「さて。今度は私の番だな」

 「は」

 ぽかんとするメラニッポスに、私は再び虎徹を青眼に構えて言い放った。

 「そっちのルールに合わせてやったんだぞ、前半は。今度はこっちに合わせてもらうぞ」

 「え。あ、あの、それはちょっと」

 「なにがちょっとだ。さっさと構えろ。To be or not to be なんぞとカッコつけてる場合じゃねえぞ!」

 「ひええええっ、ご、御無体な、あれええーッ!!」

 黄色い声を張り上げながら、剣を両手で持ってやたら振り回す相手に苛立ち、私は怒鳴った。

 「やかましい、キンキン声で叫ぶな、このオカマ野郎ッ!!」 

 あ。しまった。相手のもろに傷ついた顔を見て、私はそう思った。だがもう遅い。勝負は勝負とばかりに、私はメラニッポスの剣を天井まで弾き飛ばした。呆然自失の相手の脳天を虎徹の峰でゴツン。あっけなく気絶したメラニッポスをそばのベンチプレスまで引きずり、バンドで固定しながら、私は反省した。

 いかん。差別は許されないとか言いながら、咄嗟の場合にぽろっと「本音」が洩れてしまうのだな、人間というものは。強く自戒せねば。敵味方無関係で、こいつには意識が戻った時にちゃんと謝罪しなくてはならぬ。そう自分に言い聞かせ、私は立ち上がった。

 途端に、何かが足元に転がって来た。まさか、ここで手榴弾を? いや、ガス弾だ。缶詰型の物体から、白煙が吹き出すのを見たと思った次の瞬間──

 私はジャングルの中にいた。

 猛烈な蒸し暑さ。息の詰まる臭気。周囲を取り囲む、密集した熱帯雨林。そして私の足元は、沼地だ。泥水に膝まで沈んでいる。身動きが取れない。無数の水蛭、大きさは私の親指程だ、そいつらが、いつの間にか剥き出しになっていた私の脛にへばりつき、血を吸おうとしている。頭上の鬱蒼たる樹木、陽の光を遮る枝葉からは、ぼろぼろと山蛭が落ちて来て、私の首筋、顔に貼り付いて、また血を吸おうとするのだ。 

 そのあまりのおぞましさ、苦痛に呻きつつ、私はこれらを引き剥がそうと、もがき、苦しむ。いつの間に私は戻ったのだ、ミャンマーに。仲間はどこだ。テセウスは、ミャンマー民主派の、少数民族派の同志達は。

 数メートル先の茂みの中から野獣の光る目が私を見据え、唸り声を上げながら、その姿を現わした。虎だ。体長三メートル。人喰い虎に違い無い。まさに絶体絶命。どうする。どうすればいい。

 ──と、私は振り返り、後ろで下卑た笑いを浮かべつつ、私の背中に出刃包丁を突き立てようとしていた、骸骨のように痩せた貧相な男を、問答無用でぶん殴った。男は数メートル後ろのケーブルマシンまで吹っ飛び、その前の床に叩きつけられた。私は吠えた。

 「本物のジャングルで戦い抜いて来たこの私に、こんなつまらん術が通じるものかッ!!」

 私は激怒し、マシンの下でひくひくと痙攣している男の前にずかずかと歩み寄った。この男はリュムナデス。人を誘い、罠に落とす、水の魔物である。元はサーカスの奇術師で、大魔術師リュムナデスなどと当時から名乗っていた。サーカスの踊り子の女の子を術にかけてレイプしようとして失敗し、叩き出されてここに流れ着いたという、これまた見下げ果てた奴である。私をミャンマーのジャングルの幻の中に惑わせて、その隙に後ろから刺そうとはいい度胸だ。たっぷりとお礼をしなくては。

 これまでの私の連中に対する扱い方が、あの「クーデター実行犯(容疑者)」と、その後の加入組とでは、はっきり分かれているのが判ると思うが、こいつは後者ではあるけど個人的に頭にきた。よし。こうしてくれるわ。

 ここのケーブルマシンは業務用の大型の物だ。ケーブルマシンとは左右の滑車のケーブルをグリップで引いて、腕やら胸やら肩やらを鍛練するエクササイズマシンである。軌道が自由なのでいろいろな使い方が出来るのだが、この場合はこうさせて頂く。

 ケーブルを引くには当然の事ながら張力が相当な負荷になるが、私には糸車の糸を引くに等しい。向かって左の滑車からずるずる引き出したケーブルで、このふざけた男の下半身をぐるぐる巻きにし、右のケーブルで上半身を同様にして(首は勘弁してやった。死ぬから)、私は手を離した。締め付けられ、引っ張られ、リュムナデスはあまりの激痛に絶叫する。

