第1話:狼呪
男子2人と女子2人の仲良しグループ。この4人はスリルを味わうのが大好きで、肝試しなどをしょっちゅうやっている。
今日は学校中で噂になっている『音楽室に住み着く幽霊』の秘密をあばくために、放課後こっそり学校に来た。
「勇輔、今何時?」
そう訊いたのは龍だ。グループの中では一番強く、肝試しの時も先頭に立っている。
時間を訊かれたのは勇輔といって、身長が低い。その代わりにとても頭が良く、クラスで一番の成績を誇っている。
「6時30分だよ。」
勇輔はすぐに答えた。
「7時まであと30分ね。」
速答したのは麗奈だ。普段クールな割には、幽霊やお化けに弱く、肝試しの時に取り乱すことが多い。
「30分何するか?何かない?・・・ないな。」
龍が言った。そんな会話をしている中、1人だけ静かな人がいた。霊感がある雅美だ。いつも持ち歩いている本を読んでいた。
「暇つぶしくらい自分で考えなさいよ。勇輔も本を読んでいるじゃないの。」
と、雅美が言った。しかし、勇輔が読んでいたのは本は本でも、都立中学校の参考書だった。
勇輔と雅美は都立中学校を 龍と麗奈は私立中学校を受験する予定だ。
4人はそれを利用して、受験のための勉強会と偽って肝試しや噂の研究をしているのだ。
雅美と勇輔は読書を麗奈と龍は会話を楽しんでいるうちに、25分が過ぎた。
ピピピピ・・・・・・
不意に勇輔の時計が鳴った。6時55分にアラームを設定しておいたのだ。
「みんな、もうそろそろだ。」
勇輔と雅美は本をバッグにしまった。そして、4人は懐中電灯を取り出した。
4人は音楽室の前に移動し、バッグを置いた。今持っているのは懐中電灯だけだ。
「6時59分。あと1分だ。」
『音楽室に住み着く幽霊』の噂は、7時ちょうどに音楽室に入ると、ピアノを弾いている女の人がいる。というものだった。
勇輔がもっている時計は電波時計で、このような時は必ず持っている。
「あと10秒。9、8、7、6、5、4、3、2、1。」
ガチャッ!
龍がドアを開けた。・・・ピアノの隣に女の人がいた。髪が長く、体がわずかに透き通っている・・・。
「キャー!」
麗奈が叫んだ。女の人が立ち上がり、こっちへ近づいてきた。
「この人達には手出ししないで!」
勇敢にも雅美が女の人の所へ駆け寄り、そこから先へ行かせまいと立ち止まった。
女の人は両手を雅美の肩に乗せた。
勇輔はそれを見て、あることを思い出した。『空間の真中はより強い呪を使えるため、危険である。』
「雅美、危ない!」
「え?」
もう遅かった。ウェーブした光が雅美を取り巻いた。女の人は雅美の肩から手を離し、消えた。
「何これ!?」
光の輪はどんどん縮まり、雅美に触れると急に暴れ馬のように波打ちだした。そして、雅美を包み込んだ。
「助けて・・・!熱い・・・!」
「雅美!」
龍は雅美に近寄ったが、結界のようなものがあって、触れることができなかった。
3人は雅美の様子を食い入るように見つめることしかできなかった。
しばらくすると光が弱まり、最後は消えた。雅美は気を失って仰向けに倒れていた。
「雅美ちゃん!」
真っ先に駆け寄ったのは麗奈だった。自分が叫んだせいでこうなったのだと、責任を感じているのだ。
「う・・・。」
雅美が目を覚ました。
「大丈夫?」
「うん。あれ・・・?前が・・・。」
麗奈の顔が見えた。しかし、やけにぼやけている。しかも、白黒なのだ。
「どうしたの?」
勇輔と龍も駆け寄ってきたが、3人の顔がよく見えなかった。
「目がよく見えない・・・。」
「雅美・・・。それ、狼呪じゃないか?『狼呪:生態や特徴が狼のようになる。』ってやつ。」
勇輔が言った。確かにそうだ。図書館にあった本にそう書いてあった。
あくまで仮説だと思っていた。だけれど、ここまでなってしまうと、信じるしかなかった。
「うそ・・・。生態まで似てくるの?」
麗奈が言った。「雅美に襲われたら困る。」という顔をしている。
「大丈夫。私には私の意識があるから、襲いはしないと思うよ。」
雅美がそう言うと、麗奈は安心したようだった。
「じゃあ、今日は解散だ。雅美、1人で家に帰れるか?」
龍が言った。
「うん。大丈夫だよ。」
4人は学校の門からそれぞれの家へと帰って行った。
私が投稿した短編とは正反対で、男子と女子がとても仲良しという設定です。ややこしくてすいません。
これからもよろしくお願いします。(評価もよろしく・・・。)
ちなみに、こわくなるのは第2話からです。




