表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金色の瞳の剣姫は今日も世界を奔走する  作者: 世良きょう
第一章 光の国 カーライル
16/403

第15話 帰り道のち想定外

ブックマークして頂きありがとうございます!

私達はすっかり日が暮れた王都を大通りに向けて三人で歩いている。

昼間に集まった教会前の広場を過ぎ、歩きながら祝福の儀(ブレッシング)について話をしていた。

「なあ、お前達は何の属性魔法が使えるようになったんだ?」

「ん?俺は火だ」

「あー、何か納得だわ」

フェリクスさんは問いかけに答えたダリルを見て予想通りと言った表情を浮かべている。

「んでっ、アメリアちゃんは何かな?」

「えーと、光です」

「・・・アメリアちゃん、この事は誰かに?」

私が目を見開き驚愕の表情を浮かべると、フェリクスさんは珍しく神妙な面持ちをする。

「ダリルとフェリクスさんにだけです・・・けど?」

そう答えると、フェリクスさんは周りに誰も居ないのを確認するように辺りを見回し、私達を脇道へ呼び寄せると声を潜めながら話し出した。

「これは本当に信用できる人間以外には見せたり口外しない方が良い。光の魔法の所有者は、光の神殿を有するこの国にとって貴重な存在だ。アメリアちゃんを利用してやろうとする奴もいるから気を付けるんだよ」

「利用・・・ですか?」

固まる私の顔を(のぞ)くと、フェリクスさんは緊張を(ほぐ)す為か少しだけ口元を緩める。

「まあ、教会から漏れる事は無いと思うが、これはお兄さんからのありがたーいお言葉と思って受け取ってくれ」

そう言うとフェリクスさんはパチンとウィンクをする。


フェリクスさんは軽薄だったり真面目なところが有ったりと何だか掴めない人だなと思った。

でも、それが事実ならありがたい忠告かもしれない。

「ふんっ・・・」

ダリルは隣で胡散臭いものを見るような目でフェリクスさんを見ているようだった。



*********************************



貴族の屋敷が並ぶ地区を通り、中央広場から暫く歩くと、中流階級の屋敷が並ぶその中に高い塀に囲まれた建物が見えてくる。

冒険者ギルドのギルドマスター、ランドルさんの屋敷だ。

門の前には筋骨隆々の(いか)つい門衛さんが立っている。

稀に襲撃しに来る、クエスト関連で逆恨み等をした冒険者達を何度も返り討ちにしている人らしい。

「ロブさん、只今帰りました」

「おう!お嬢にぼん、儀式への参加、おつかれでやした。ささっ、旦那様が執務室でお待ちですぜ」

門衛のロブさんは私達を見つけると、威圧感たっぷりの顔を(ほころ)ばせる。

しかし、その笑顔もどうにもこうにも傷と鋭い目つきのせいで悪人顔が払拭できていない。

それに、お嬢にぼんって言う呼び方も何か語弊を生みそうな気がするのだけど。

「あんがとな、おっさん。行くぜアメリア」

「うん、ちょっと待って」

先に行こうとするダリルを引き留め、フェリクスさんの方へ振り返る。

「今日は私達を送り届けてくれてありがとうございました」

「いやいや、当然の事さ。それにしてもアメリアちゃんは礼儀正しくて良い子だねぇ」

ちらちらとダリルを挑発するような視線を送っている。

「お前は仕事で送り届けただけだろ?」

「そう言う問題じゃな・・・」

不遜な態度をとるダリルに私が注意をしようとすると、フェリクスさんは唇に指を当てて口を(つぐ)むように促された。

ダリルは私とフェリクスさんに見られて悔しそうに顔を歪ませる。

「・・・・お疲れさん」

ダリルは面倒くさそうにそう言うと、私達に背を向け小走りに屋敷の中へ歩いて行く。

「まったく、アイツったら・・・」

「お嬢、あんくらいの歳のガキはあんなもんですぜ。俺もあんくらいの時はしょっちゅうヤンチャして迷惑をかけたもんさぁ」

私達のやり取りを見ていたロブさんにそう諭された。

しかし、ロブさんにとってのヤンチャとは何だろう?知りたいような知りたくないような・・・


「じゃっ、オレ達も行こうか」

「え?」

だれと何処に?