 「痛い痛い苦じーッ、ほどいでぐれ下ろじでぐれ、死ぬーッ!」

 「自分に術かけて極楽に行ってろ、このレイプ未遂犯!」

 私は周囲を見回し、怒鳴った。

 「さあ次! さっさと出て来やがれ!」

 こんな所でぐずぐずしていられるか。私は今すぐにでもCEO室に三人娘共々殴り込み、キララっちを助け出し、あの馬鹿を股裂きにして、ミャンマーに取って返し、糞馬鹿ビルマ軍閥政権を打倒して民主政権を復活させ、ミャンマー国民を救い、絶滅寸前のあの虎達の保護にも手を貸さなくてはいけないというのにー!!

 「あんたの次の相手はこの俺だ」

 ミノタウロスが姿を現わした。右手に持つのは柳葉刀(りゅうようとう)。片刃で湾曲した刃の幅が広い物。一般には「青竜刀」とごっちゃにされてるようだが、あれは関羽将軍が使っていた(とされる)柄付の大刀の事だ。

 こいつは生まれは日本だがルーツは大陸で、得物もあちらの物を御愛用という訳。

 「昨日はよくも恥をかかせてくれたな。お礼はさせてもらうぜ」

 ミノタウロスは鼻息荒くそう言った。まさに闘牛。まあその気持ちは判るので、私は特に言い返しはせず、黙って虎徹を青眼に構えた。ただし、刃は上向きにして。ミノタウロスの小さな目が見開かれる。

 「何だ。峰打ちだとッ」

 「大事な預かり物でね。刃こぼれさせる訳にはいかないのさ」

 「ふざけるなッ」

 ミノタウロスは柳葉刀を振りかざし、襲いかかって来た。右手に握った刀をクルクルと振り回し、遠心力を利用して、鋭く斬りつけて来る。こいつも図体の割に動きは敏捷だ。それでどうして昨日はあんなに他愛無く私に捕まったかと言うと、いきなり開けられたドアで兄貴(アルゴス)が吹っ飛び、仰天したかららしい。

 こいつは元陸自輜重(しちょう)部隊、つまり補給係の出身だ。普段から素行が悪く、やたら喧嘩ばかりして営倉行きを繰り返し、ついには除隊という奴。ただ、これだけ身のこなしが軽く、戦闘能力が高いのなら、戦闘部隊はもとより、特殊部隊でいけた筈と、御当人のみならず思ってしまうが、これはつまり、適性の問題なのだ。もう気が短いというだけで、忍耐力が要求される特殊部隊員は勤まらない。ミャンマーのジャングルは極端だが、虫がわんさかいる茂みの中で、何時間も微動だにしないなんてまねが、こいつに出来る訳が無い。

 こいつの良くない点は、自分が特殊部隊に入れず、「輜重なんかに」(おいそういう考え方だから、前の戦争に負けたんだぞっ)回されたのは、まわりが自分の能力をねたんだせいだと思い込んでる所である。そいでもってこいつの本名は王玉王(おうぎょくおう)。さっきのメラニッポスもそうだが、こいつもいろいろあったらしい。名前をからかわれたり、スパイ呼ばわりされたり。それは同情に値するかもしれんが、あくまでそれはそれだ。

 虎徹と柳葉刀が火花を散らし、激突を繰り返す。奴はでかい図体をくるりと回し、華麗なフォームで斬りつけて来る。実に見事だ。うっとりする。だがミノタウロス、王玉王元輜重上等兵よ。それはどちらかと言うと円舞であり、曲芸なのだ。戦場と、京劇の舞台は、違うのだ。

 私は身をかがめて頭上を薙ぐ柳葉刀をやり過ごし、虎徹の峰をミノタウロスの左脇腹に叩き込んだ。奴の動きが一瞬凍る。すかさず柄をみぞおちにめり込ませる。動きが完全に固まったところで、首筋に峰を打ち下ろす、手加減して。

 ミノタウロスは一声呻き、どうと崩れた。私はこいつをストレッチマシンに乗せ、バンドで固定した。残念だったな。お前は肉体より、精神面をもう少し鍛えるべきだったのだ。それにな。補給は大切な仕事なんだぞ。兵站(へいたん)をないがしろにした軍は、古今東西、必ず敗北したものなのだ。覚えておけ。

