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「透き通る瞳の先に」

街は灰色に染まっていた。

嘘が雨のように降り注ぎ、誰もがそれに濡れながらも真実を探していた。

エミはそんな世界の片隅で、心の奥にぽっかりと空いた穴を抱えていた。


彼女は人を信じることができなくなっていた。

何度も嘘に裏切られ、いつしか本音を言えなくなってしまった。

その傷は深くて、知らず知らずのうちに自分を守るための仮面をつけていた。


「どうして嘘をついてしまったの?」

自分自身に問いかける日々。


仕事場でも、友人関係でも。

誰かの言葉はいつも裏があり、本当の気持ちは見えなかった。

でも、その闇の中で、エミだけは信じられる何かを見つけたいと願っていた。


ある日、エミは小さな喫茶店で一冊の古びた日記を見つけた。

日記は誰かの秘密を隠しているかのように静かに佇んでいた。

興味本位でページをめくると、そこには彼女と同じように嘘に疲れた女性の心の叫びが綴られていた。


「私もまた、嘘で塗り固められたこの世界の中で、信じられるものを探している。」


ページを読み進めるうちに、エミは涙が溢れそうになった。

この日記の主は、エミの心の鏡のようだった。

それはまるで、自分の知らない誰かが自分を理解してくれているような感覚だった。


日記の最後にはこう書かれていた。


『青いままで熟れた果実のように、まだ知らない痛みや喜びを恐れずに抱きしめて欲しい。』


その言葉がエミの胸に刺さった。


「私も、怖くても触れてみたい。」


それからというもの、エミは少しずつ心の扉を開け始めた。

嘘を隠す仮面を外し、本当の自分を少しずつ見せてみることにした。


最初は恐かった。

誰かに拒絶されるのではないか、傷つけられるのではないかと。

だが、驚くことに、彼女の本音を聞いてくれる人が現れた。


その人は同じく嘘と闇に疲れた青年、カナタだった。

彼もまた、信じることを諦めかけていたが、エミの素直な言葉に少しずつ心を開いていった。


二人は互いの傷を知り、分かち合いながら少しずつ未来を描き始めた。


「まだ未来はわからないけど、心だけは裏切らないでいよう。」

エミはそう言ってカナタの手を握った。


騙し合いのこの世界で、

ほんの少しだけ透き通る瞳を持つ二人が出会った。

その瞳は、信じることの勇気を秘めていた。

原曲 tuki(16) 黙シ愛

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