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生徒会長から最後に頼まれたこと ③

 緊張したけど。


 図書委員会の活動報告を無事に終えて拍手を浴びながら、佐久間先輩と等々力、そして朝日先輩の嬉しそうな、安心したような表情を見て、僕は少し昔のことを思い出した。


 たいしたことじゃなかったんだ、本当に。

 生徒会長の佐久間先輩は、二年生のときから陸上部のエースだったけど、部活は楽しくやろうって考えの人で、指導に熱心すぎる三年生のキャプテンや顧問の先生とはかみ合ってない感じだった。

 それで、キャプテンがムキになったのか、佐久間先輩と仲のよかった一年生の等々力への指導に熱が入りすぎてて。練習終わりに残ってキャプテンが等々力に指導していたとき、つい振り回した手が等々力の肩にぶつかったのを、目撃したのが僕だけだったんだ。


 それで思わず僕が「先輩、それって暴力じゃないですか」って言って、口論になってしまって。

 その場にいた顧問の先生が間に入ってくれたから、キャプテンはすぐ謝ってくれたし、等々力も「自分の態度がよくなかったんです」と言い出した。

 それで、顧問の先生が、キャプテンの「最後の県大会出場の機会を奪わないでくれ」なんて僕に言ってきたりしたんだけど。

 もちろん、そんなことはのぞんでないし、キャプテンと等々力が納得しているなら事故だってことでいいんじゃないかと思ったんだけど。

 目撃したのが僕だけだったから、「いまはネット上でいろいろ書かれると大変なことになる」と、先生に「秘密にしてくれ。特に佐久間には言わないでくれ」と懇願されて、了解してしまった。


 それで、好きだったはずの陸上への気持ちが、なぜか冷めてしまった。

 なんとなく部活が面倒になって、そのまま行かなくなってしまっただけなんだけど。

 部活にいかなくなったら、佐久間先輩だけが心配してくれて、何度も話を聞きに来てくれたけど、事情を話せないまま距離を取るようになってしまった。

 等々力とも、ぎくしゃくして気まずい感じになってしまったし。


 それで、放課後にやることがなくなって、自分が図書委員だったことを思い出して、一学期の終わりに、図書室に暇つぶしに行くようになって、おススメ本コーナーにあった本を適当に借りて読んだけなんだけど。


 借りた本がどの本も信じられないぐらい面白くて、「本ってこんなに面白かったんだ!」って感動して。

 駅前の書店にも本を見にいったらアルバイトの募集をしていたので、夏休みだけと思ってはじめてみただけだったけど、読書にもバイトにもずいぶんハマってしまったなぁ。


 朝日先輩、この前は名推理でしたが、本当は「半分」だけ正解です。

 一年生の二学期の始め、本を返しに図書室に行ったら、図書カウンターで貸出・返却を担当してて座っていたのが、朝日先輩で。

 借りた本三冊を渡したら、

「君、確か図書委員だよね? 夏休みの読書はどうだった?」

 って上目遣いで聞かれて。


「これ、ぜ、全部、お、面白かったです」

って、きょどって答えたら、

「全部、私がおススメ本として選んだ本なの!

 読んでくれてありがとう!」

と、満面の笑みで教えてくれたんですよ。


 それで、図書委員としての活動に力を入れるようになったってことは、絶対に「告白」できない僕の「秘密」なんです(笑)。

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