 「フッフッフッ、やるじゃないのさ、ニケさんよぅ」

 あ。三人ハモってこの声は。私は立ち上がり、振り向いて、反射的に片手で顔を覆うのを、かろうじてこらえた。あーあ、出て来たよ、こいつらが。

 自称ケルベロス・スケバン三人()。半人半蛇のエキドナ。白猪のパイア。女面鳥身のハルピュイア。セーラーの夏服にくるぶしまで届くロングスカート。パンチパーマ。くわえ煙草。で、我が愛弟子達の向こうを張って「三人娘」と称しているが、実際のところは三年増、こいつら揃ってアラフォーである。さっきのアラサー兄妹がずいぶんましに思えてくる。

 「お前ら相変わらずだな、そのスタイル」

 私はあえて無表情にそう言った。あーもういっそ逃げ出したい。見てる方が恥ずかしい。

 こいつらはその昔、渋谷で番を張ってたスケバングループのなれの果てなのだ。その頃の二つ名が赤蝮のお仙、白猪のお松、黒鴉のお涼って大体まんま。各々の得物というのが、鎖鎌、刺身包丁、カミソリ付ヨーヨーって、もう頭が割れそうだ。誰か何とかしてくれ。

 「あんましアタシらを舐めてかかると、痛い目に遭うからね、このメスゴリラが」

 ジャラッと鎖鎌を鳴らして、エキドナが凄んだ。

 「そうそう、きれいなお顔がお刺身になるわよぅ」

 刺身包丁をぺろぺろ舐めて、パイアが言う。やめろ汚い。

 「とりあえず、その耳鼻削いでやるぜッ」

 ヨーヨーを構え、ハルピュイアが吠える。

 「お前らもう少し、最近のマンガ読んだ方がいいぞ」私は溜息をついてそう言った。「まあお前らはスケバンと言うより、どっちかと言うとだな、ほれ、原宿で、ラジカセ囲んで、ハデハデピラピラな格好して、躍りまくってた、あっちの方が、お似合いじゃないの?」

 私の挑発に三年増は激昂した。

 「てててめェ、アタシらをいくつだと思ってやがる!」

 「竹×子族なんてのはアタシらの母親の世代の流行りだぞ!」

 「アタシらを還暦のババア呼ばわりする気か、このガキャア!!」

 「あーごめんごめん。時代風俗ってのに疎くてさ、私。最近のマンガってのも、数年前のになっちゃうしさー。ミャンマーでちょっと、ぼけちゃったかなあ」

 「ふざけんなーッ!!!」

 三年増は攻撃を開始した。まずカミソリ付ヨーヨーが私の顔めがけて襲いかかり、鎖鎌の分銅が飛んで来て私の刀に巻きつき無力化、そしてとどめに猪女が刺身包丁構えて突進という訳。あのな。お前ら二十年前でも、充分時代遅れだったんだぞ。

 とりあえず、飛んで来たヨーヨーをバームクーヘンよろしく二つにする。それから虎徹に巻きついた鎖を軽く引く。時代劇なら引き合いになるのだが、この場合あっさり鎌はエキドナの手からもぎ取られる。私は虎徹をぶんと振って、鎖鎌をまるごと背後に投げ飛ばす。そして猪突猛進して来た刺身包丁のおばさんに足払いをかけてこけさせた。

 呆然自失のエキドナとハルピュイアの前につかつかと歩み寄り、脳天にコツンコツンと峰打ち、即気絶。

 床にのびている三年増の両手両足をバンドでつなぎ、ぐるりと円を描かせた。とても仲がおよろしいようでうらやましい。

 さて。えーと。数えんのつい忘れてたけど、これで残りは、やれやれ、あと一人だ。

 私は立ち上がり、呼びかけた。

 「でっかい図体してどこに隠れてやがる。出て来いよ、ポルピュリオン、巨人族の頭目め」

 「ふっふっふっ」

 男子トイレのドアを開けて、巨大な影が出現した。真打ち登場という訳だ。ギリシア神話における巨人戦争で、神々と戦った巨人族のボスがこれであった。ケルベロスの三ツ首次点のこいつもまた巨人。当然容疑者。得物はスレッジハンマー。元暴力団幹部。両手の小指が欠損している。要するに、いろいろあって、組にいられなくなり、ここに流れ着いたってパターンだ。

 「一斉に飛びかかってやっつけようぜって話もあったんだがなァ。それじゃ相討ちになりかねないからやめさせたんだが」巨大な禿げ頭をぐるりとめぐらせ、苦笑する。「失敗だったぜ」

 「こんなん束になってかかって来たって、おんなじだったさ」私は肩をすくめ、虎徹を鞘に納めた。「あんたのハンマーとやり合ったら、大事な預かり物がどうなっちまうか判らないから、これは使わないよ」

