第3話:紺色の部屋
誰かがいる・・・。
「美里、美里・・・。」
雅美は目を開けた。女性が目の前にいる。紺色の部屋にいた。そして、自分が誰なのか思い出せなかった。
たった一つ覚えているものがあったが、はっきりとは思い出せない。誰かが自分を抱いて、何か叫んでいた・・・。
「美里!大丈夫?」
雅美は起き上がった。自分の名前が思い出せない。目の前にいる女性が、自分と違う名前を呼んでいることさえわからなかった。
「私、美里っていうの・・・?」
「そうよ、あなたは美里・・・。」
その女性はどこかで見たことがあった。思い出せない。だけど、どこかで・・・。
「美里・・・美里・・・」
だんだん視界がぼやけてきて、最後は頭の中が真っ白になった。
気がついたら雅美は学校の保健室にいた。勇輔が隣にいる。
「勇輔・・・?」
呪が解けたのか、視力はもとに戻っていた。しかし、ひどい頭痛がした。
「雅美・・・。」
勇輔が雅美の手を握った。勇輔は体中傷だらけだった。
「勇輔、どうしたの!?傷だらけじゃない!」
雅美は飛び起きた。傷は今ついたものばかりで、まだいくらか血が出ていた。
「俺は大丈夫。それより、雅美こそ具合はどうなんだ?」
その名前を聞いた瞬間、頭の中をさっきの部屋の様子がよぎった。
「ち、違う・・・私は・・・私は、雅美じゃない・・・美里よ・・・私は美里よ・・・。」
雅美の胸に、憎しみのようなものが込み上げてきた。ひどく残酷な想いが・・・。
そして、その憎しみは寂しさに変わった。
「勇・・・輔・・・近くにいて・・・怖い・・・怖いよ・・・1人にしないで・・・。」
勇輔はそれを聞いて心配したような顔をしたが、すぐに安心したような顔になった。
「お前は雅美だ。すべて狼呪のせいだ。美里じゃない、雅美だ・・・お前は雅美。」
雅美の心の何かが崩れ、封じられていたものが戻った。
紺色の部屋にいたのは雅美に呪をかけた人に違いない。自分の気持ちをわかってくれる人を探していたのだろう。
その日の帰り、雅美は何があったかを聞き、3人に謝った。皆快く雅美を許してくれたが、麗奈は逆に雅美に謝っていた。
この呪はもう解けたはずだ。再発はしないだろう。おそらく・・・ね・・・。
第3話は、1番読みにくかったと思います。質問や感想、どんどん送ってください。個人的に返事をする場合もありますし、同じ疑問が何件も重なったら、その疑問に関するエピソードをupすることもあります。(もちろん短編で)