「あー、実はオレもとある用事で屋敷に呼ばれてるんだよ」

「そうなんですか?!」

「なに?その反応はお兄さんと離ればなれにならなくて嬉しかったてこと?」

「・・・それは無い」

お腹を抱えて笑うロブさんを背に「辛辣(しんらつ)ぅ!」と抗議するフェリクスさんと一緒に庭を通り、屋敷へ向かう事にした。



************************************



玄関口でフェリクスさんと別れ、一人で金糸の細かい刺繍の施された絨毯(じゅうたん)が敷かれた長い廊下を歩く。

しかし、何時もなら忙しそうに働くメイドさん達を頻繁に見かけるのだけど、今日に限って一人も見かけない。

でも、()()フェリクスさんが居る時だから逆に良かったかも。

などと苦笑いを浮かべつつ廊下を歩き続けると、腕を組んで執務室前の壁にもたれ掛かるダリルの姿が見えた。

「よお」

「お待たせ。じゃあ、入ろうか」

挨拶をした後に重厚な木の扉をノックすると、ランドルさんの「どうぞ、入りたまえ」と言う声が聞こえた。

ゆっくりと扉を開く、部屋の左右には難しそうな分厚い本を並べた背の高い書架(しょか)があり、部屋の奥に書類の束が乗ったランドルさんの机がある。

部屋に居たメイドさんに応接用のソファに座るように促され座ると、柑橘系の良い香りのする紅茶が目の前に運ばれてきた。


その紅茶を一口飲むと、書架の影からランドルさんが本を抱えながら姿を現した。

「とりあえず、二人ともおめでとう。これで一人前への一歩を踏み出したわけだね」

そう言うとランドルさんは私達の向かい側のソファに座る。

「ありがとうございます」とダリルと二人で言うと、ランドルさんは抱えて来た本を一冊ずつ私達の前に差し出す。

「初心者向けの魔法指南書だ、よく読むと良い。魔法も上手く使いこなせなければ自分だけではなく周りも傷つけてしまうからね」

「・・ありがとうございます」

パラパラと本を捲りながら中身を簡単に確認していると、隣からうーんとダリルの唸るような声が聞こえる。

「俺、活字を読むの苦手なんだよな・・・」

「はっはっは、大丈夫だよダリル君」

げんなりと言った表情のダリルを尻目に、ランドルさんは笑いながら指先で本をダリルの方へと滑らせた。

「うっす・・・」

「君の武術だって基礎が大事だろう?しっかりと読んで自身の魔法と良い付き合いをしなさい」

「そうだ・・・ですね」

そう言われるとダリルは本を渋々と言った表情で受け取る。

「ところで、二人は此れからどうするつもりなんだ?村に戻るのかい?それとも冒険者と言うなら相談に乗るぞ。決まっていないなら個人的に相談も可能だ」

精霊王様達から請けた役目を相談するか迷うけど、今の私にはそれを成し遂げる為の手段が思いつかない。

そうかと言って田舎に帰り、祖父に相談するのも色々な面を考えても厳しい。

もしかしたら神殿で司祭様が青いと言っていたのは此の為だろうか?

でも、他に相談できそうな人は居ない。

「それでしたら相談が・・・」

「なんだい?アメリアさん」

そう、ランドルさんからの返事が返って来たところで入口の扉の方からノックをする音が聞こえて来た。

「どうぞ入りたまえ・・」

扉が開かれ現れたのは、以前に屋敷を案内してくれた黒髪のエルフのララノアさんだった。

「お話のところ、大変失礼致しします。旦那様、例の支度が整いましたのでお呼びに上がらせて頂きました」

「ご苦労、ララノア。すまないが、アメリアさん達を食堂へ案内してくれ」

「はい、畏まりました」

ララノアさんはランドルさんに向かい一礼をする。

「あの・・・」

「思ったより早く準備が整ったようだからすまない。必ず話は聞くから明日にでも執務室にきてくれるかな?」

「はい・・」

「まあ、行こうぜアメリア」

ダリルに肩を叩かれる。

「うん、そうだね」

ララノアさんに案内され、食堂へと四人で向かう。

食堂の扉は執務室の物と違った趣で、細かな果物や花のレリーフが施されたお洒落な扉だった。

その扉が開かれた先の光景に驚愕する、そこに居たのは受付のクリスティアナさんにフェリクスさんとジェニーさんの王都で出会った面々だった。

そして、ジェニーさんの隣には久々に見るケイティーの姿があった。

部屋に居た全員が此方に気付くと、一斉に私達へ祝いの言葉が飛び出した。嬉しいけれど、鼓膜が激しく振動して耳が痛い。

「皆さん、私達の為にありがとうございます」

「皆・・ありがとな」

流石のダリルも照れくさそうに笑う。

しかし、私はテーブルの一角に置かれている、皿に乗った漆黒の物体に目が釘つけになる。

「ケイティー・・・?」

「あ、気付いてくれたんだ嬉しいな。今回こそは()()()()()()()から楽しみにしててねっ!」

それは久々に見た義妹のお手製、食物兵器だった・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