 「おいおい、こいつと素手でやり合おうってのかい」

 ポルピュリオン──元多呉作組幹部・右曲大五郎は、右手で軽々とハンマーをかざし、そう言った。

 「コルトを使うってんなら、それでもいいぜ。俺の得物はオートマグ──」

 「いーや、素手でやるさ。ただし、ここの備品を使わせてもらうよ」

 私はそう言うと、いきなりそばにあったアップライトバイクを床から引き剥がし、抱え上げ、投げつけた。ポルピュリオンは慌ててハンマーでこれを打つ。だが打ち返すところまではいかず、奴の手前に落下し、壊れた。続けてリカンベントバイク。これも打った。落ちた。壊れた。さらにスピニングバイク。クロストレーナー。ローイングマシン。高価なトレーニングマシンが片っ端から無惨な残骸となって、ポルピュリオンのまわりに重なっていく、累々と。今頃CEO室のモニターでこの光景を眺めながらあの馬鹿は、「大金をつぎ込んだ俺のトレーニングルームがァーッ!」などと頭を抱えて喚いている事だろう。だがここを決闘場に選んだのは私ではなくお前の方だ。

 私は続けてランニングマシンを持ち上げ、殴りつけた。足元の残骸の山で身動きが取れないポルピュリオンは、必死にハンマーを振り回して対抗するが、壊したランニングマシンが三台目になると、さすがに息が切れて来た。

 「ななな、何て女だァッ」

 残骸に半身を埋もれさせながら、ポルピュリオンはぜいぜいと喘ぐ。奴はそこでハンマーをあきらめ、のたのたと痺れの来ている手で懐ろのオートマグナムを引っ張り出そうとする。

 そうはさせるか。私は壁際に飛んでプラスチック製のベンチをかつぎ上げ、走り寄って、マグナムを構えかけていたポルピュリオンの頭に思い切り叩きつけた。こいつの頭蓋骨も相当な硬さで、ベンチの腰掛けの中央から白目を剥いて気絶した顔が突き出した。ベンチがそのまま首枷になるから拘束の必要は無かろう。念の為に手を突っ込んで奴の手からオートマグナムをもぎ取り、こんな作動不良ばかり起こしてる役立たずの代物をとつぶやきながら、弾倉を引っこ抜き、薬室を開放し、既に装填されていた弾丸を外した上で、別々の方向に放り投げた。

 私はここで初めて右脇のホルスターからコルトを抜き、虎徹も抜いて、銃と刀を両手で掲げて大声で怒鳴った。

 「おいよく聞けうすらボケ共が! てめーらもアサシン組織の一員なら、結束バンドの一つくらい自力で外せなくてどうすんだ! その上でまだ私にかかって来る度胸のある奴がもしいたら、相手になってやろーじゃねーか! さあ誰か、名乗りを上げてみろってんだ!!」

 意識を取り戻した雑魚十三人衆のお返事は、苦痛の呻きと共に大同小異。

 「勘弁して下さいぃ」「降参ですぅ」「参りましたぁ」「謝りますぅ」「もう許してぇ」「助けてぇ」「やめてくらさい」「お願いしますぅ」「医者を呼んでぇ」「痛いよー」「冗談だったんですぅ」「本気じゃなかったんですぅ」「お姐様ァ」

 あ。最後のとりわけ情けない声は、アイツだ。糞。ええい。女が一度言うと決心した事だ。きっぱり言ってやるっ。

 「あー、メラニッポス、いや、鈴木肇元海上自衛軍二等機関兵、さっきの私の言葉は失言だった、ここに撤回し、謝罪する、以上ッ」

 私は赤面してそう言い放つと、後を振り向きもせず、廃墟も同然と化したトレーニングルームを飛び出した。目的地はもちろん、あの馬鹿のいるCEO室。エレベーターは使わない。止められては元も子も無くなる。階段を駆け上がる。何やらでかい物がごろごろと転がり落ちて行った痕跡があちこちに見られる。髪の毛やら血やら何やら。気を抜くと足を取られそうだ。間違い無い。由美やったな。よくぞあの化け物を、あの肉塊を討ち取った。地下の階段最下層では、今頃巨大なヒキガエルが潰れている事だろう。後始末をするのは例によって清掃班(アルペイオス)だが、これも因果と言うものだ。しかし由美。あれを倒すのは容易ではなかった事だろう。ケガをしていなければいいが。佳代。美貴。無事でいてくれ。キララっち。今行くぞ。もう少しの辛抱だ。そして武田口。貴様は予告通り股裂きだ。覚悟しろッ。

 私は右に虎徹、左にコルトを振りかざしながら、地響きを立てて階段を駆け上がって行った。


 


次回、最終決戦と相成ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